二ノ坂 保喜 大会長/にのさかクリニック院長

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第24回日本ホスピス・在宅ケア研究会 全国大会in久留米 2月4・5日開催へ
いのちを受けとめる町づくり〜日本のホスピスが忘れてきたもの〜

【にのさか・やすよし】 長崎県立長崎西高校卒業 1977 長崎大学医学部卒業 同第一外科 1996 にのさかクリニック開業 2014 日本医師会第3回赤ひげ大賞受賞

 日本ホスピス・在宅ケア研究会は2017年2月4日(土)・5日(日)、全国大会を福岡県久留米市の久留米シティプラザで開く。大会長は、二ノ坂保喜・にのさかクリニック院長。テーマ「いのちを受けとめる町づくり〜日本のホスピスが忘れてきたもの」に込めた願いを聞いた。

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 ホスピスは1967年、イギリスのシシリー・サンダースがセント・クリストファー・ホスピスを設立したのが始まりです。

 しかし、1980年代に始まった日本のホスピスは、イギリスのホスピスの建物だけを"輸入"してきてしまいました。国内では「ホスピス=緩和ケア施設」という受け止めが多くみられ、対象もがん患者に偏っています。

 ホスピスとは、本来、どういうものなのか。日本のホスピスに欠けているのは、どんなことなのか。そのことを、今回の大会で指摘したいと思っています。

◎ホスピスは人権運動

 ホスピスとは、命を最後まで支えていく運動、人権運動です。私個人の意見としては、今の日本のホスピスの進め方は間違っている。日本のホスピスは、薬でその人の痛みや苦痛をとるという、医療技術的なホスピスケアに走りすぎていると思うのです。

 技術も大事ですが、それがすべてではありません。人は、その病気がもう治らないとなったときから、精神的に苦しみ、肉体的にも苦しみ、それが亡くなるまで続くわけです。ホスピスには「いのちを最後まで支える」という姿勢が入らないといけませんし、生活全体を支え、スピリチュアルな面を含めてサポートしていくことが、私たちの役目だと思います。

◎在宅も、がん以外も

 今の日本のホスピスには、自宅へ返すという発想がほぼありません。また、がんに対するものがほとんどです。

 しかし、イギリスでは、多くのホスピスが在宅部門を持っています。がんに限らず、神経難病の人などあらゆる病気の人を受け入れていて、それが本来の姿です。

 日本人の8割が、人生の最終段階を自宅で過ごしたいと願っているというデータもあります。地域で暮らす以上、町全体でその人を支えていくためのコミュニティーが必要です。もっといえば、人は生まれてきて、老い、病気を得て死んでいくという「いのちのステージ」があります。そのあらゆるステージに合わせた対応ができる町、生まれた時から死ぬ時まで、「いのちを受けとめる」という観点で、地域コミュニティーづくりを考えていくことが、必要なのだと思います。

◎現代医療への問題提起

 ホスピスがイギリスで発展した背景には、肉体的生命を延長する方向に突き進んだ現代医療へのアンチテーゼのようなものがあったと思います。

 もちろん、それが医療技術の発展、人類に多大な貢献をしたことは確かです。しかし、ホスピス運動は、「人間のいのちを大事にするということは、肉体的生命を引き延ばすだけではないのではないか。現代医療には足りない部分があるのではないか」ということで生まれ、それによって、イギリスの医療も変わってきているのです。

 病院で亡くなった人の割合を見ると、スウェーデンで42%、オランダで35%、日本では81%(各国データは1996〜2000年時点)。がんに限れば病院で亡くなる日本人は9割で、最期まで抗がん剤治療を続ける人も多くいます。医師は「本人が希望したから抗がん剤治療を継続した」と言うかもしれません。でも、「いのちを大事にする」とは、どういうことなのか、医療者がもう少し伝えていかなければいけないと思います。

◎途上国から学ぶ世界のホスピス

 世界のホスピス運動は、あらゆる人の、生まれた時から亡くなる時までの健康を考える「パブリックヘルス(みんなの健康)」の一環として、発展してきています。今回、演者のひとりとして、パブリックヘルスの観点から、コミュニティー緩和ケアを進めているインド・ケララ州のスレッシュ・クマール医師をお招きしました。2004年に私が参加した、ケララ州での「緩和ケアにおけるコミュニティー参加に関する国際会議」で、主導的立場だった方です。

 インドは途上国です。日米などに比べると、数十分の一程度の国民所得。ケララ州も、所得的には豊かではありません。しかし、15歳以下の死亡率や平均寿命といった保健統計を見ると、インド国内でケララ州だけが抜群に良い。識字率、教育力が高く、NGOなどの活動も活発で、地域での「ホスピス運動」が進んでいるからです。

 医療機関の数も、医師・看護師の人数も多くない中、在宅で過ごす人の終末期をサポートしている大きな力となっているのが地域ボランティアです。そして、「パブリックヘルス」の最後の段階として、ホスピスがあります。

 人間の価値は、先進国と途上国で変わりはありません。むしろ、困難な日々の中で、自分たちの暮らしや国を良くしようという人たちのほうが、人間的には豊かなのかもしれません。少なくとも、私より、クマール医師のほうが、ホスピスに関する知識や技術を持っていることは確かです。

 日本にホスピスが入ってきて、まもなく40年になります。日本らしい、日本から発信できる、世界にも通用するホスピス運動を、確立していく時期に来ているのではないでしょうか。クマール医師の講演を含め、今回お見えになる講師やシンポジストの方々から、学ぶことは多いと思います。

【第24回日本ホスピス・在宅ケア研究会 全国大会in久留米 プログラム(一部抜粋】

●2月4日

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13:15~14:15
地域における医師会の貢献 演者:横倉義武(日本医師会長)

14:30~16:00
老いることはいやですか...自分を生き切る思想と姿勢
演者:落合恵子(作家)

16:15~17:00
いのちを受けとめる町づくり
演者:二ノ坂保喜(にのさかクリニック院長)

17:00~18:30
地域をつくるホスピス運動 講師:Dr.suresh Kumarほか

●2月5日

13:15~15:15
白衣を脱いで町に出よう~マギーズ東京のこころみ
演者:秋山正子(マギーズ東京代表)

医療法人 にのさかクリニック
福岡市早良区野芥4-19-34
TEL.092-872-1136
http://www.drnino.jp

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