高知大学医学部 内分泌代謝・腎臓内科学講座 寺田 典生 教授

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急性腎障害診療ガイドライン作成の夢かなう

【てらだ・よしお】 静岡県立静岡高校卒業 1984 東京医科歯科大学卒業 同第二内科入局 2002 同腎臓内科助教授 2008 高知大学医学部内分泌代謝・腎臓内科学教授 2016 同リウマチセンターセンター長・同糖尿病センター副センター長兼任

 高知県内の腎臓病、糖尿病、内分泌、膠原(こうげん)病など、幅広い分野の診療に取り組む高知大学医学部内分泌代謝・腎臓内科。昨年12月に完成した、日本初となる「急性腎障害(AKI)診療ガイドライン」の作成に委員長として関わった寺田典生教授に話を聞いた。

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―医局の特徴を教えてください。

 当医局では、内科全般、内分泌代謝、糖尿病、腎臓病、膠原病、高血圧と幅広い分野を診療しています。教授回診および症例カンファレンスを毎週行い、それぞれの症例についての治療方針を検討しています。専門分野の特性もあいまって、ご紹介頂く患者さんは診断や治療が難しい症例が多く、総合内科医としての能力が求められる診療科といえるかもしれません。難渋症例については各専門のグループカンファレンスでも議論し、教育的な症例については学会発表や症例報告にも積極的に取り組んでいます。

 また、高度先進医療としては、腎疾患・糖尿病・内分泌疾患における遺伝子診断や、難治性膠原病に対する血漿(けっしょう)交換療法、白血球吸着療法、免疫グロブリン大量療法などを実施。糖尿病、肥満症、CKD(慢性腎臓病)患者に対する教育入院にも対応しています。

―教授に就任された2008年、高知慢性腎臓病病診連携協議会を立ち上げられました。

 現在、高齢者や糖尿病・メタボ患者の増加により、国内の成人8人に1人がCKDだと推計されています。日本腎臓学会では2005年にCKD対策委員会をつくり、「CKD診療ガイド」を作成するなどして全国各地でCKD対策キャンペーンを始めました。かかりつけ医の先生方や市民の方々にCKDの怖さや、患者数が非常に多い疾患であることなどを訴えてきたのです。

 2008年4月には日本腎臓財団を中心に厚生労働省による「CKD重症化予防のための戦略研究」が始まるなど、国としてもCKD対策を重視するようになりました。

 ちょうど私が本学の教授に就任した年だったこともあり、高知市内で病診連携協議会を立ち上げ、紹介基準づくりや外部講師を招いた講演会の開催などを始めました。

 毎年3月の第2木曜日の「世界腎臓デー」には、高知市内の中心地で街頭キャンペーンをしてCKDの啓発活動に取り組んでいます。私を含めた4~5人の腎臓病専門医が無料で健康相談に応じたり、看護師が血圧測定をしたり、栄養士が減塩食のアドバイスをしたりする活動です。

 しかし、職場健診などで尿たんぱくや潜血が陽性であることが分かっても、症状がないとそのまま再検査や治療をせずに放っておく方が多い。そうした方々に専門の医療機関を受診していただくように呼び掛けているところです。県内の一部の地域では、各地区にある保健所の保健師が自宅に電話をかけたり、訪問したりして受診を促しています。今後は高知県全域に広げていきたいと思っています。

―昨年4月「リウマチセンター」「糖尿病センター」「画像下治療(IVR)センター」の三つが開設されました。

 各センターは、患者さんにとって分かりやすい外来を目指して開設しました。私はリウマチセンターのセンター長と糖尿病センターの副センター長を務めています。

 たとえば、リウマチの治療には内科的なものと外科的なものがあり、患者さんにとっては、内科と外科のどちらにかかればよいか判断が難しい。そんなときリウマチセンターに来ていただければ、専門医がすぐに最適な診療科の先生につなぐことができます。また、センター内では内科と整形外科が密に連携を取ってカンファレンスを行い、経過を観察しながら治療を進める仕組みを整えています。

