鹿児島県医師会 会長 池田 琢哉

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熊本地震から教えられたもの

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 私が昨年最も驚愕(きょうがく)し、心を痛めたのは4月の熊本地震だった。震度7の激震に2度も襲われ、50人の命が奪われた。被害家屋は17万棟にも上った。あの地震から9カ月が経過したが、今もなお屋根を覆うブルーシートの多さが、地震のすさまじさ、復興への道程の厳しさを思い起こさせる。

 鹿児島県医師会は、地震の発生を知り、素早く始動した。JMAT31チーム、延べ108人が被災地に入り、救護・診療活動に従事した。第一班として、宇土地区に入った医師は「地面は絶え間なく揺れ、今までの混乱とこれからの困難を肌で感じた」と、生々しい現場の状況を伝えてきた。

 今回は、治療を担う医師に加え、感染症対策チーム、歯科医療チーム、それに薬剤師、栄養士などがJMATの一員に加わり、救護のために万全を期した。まさに画期的なことだった。これまでの災害医療を検証し、現場での救護体験のなかから出された、意味のある派遣だった、と言える。

 もちろん、課題も分かった。現場での司令塔の必要性、指揮系統の明確化、さらには災害医療コーディネーターの設置などだが、私自身、3日間災害現場に入って救護活動をしたことで、行政、消防、医療関係者による連携や情報の共有がいかに重要であるかを、再認識することができた。

 私の地元鹿児島は、桜島や川内原発があり、毎年台風や豪雨に襲われる。そこで、医師会では2016年度の最重点目標の一つとして「災害救急医療体制の強化」を掲げ、大規模災害に対応するための、研修や訓練の強化を図りつつある。「災害は必ず起こる」を旨に、「常在災害」の心構えで臨むべきは、言うまでもない。

 ところで、災害と医療を考えるうえで、私が大切にしたいのは、急性期医療だけではなく、心身ともに傷ついた被災者と家族に、いつまでも寄り添ってあげるという、姿勢だ。大災害の時ほど、被災者の「日常」や「家庭」にまで思いをはせたい。

 災害時に必要な「第2の医療」は、被災者の生死に関わる救護が終わり、支援の医療チームが引き揚げたあと、始まるのではないかと、考える。痛ましい災害関連死を出さないためにも、被災地の医療機関の連携、医師の奮闘が求められる。

 今年も、多事多難な年になるだろうが、この一年「医師とは」「地域医療とは」「災害時の医療とは」を常に頭に置いて、活動したいと思う。「災害と医療」は今年から始まる地域医療構想に組み込むべき、大きなテーマでもある。


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