免疫チェックポイント阻害薬は適応遵守を

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 ANK免疫細胞療法を実施する医療機関では、免疫と相性がいい分子標的薬の保険適応外処方も積極的に取り入れてきました。昨今、免疫チェックポイント阻害薬を自由診療で提供する医療機関も見られますが、ANK療法実施医療機関では推奨していません。どういう違いがあるのか、ANK療法実施医療機関に細胞培養センターを提供するリンパ球バンク株式会社代表藤井真則氏にお伺いしました。

■「夢の新薬」ではない

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藤井真則氏

 ニボルマブ(商品名オプジーボ)等の免疫チェックポイント阻害薬が話題になり、がん治療に免疫が重要であるという認識は広がりました。実は、名前に「免疫」とないだけで、欧米では以前から、腫瘍免疫を温存し、NK活性を高めるADCC活性を作用機序とする分子標的薬等が抗がん剤の主流になっています。がん治療は免疫中心という世界の潮流が日本では、認識されずにきたのは大きな問題です。世界標準の分子標的薬が日本では一部の部位しか保険適応にならないので、やむなく自由診療での処方を推奨し、厚労省も積極推奨の通知を出しています。さて、ニボルマブ等は、一部メディアが騒いだような「夢の新薬」ではありません。効果を発揮する部位が限られる上、致死レベルを含む重篤な自己免疫疾患が1割程度の頻度で発生します。しかも効果といっても、延命に過ぎません。どう見ても夢の新薬という切れ味はありません。保険適応範囲をしっかり守って慎重に処方すべきものです。

■PD-L1は正常細胞も発現しているが

 T細胞表面のPD1に、がん細胞表面のPD-L1が結合すると免疫抑制シグナルが入り、T細胞の攻撃が弱まるのでニボルマブは両者の結合を阻害する、と説明されています。多くの方が錯覚されるようですが、PD-L1は、がん細胞特有のものではありません。肺や心筋など、一部の正常組織に元々、発現しています。おそらくT細胞による攻撃を普段から防ぐ役割を担っているのでしょう。よくT細胞が、がん細胞特異抗原を認識し、攻撃するという説明がされますが、これは正しくありません。T細胞は、がん細胞か正常細胞かは区別できません。細胞ごとの微細な型番が自分の持つ「札」の型番と合えば、無差別に攻撃しますので、T細胞は、よく正常細胞を攻撃し、自己免疫疾患を起こしてしまいます。ここが、がん細胞を狙い撃ち、正常細胞を攻撃しないNK細胞との大きな違いです。がん細胞が、T細胞からの攻撃を逃れるためにPD-L1を発現するようなイメージが広がっていますが、単に、PDL1を発現する正常細胞が、そのままがん化しただけなのかもしれません。例えば、消化管の正常細胞はあまりPD-L1を発現しませんが、消化管系のがんも、PDL1を発現する率は低いと報告されていますし、臨床上も、ほとんど薬効が見られません。ニボルマブは、一部のがん細胞がもつ標的を狙うものであるため、効果を発揮するケースが限定されるのは当然です。また、免疫抑制信号を解除するような表現が目につきますが、複雑な免疫抑制システムの末梢のごく一部に作用するだけですので、腫瘍免疫全体を本格的に覚醒させているのではありません。たとえば、腫瘍免疫の主役であるNK細胞に関しては、こうした薬剤の作用は確認できません。

■免疫治療の本命は免疫細胞の体外培養

 体の中は複雑です。特に腫瘍免疫の主役であるNK細胞の制御系は、T細胞よりはるかに複雑です。体内に薬剤を投与するだけで、自在に免疫制御システムをコントロールすることは甚だ困難なのが現実です。やはり、体の外というシンプルで「見える」環境で、腫瘍免疫の主役であるNK細胞を確実に増強する免疫細胞療法が、最も理に適っています。


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