【女性医師特集】ワークライフバランスを充実させるために

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 「女性問題とは、すなわち男性問題なのだ」という考え方がある。女性の働き方を変えるとは男性の働き方を変えることなのかもしれない。

 男性自身の働き方を変えるために、近年は「ワークライフバランス」という考え方が普及している。医療現場で働く職員はどんな悩みを抱えているのか(鳥取大学医学部)、病院の人事・採用戦略として生活の質を重視することができるのか(Logista)、それぞれにきいた。

妊娠・出産・育児...医療従事者のQOLを考える

Logista 株式会社  共同代表 長廣 百合子、長廣 遥

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産後クライシスを乗り越え、夫婦で起業

 患者さんのQOL(qualityof life)を重視し、人間らしい生活を支援する医療現場が増える一方で、医師や看護師、職員などのQOL向上が進まないというお話を耳にします。限られた人員で「患者第一主義」を貫いてきた現場に見られる課題のようです。

 しかしながら、医療従事者も人間。ライフステージの変化に伴い「時間制約のある働き手」に変わる可能性は十分にあります。特に女性は、妊娠・出産・育児を通して、自身の「働き方や暮らし方」を見つめ直すタイミングを得ます。

 それにも関わらず周囲が、「何の変化もなく、仕事に復帰してくるだろう」と思っていると、ズレが生じてしまう。最悪の場合「周囲に何も言えないまま不安を抱えて退職する人」も出てくるかもしれません。漠然とした不安感から退職者が続くこともあるでしょう。

 だからこそ、共に働く仲間のQOLに関心を持ち、本音を聞き取っていくことが大切。育休復帰後のイメージや不安、希望など「本人の声」に十分に耳を傾けた上で、職場の状況や方針についても共有し、「お互いに働きやすい環境をつくっていこう」とする姿勢を示すことが肝心です。

 男女の別なく、若手を中心に「仕事と家庭の両方を大切にしたい」と考える人が増える今、子育て期の"人財"のQOL向上は、一種の人事・採用戦略といっても過言ではありません。患者さんだけでなく、「働く人」のライフステージの変化に寄り添える医療機関を目指すことが、質の高い医療を長く安定的に提供することにもつながると考えます。

Logista 株式会社

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市民参加型イベント「赤ちゃんが教えてくれた家族の生き方」でのワークショップ風景

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「産前・産後の夫婦のパートナーシップを強くする!『両親学級世帯経営セミナー』」の様子

 未来を担う子どもたちのために、誰もが子育ての当事者になれる社会づくりに向け、「家庭・職場・地域」の3方向で事業を展開。産前産後の夫婦のパートナーシップ強化を目的とした「両親学級 世帯経営セミナー」の開催や、Webサイト「子育て期のワークライフバランスを応援するHOMEWORK」(https://www.homework-net.com)の運営などを行っている。

職員のさまざまな悩みに対応
鳥取大学医学部附属病院 ワークライフバランス支援センター 谷口 美也子

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谷口美也子氏

◎相談ごとをすべて引き受ける

 附属病院の職員は約1,500人いますが、昨年は約300件の相談を受けました。4月、5月、年末など異動の後しばらくしてから相談が増える傾向にあります。

 相談内容で最も多いのは人間関係やハラスメントについてのものですが、産休や育休を経て復帰した後の働き方、たとえば「どのような制度があるのか」とか、「どんな制度を使うべきなのか」といった相談も増えています。保育園の相談で「どこがお勧めか」といった相談もあり、いわゆるワンストップでさまざまな困りごとについて引き受けています。

 最近増えているのが、女性医師の男性上司からの相談ごとで、「女性医師が出産を経て復帰するのだが、どんな働き方があるのか」といったものです。「〜の間だけはこのように働いてほしいが、どんな制度があるのか」など、具体的に問い合わせてくるのが特徴です。最近の傾向として出産や育児で辞める女性医師が減っていますので、復帰後の働き方についていろいろ調べることが増えているのだと思います。

◎女性医師の悩みの種は勤務時間

 女性医師は勤務時間について悩んでいることが多いようです。超過勤務が多かったり、「絶対にこの時間には帰れる」といった保証がなかったりしますし、主治医なら突然の呼び出しもありますから。

 研修会やカンファレンスなどの終了時間がわからなくて保育園の迎えの時間に間に合うか焦ったりすることもあります。土日に出勤することも多いですから、時間の管理と突発的な勤務への対応についての悩み事は尽きないようです。

◎介護は先がみえない

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週に1、2回は心理相談員が来所して悩みをきく

 都会ほどではないですが、鳥取県でも最近は核家族が増えています。未婚も多いのですが、4割の職員は核家族ですし、そのうち3割は近くに親戚がいないという状況にあります。

 若い職員の場合、ご両親もまだ若くて仕事を続けている方が多いようです。だから、子育てについて、お互いの両親が近くにいるのだけれど頼みにくいという家庭も増えています。

 子育てに比べて介護は先を見通すことができないので、ご家族にとって負担が大きくなります。介護についてはご家族も手探り状態ですし、その方によって介護度が違いますよね。だから、いまはまだ見えていない埋もれている需要がたくさんあると思います。それを掘り起こすことで、介護についてどのような支援が必要かがわかってくるでしょう。

 核家族が増えていることからいえば、遠距離介護が増えてくる可能性もあります。そうなると仕事を辞めて実家の近くに移ると考える方も増えるのではないでしょうか。いまでも週末に東京で介護している方がいますが、介護をめぐる問題はまだまだこれから本格化してくると思います。

◎介護は誰がするのか

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 現在の風潮だと女性が仕事を辞めるなどして介護をする可能性が高いですよね。医師同士や医師と医療スタッフが結婚することも多いですが、子育ても含めて介護は女性がするものだという意識があります。

 それに関連して、昨年はセミナーを開催しました。その際に紹介したのが、介護で一番大事なのは「準備」だということです。介護が必要になったときにどうするかを家族や親御さんを含めて具体的に話しておく。親御さんの希望を確認したうえで方針を決めて、やるべきことがあったら役割分担する。

 そういうところを啓発して、介護の問題を男女問わず自分のものとして考えてもらいながら、辞めないですむために「いま」「なにが」できるのかを整理してもらう。支援だけ作っても難しいんです。いくら交通費を援助しても毎週末通うことになれば体がもたなくなりますから。

鳥取大学医学部附属病院 ワークライフバランス支援センター
http://www2.hosp.med.tottori-u.ac.jp/departments/center/worklife-balance-suppot/


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