浜松医科大学医学部精神医学講座 山末 英典 教授

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「患者が抱える問題の解決」その目的で臨床・研究・教育を

【やますえ・ひでのり】 開成高校卒業 1998 横浜市立大学医学部卒業 東京都立松沢病院精神科臨床研修医 2000 東京大学医学部附属病院精神神経科医員 2006 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了 2009 東京大学大学院医学系研究科(精神医学)准教授 2016 浜松医科大学医学部精神医学講座教授

 浜松医科大学精神医学講座に昨年6月、40代前半の教授が誕生した。長年、脳画像解析による自閉スペクトラム症の治療薬開発に取り組んできた山末英典・前東京大学准教授。浜松医科大学に赴任した新教授が描く精神疾患と医局の未来とは。

◎自閉スペクトラム症に光

―これまで取り組んできた研究について聞かせてください。

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 自閉スペクトラム症の中核症状が対人コミュニケーション障害です。一般人口の100人に1人という頻度で起き、たくさんの人が困っているのに、解決できていない。それが医学の現状です。

 私はこれまで、その症状がどんなメカニズムで起きているのかをMRIなどの脳画像を使って研究し、内側前頭前野の活動低下が関与していることなどを示してきました(図1)。

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(図1)
〇:自閉スペクトラム症の方で活動が減弱していた部位。赤く示された部分は、オキシトシンの点鼻投与で活動が強まった部位。もともと減弱していた部位に一致して活動が回復した。

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(図2)
表情・声色を活用した他者理解の回数

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(図3)

 そして、ホルモンの一種「オキシトシン」の経鼻剤を使うことで、コミュニケーション相手の表情や声色がわかりやすくなること(図2)、低下していた内側前頭前野の活動が活性化されることを突き止めました(図3)。

 この研究が、今は全国規模の多施設臨床研究となっています。全国の大学の協力を頂きながら、代表者として、今後もこの研究を進めていきたいと思っています。

 浜松医科大学は、光関連の電子部品・機器製造販売の「浜松ホトニクス」(静岡県浜松市)と共同で脳の病態を解明する「次世代PET診断システム」を確立した大学です。日本だけでなく世界を見ても、精神疾患を対象にPETを使った臨床研究をしているところは限られています。

 このシステムと私のこれまでの研究を組み合わせることで、一層研究の幅が広がり、質も上がるとも考えています。

◎「できることをできる限り」の文化

―医局の特徴を。

 臨床では、身体管理プログラムを含めた摂食障害の診断・治療や森田療法、認知行動療法など、有用でニーズのあるさまざまな治療に対応しています。

 現在、入院森田療法ができる大学が少なくなっていますが、実際にはかなり需要があり、この治療を求めて全国から患者さんがお見えになります。 研究では、MRIやPETなどの脳画像を使った研究、オキシトシン経鼻剤の有効性検証のような医師主導の治療法開発で、世界をリードする成果を上げています。

 でも、それだけではありません。医師になって18年、ずっと東京で働いてきた私が、静岡に来て感銘を受けたのは、避けたくなるような難しい症例にも、医局の先生たちが自然に淡々と取り組むことです。

 困っている患者さんがいれば、それに対してできることをできる限りする、という姿勢が徹底されています。だからでしょう。精神科治療の中でも重要で難しい、治療のために必要な関係づくりもスムーズにできていくのです。その文化がすばらしいですね。

◎医師の仕事に魅力を感じて

―先生が医師、そして精神科医になった理由を聞かせてください。

 高校生のころ、文系科目よりも理系科目のほうがどちらかというと得意でした。理系の学部には医学部のほかに理学部や工学部などもありますが、将来の職業を考えたとき、「医師」という仕事の意義ややりがいがわかりやすく、魅力的に感じたんですね。

 そこで実際に医学部に進んでみると、身体的な内科や外科の医学よりも、精神医学に興味関心をひかれました。ですから、医学部生のわりと早い段階から一貫して、卒業後は精神科に進みたいと思っていました。

 医師になってからもさまざまな方から影響を受けました。所属していた東京大学精神神経科の加藤進昌前教授の講座運営は、今の自分にとって、参考になることが多くあります。

◎増加する精神科医の需要

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―精神科医を取り巻く環境の変化は。

 精神科医の需要が高くなっています。理由は、ネット依存やギャンブル依存など、今までは治療対象にしていなかった疾患を対象にするようになったこと、ストレスチェック制度の開始でうつ病の人に対して軽度や早期の段階で医療が介入するようになったことなどがあるでしょう。

 さらに、今は周囲に頼ることなく、まず精神科を受診するという人が増えているようにも感じます。精神科の敷居が下がったことに加え、核家族化などで、家族や親戚のサポートを得られない状況が、増えているということもあるのではないでしょうか。

 今は増え続ける役割や仕事量に、精神科医の数が追いつけていないと思います。相模原障害者施設殺傷事件によって、措置入院や社会復帰の判断に関して、精神科医に求められる役割が広がるかもしれないという見方もありますので、ますますニーズは増すかもしれません。

◎小児だけでなく成人も

―今後取り組んでいきたいことは何ですか。

 小児の発達障害や自閉スペクトラム症に関して言うと、浜松市はかなり体制が整っているほうだと思います。「子どものこころの診療所」「メンタルクリニック・ダダ」「国立病院機構天竜病院」などがあり、外来も入院も、ある程度診ることができています。

 ところがその分野の成人となると、医療機関が圧倒的に少なくなってしまいます。私がこれまで専門にしてきた分野でもありますので、専門外来をつくり、その上で、市内の発達障害者支援センターや小児の発達障害を診る医療機関などと連携していきたいと考えています。

浜松医科大学医学部附属病院
静岡県浜松市東区半田山1-20-1
TEL:053-435-2111(代表)
https://www.hama-med.ac.jp/hos

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