 糖尿病センターでは、糖尿病内科の藤本新平教授を中心に、初めて糖尿病と診断された症例や治療困難な症例について、それぞれの患者さんの状況を把握し、腎臓内科や眼科の専門医と連携して治療方針を決定します。その後、かかりつけ医に患者さんのデータを戻して毎月の診察・検査・投薬を担当していただきます。

 IVRセンターでは、放射線科の山上卓士教授を中心に専門医と放射線技師・看護師がチームとなり、安全で高精度なIVRを実施しています。対象は小児から高齢者までの頭部、心臓以外のすべての臓器で、がん、脈管疾患、炎症性疾患から血管腫・血管奇形、救急にいたるまで多岐にわたります。

 さらに、救急IVRに対応できるよう24時間オンコール体制。腎臓がんの凍結療法の治療機器が導入されている施設は全国でも数少なく、四国地区では当院が唯一です。

―AKIの診療ガイドライン作成を中心となって進められたそうですね。

―AKIの診療ガイドライン作成を中心となって進められたそうですね。

 そこで、日本腎臓学会・日本集中治療医学会・日本透析医学会・日本急性血液浄化学会・日本小児腎臓病学会の5学会合同のAKI診療ガイドライン作成委員会が発足。私が委員長を務めさせていただきました。

 ガイドライン作成には2年ほどを要し、昨年12月に完成したばかりです。約60人で知恵を出し合い、全部で31個のCQ(クリニカルクエスチョン)をたてました。一つのCQにつき平均100本程度の文献の中からハイグレードなものだけを選出。各CQに関する解説やエビデンスをまとめました。

 私は、AKIの患者さんの臨床研究と遺伝子改変マウスを使った基礎研究の両方を20年ほど継続しています。

 研究を始めたのは、東京医科歯科大学に勤めていた1995年ごろのことです。当時、大学病院の透析室には、緊急透析の依頼が多くありました。それは多くの場合、心臓血管外科などの手術後に腎機能や尿の出方が急激に悪くなったために、透析治療の必要があると診断された患者さんでした。

 しかし、透析には4〜5時間を要し、合併症や感染症などのリスクも伴うため、術後で抵抗力が落ちたすべての患者さんに気軽にできる治療ではありません。また、透析治療には医師、看護師、臨床工学技士などのマンパワーが必要で、特に深夜などはスタッフを集めるのも一苦労でした。

 つまり、AKIの患者さんに対する透析治療の緊急性や必要性を判断することが求められたのです。透析室に運ばれてきた患者さんの容態を診て、今すぐ透析が必要な人、明日でも大丈夫な人、透析ではなく保存的治療で対応できる人、などを見極めるためのガイドラインが必要でした。そこで私は、AKIの診断と病態解明をライフワークとして、研究に本腰を入れ始めたのです。

 かれこれ20年ほどAKIに関する仕事を続けてきて、念願だった診療ガイドラインが完成。多くの先生方のお力をお借りして今回発行にこぎ着けました。今後はこのガイドラインの普及と、日本発のAKIの臨床研究に取り組みたいと考えています。

―2017年の抱負は。

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 多くの若い先生に入局してもらいたいと思います。都市部の教育機関では、それぞれの診療科が独立していることが多いようですが、当医局では腎臓病、糖尿病、内分泌疾患、膠原病など、総合的な診療ができる内科医を育成することができます。

 このような診療科は全国でも少ないと思いますので、興味がある研修医の先生方にはぜひ一緒に働いて当科の雰囲気を味わっていただきたいですね。そして、日々の診療・教育とともに、高知県から世界へ向けて発信できるような臨床研究・基礎研究を推進していきたいと思います。

 また、県内唯一の大学病院として病診・病病連携を密にするとともに、先に述べた三つのセンターを活用しながら地域医療へ貢献し、CKD・AKIの予防と早期治療の啓発活動にも力を入れていきたいと考えています。

高知大学医学部附属病院
高知県南国市岡豊町小蓮185-1
TEL:088-866-5811(代表)
http://www.kochi-ms.ac.jp/~hsptl

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