社会医療法人寿楽会 大野記念病院 大野 良興 理事長

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創立100年に向かってより良い病院に

【おおの・よしおき】 1971 久留米大学医学部卒業 東京女子医科大学附属病院臨床研修 1973 大阪市立大学第一外科学専攻 1977 同大大学院入学 大野病院院長就任 1983 医学博士 1989 大野記念病院(改称)院長 1998 医療法人(現社会医療法人)寿楽会理事長

 1924(大正13)年に大阪市に誕生した大野記念病院(旧大野病院)は、開設から94年目を迎えた。祖父、父の跡を継ぎ3代目として病院運営に取り組む大野良興理事長に100年目へ向けた思いなどを聞いた。

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―歴史ある病院です。

 私の祖父の大野良蔵が「外科 大野病院」を開設したことに始まりました。1989(平成元)年に現在の地に新築移転、名称を「大野記念病院」とし、開院から今年で94年目です。祖父、父、そして私も消化器外科医で、昨年4月には内科医として息子も戻ってきました。

 父の良雄は、大阪大学医学部を卒業。がん治療の研究に力を入れ、この病院でもがんの早期発見にいち早く取り組もうと、当時としてはまだ珍しい胃の集団検診を行うなど精力的に取り組んでいました。しかし、クモ膜下出血のため急逝。大阪市立大学で勤務医をしていた私が、急きょ院長に就任することになりました。1977(昭和52)年、私が29歳の時です。

 大阪市内中心部にある当院は、昭和の高度成長期で増加していた交通事故や火災事故などに対応するため、救急を中心に地域に貢献してきました。当時すでに20人近い医師がおられましたが、みなさん年長の先生方ばかり。私は20代の若さで院長になりましたので、なかなか大変でしたが、祖父、父から引き継いだ病院でしたので、その思いを引き継ごうと必死でした。診療科目の増設、人工透析の開始などに力を入れ、1989年に現在の地に新築移転を果たし、今に至ります。人工透析は、現在400人近くの患者さんが当院で治療を受けるなど、地域のニーズに対応して、運営を進めてきました。

 現在 、西区は、大阪市の中でも、比較的若い世代が多く、人口が増えている地域です。

 当院では、地域の連携をスムーズに進めるため、年2回、開業医の先生方と懇親の会を開くなど病診連携の活動にも力を入れています。高齢社会に向けて、連携の重要性はますます大事なものになると考えています。

―3世代にわたって運営。苦労もあったのでは。

 祖父、父と、その後ろ姿を見て育ちましたので、医師以外の職業に就くという考えはなかったように思います。

 病院を運営するなかで、波がいくつかありましたが、なかでも1993年ごろ、いわゆるバブル経済の崩壊後が、一番大変でした。当時は、大手金融機関が破たんするなど、多くの問題がありましたが、医療界も影響を受けなかったわけではありません。

 当院も、銀行からの資金調達の面で厳しい局面があり、病院を手放すことを考えた時期もありました。しかし、地域には何世代にもわたって来てくれる患者さんがたくさんいますし、3代目の私で、病院の灯を消すことはできないと考え、運営の大幅な見直しなどあらゆることをして、何とか乗り切ることができました。本当にしんどかった時期です。

―2003年から理事長職に専念しています。

 バブル崩壊後の経験を機に、院長との兼務は難しいと考え、私は、院長職を退き、経営に専念することにしました。

 また、医療業界に欠けている経営感覚を取り入れようと、公認会計士や大手企業の社長などの経験者をアドバイザーとし、外部の意見を積極的に取り入れました。

 その中には「病院は企業と違って女性中心の職場。女性職員の意見は大事にして」「医師は患者さんを上からの目線で見て接していますがそれは違います」との、厳しい言葉もありました。しかし、医学部では経営学的な事は学びませんし、病院内の意見だけでは通用しない。外部から見て「こういうところを修正した方がいい」という意見を頂くのは非常に重要なことだと改めて気づきました。

―100年目に向けて課題は。

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 100周年まで6年ほどありますが、新病院建設など、考えていることはいくつかあります。

 しかし、2018年4月の診療報酬の改定や、国の医療改革など厳しい環境は続くと思います。これに対応するためにも、職員の教育は引き続き大切にしたいと思います。医師、看護師、事務職、医療技術部含めて、院内研修会をはじめ、医師会、団体のセミナーの参加も勧めています。また、特に若い医師には、本当の医の心について考えるような教育が必要ではないかと思います。

 今は、目の前にいる患者さんに向き合わず、インターネットの情報などに振り回されている医師が多いように感じます。しかし、患者さんとの信頼関係ができていれば、何か起こっても大きな問題にはならないような気がします。医師は、「患者さんのために」というところからすべて始まっているということを忘れないでほしいです。

 「支え合い 笑顔でつくる 良い職場」。これは2016年の当院のスローガンでした。当院は、毎年、年末に職員に新年のスローガンを募集しています。昨年末の応募は60件。

 2017年のスローガンは1月4日、「その笑顔にもう一言の声かけを!!」に決定しました。1年間それを職員が行動の規範にして、患者さんの期待に応えるよう頑張っていきます。

社会医療法人 寿楽会 大野記念病院
大阪市西区南堀江1―26―10
TEL:06―6531―1815(代表)
http://www.ohno.or.jp

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