長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 展開医療科学講座 消化器内科学 竹島 史直 准教授

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内科医師としての醍醐味を感じられる分野

【たけしま・ふみなお】 長崎県立佐世保北高校卒業 1986 長崎大学医学部卒業 1992 同大学院医学研究科修了1996 同附属病院光学医療診療部助手1999 米国マサチューセッツ総合病院消化器科 2004 長崎大学医学部附属病院総合診療科准教授 2009 同大学院消化器内科学准教授

 第一内科、第二内科の消化器グループが合併し、中尾一彦教授主宰の消化器内科学講座となって8年目。現在、「肝臓」「消化管」「胆膵系」「抗がん剤を用いた化学療法」の四つのグループに分かれている。消化管グループの責任者である竹島史直准教授に話を聞いた。

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―消化管グループの特徴を教えてください。

 当グループは、主に二つの分野に分かれています。一つ目は、内視鏡を使って診断や治療を行う分野で、こちらは、消化管のがんや、食道の機能異常である食道アカラシアを扱います。

 二つ目が、私が担当している炎症性腸疾患(IBD)の診療で、潰瘍性大腸炎とクローン病が主となる疾患です。潰瘍性大腸炎は、安倍晋三首相がかかったことでも知られ、その患者数は全国におよそ18万人。クローン病は4万数千人と言われています。

 九州にはそれぞれ全国の10分の1、そして長崎県内には潰瘍性大腸炎1800人、クローン病4百数十人の患者さんがいます。

 なぜ、詳細な数字が判明しているかというと、両疾患とも原因不明で、難病に指定されているからです。潰瘍性大腸炎は特定疾患のなかでも数が一番多い疾患で、年々増加しています。

 潰瘍性大腸炎は、原因不明ではありますが、昔からある病気で特に欧米に多いと言われていました。しかし、食生活の欧米化や衛生状態が良くなったためか、近年日本では、アメリカに次いで患者数が2番目に多くなっています。

 本学では、牧山和也先生が、40数年前から炎症性腸疾患の治療に取り組み、私も1996年にスタートした光学医療診療部で炎症性腸疾患を専門に診療を始めました。

 長崎県内の消化器内科医の多くは牧山先生の薫陶を受けており、この疾患の診療経験が豊富です。そのおかげで、長崎県内の先生方と一緒に、臨床データを集めてまとめて発表するなど、共同臨床研究も行っています。

―炎症性腸疾患にはどのような治療が。

 潰瘍性大腸炎は、大腸に炎症ができ、自覚症状としては血便があります。一方、クローン病の場合は、口から肛門までいずれの消化管にも発症する可能性があり、下痢、熱、体重減少と、自覚症状はさまざまです。両疾患とも20代がピークで、若い方が発症する疾患でもあります。

 これらの疾患は、免疫が外ではなく自分自身、すなわち内側に向くことで起こっているのではないかと言われています。

 炎症性腸疾患は投薬が治療の中心です。ただ、現段階では原因不明ですので、完治は難しく、症状が落ち着いている、いわゆる寛解状態を維持していくことが重要です。

 症状が増悪する再燃には、ストレスが大きく関係しています。特に若い世代の場合、受験や進学など人生のイベントも多く、そのコントロールが大事です。

 それを上手にできれば寛解の維持にもつながり、病気がない人と同じような生活が送れ、女性の場合、妊娠、出産も可能です。

 患者さんの人生に長く寄り添える点でもやりがいがあります。

 逆に言えば、メンタルや生活面でのサポートがこの疾患を担当する医師の役割でもあります。私の場合、総合診療科にもいましたので、体と心の両方を診ていくという視点は大いに役立っています。

 2000年代に登場した生物学的製剤「インフリキシマブ(商品名レミケード)、アダリムマブ(商品名ヒュミラ)」は、クローン病の治療を大きく進歩させ、患者さんの9割以上に有効です。

 潰瘍性大腸炎にも適用が通りましたが、こちらは奏功率7割程度と少し低めです。しかし、高額な薬剤ですので、使用には課題も多くなっています。

 炎症性腸疾患には、大腸の内視鏡検査が欠かせません。患者さんは慣れてはいるものの、やはり楽な検査ではありません。

 そこで本講座でも、便の中の白血球が持つ、カルプロテクチンとラクトフェリンという2種類のタンパク質の濃度と拡大内視鏡検査所見との関連性をみる研究を2年前より進めています。

 カルプロテクチンの検査については、おそらく近い将来保険適用になると言われていますので、もっと広がると考えています。完全に内視鏡検査がなくなるわけではありませんが、検査の回数を減らすことにつながりますので、患者さんにとっては朗報になると思います。

 潰瘍性大腸炎のもう一つの問題は、高齢発症の患者さんが増加してきていることです。治療は免疫を抑えることが中心となりますが、免疫を抑えると感染症にもつながるので、高齢者の場合、特に治療が困難になります。

―貴学独自の動きは。

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 最近進め始めたのは「2人の主治医システム」です。炎症性腸疾患は、毎年増加しており、私自身、現在200人近くの患者さんを担当しています。このため、新しい患者さんを受け入れられなくなっては困りますので、症状が落ち着いたら、今後は地域の開業医に戻し、2人の主治医で診ていくという流れにしたいと思います。つい最近開業医の先生に集まっていただき、その狙いをお伝えしました。

 同時に後継者を教育していくことにも力をいれていきます。デリケートな疾患のために、外来の様子をなかなか若い医師たちに見せる機会が少ないというのが課題です。女性の患者さんも半数近くいらっしゃいますので、女性医師の果たす役割は大きいと思います。幸い当講座は、女性医師の比率が高く、女性患者さんの場合は、内視鏡検査や診療を女性医師に頼めるようになりました。

 炎症性腸疾患は、いまだ原因不明で患者数が増加していることもあり、今後さらに大事な分野となります。投薬による劇的な改善が多いことや、長い期間患者さんの人生に寄り添えることは、内科医師にとっての醍醐味(だいごみ)だと言えるのではないでしょうか。

長崎大学病院 消化器内科
長崎市坂本1-7-1
TEL:095-819-7481(受付)
http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/gastro
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 展開医療科学講座・消化器内科学分野

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