高知赤十字病院 浜口 伸正 院長

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大規模災害に備え2019年春、新築移転

【はまぐち・のぶまさ】 高知学芸高校卒業 1976 徳島大学医学部医学科卒業 同第二外科 1977 国立善通寺病院外科 1979 徳島大学医学部専攻生(外科学第二外科) 1983 高松赤十字病院呼吸器外科副部長 1988 高知赤十字病院第二外科部長 1995 同第一外科部長 2010同副院長 2016 同院長

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◎就任直後の熊本地震対応

 就任後すぐ、東京にある日本赤十字本社で開かれた院長会議に出席し、新院長として、「近い将来に必ず起きると言われている南海トラフ巨大地震が発生した場合、高知県では特に甚大な被害が予想される。有事の際は協力をお願いします」とあいさつしました。

 院長会議は4月11、12日。13日に高知に戻り、翌14日に熊本地震が発生。大分県でも一部被害が出ました。

 古くからの知り合いで、私と同様、院長になったばかりだった、本廣昭・大分赤十字病院院長に「地震が起きた際はよろしく頼みます」と言って別れた矢先のことでしたので、にわかには信じがたい出来事でした。

 日本赤十字社では、本社と都道府県支部に計499の医療救護班が常時編成されており、災害時には迅速に派遣できる体制がとられています。当初は九州の支部だけでの対応で十分とみられていました。しかし、16日未明に本震が発生。そこで、当院も同日朝、現地に医療救護班を送りました。

 院長になって2週間も経たないうちに大きな災害が発生し、とまどうこともありましたが、長年救急医療に携わってきたものとして、すぐに行動せねばならないと、気を引き締めました。

 私は1995年の阪神淡路大震災時、第1班医療救護班長として活動した経験があります。当時はまだDMATもなく、連携体制も不十分でした。その状況からすると、2011年の東日本大震災、今回の熊本地震と、赤十字の救護体制が徐々に向上している印象を受けました。

◎南海トラフ巨大地震を想定機能を維持する新病院

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新病院外観パース

 2019年春、新病院が完成します。現病院の南館は築22年、本館は築31年が経過しており、開設当時に比べ職員数が約2倍に増え、かなり手狭になっています。また南海トラフ巨大地震による津波を想定すると、現在の立地条件では長期浸水のため災害拠点病院としての役割はおろか、病院機能を維持することも困難となるため、新築移転が計画されました。

 1946(昭和21)年に発生した昭和南海地震(マグニチュード8.0、最大震度5、死者・行方不明者1443人)の時、高知市では1.15mほどの地盤沈下が起き、高知市街のほとんどが水没、長期浸水になりました。

 南海トラフ巨大地震が発生したら、高知市中心地に約2.3mの津波が押し寄せ、最大1.95mの地盤沈下が起こり、中心市街地では長期浸水になると予測されています。

 広域的な災害拠点病院は当院以外に高知大学医学部附属病院、高知医療センターがあります。この2箇所とも市内中心地から離れており、災害拠点病院としても国立病院機構高知病院、近森病院がありますが、国立病院機構高知病院も市内中心地から離れています。

 新病院の移転先は現病院から北へ直線で800mほどの場所です。さほど離れていませんが、現在の場所とは違って地盤沈下や長期浸水の心配はないと言われており、当院は市内中心地における災害拠点病院としての機能を期待されています。

 津波の被害予測は0~1m弱程度で、さらに50cmほどかさ上げ工事をしたり、跳ね上げ式の防潮板を整備したりして、浸水しない設計にもしています。

 また、全館免震構造で、非常用発電設備は屋上に2台設置し、電源などは2回線受電にします。機器類も、電気、ガス、重油など、さまざまなエネルギーに対応した複合熱源機器を採用する予定です。

 上水の備蓄は三日分あります。下水も地下の貯水槽に三日分貯めることができ、貯めた水はトイレの水などに利用できます。そのほか井水を浄化し、飲料水及び透析用水として利用することとしています。

 非常用発電機稼働用オイルタンクは3万5000Lずつ二つに分けて貯蔵し、仮に片方が使えなくなっても、もう片方を使用できるようにしています。

 フル稼働すれば三日分くらいになりますが、電源の供給制限をかけることで一週間は使える量を確保することができます。

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新病院講堂・ラウンジイメージ

 現在の敷地面積は約1万㎡ですが、移転先は約2万9000㎡と、約3倍になります。

 現病院の駐車場は一般車両で70台分、大型車両では最大でも5台分ほどのスペースしかありません。また、災害発生時のDMATや救護班のミーティング場所や待機場所としても50人の受け入れが限界です。

 移転先には、ヘリポートを屋上と地上にそれぞれつくるようにして、地上ヘリポートは自衛隊の災害用大型ヘリが離着陸できるようにしました。駐車場は、平常時に一般車両約600台が止められるスペースを確保し、災害時にはヘリポートスペースを除いても大型車両が約60台、一般車両は約250台駐車できます。

 また、移転先に隣接して北消防署の建設も始まりました。完成後には高知県の救命救急や災害などの中心的な消防署になりますので、お互いに連携して、災害訓練なども実施していきたいと考えています。

◎救急専門医10人ソフト面も備え

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救護訓練の様子

 当院の救命救急センターは、医師が11人、そのうち救急専門医が10人、集中治療専門医が5人です。救急専門医が10人いるのは国内で9カ所ほど。赤十字病院の中では当院がもっとも多く、日本屈指の規模の救命救急センターだといえます。

 救命救急センターの医師のうち7人は、DMAT隊員でもあり、統括DMAT登録者も4人います。西山謹吾センター長をはじめ、スタッフたちが大変教育熱心なこともあって、鳥取、島根、高松、徳島など、県外の病院から救急医療の研修に来られることも多いです。

 当院は地域の中核病院として、さらなる診療機能の充実、強化を図りたいと考えています。そのためには、特に地域との連携が不可欠です。

 現在、医師が不足している地域の基幹施設に、当院から外科、消化器内科、形成外科、耳鼻科などの医師を派遣しています。ほかにも、地域連携の一環として、地域訪問カンファレンス、地域医療連携意見交換会、症例検討会などを実施しています。

 症例検討会は今まで当院で開催していましたが、最近では紹介元の病院に当院の医師が出向き、紹介された症例について話し合うスタイルも取り入れ行っています。また、診療所などに当院の医師や認定看護師、メディカルスタッフが出向いて講義をする「出前講座」を昨年は21回開催し、参加者数は931人でした。

 最近、特に力を入れているのは公民館などで地域の方々を対象として無料で開催する「ミニ講座」です。依頼があれば、県下全域どこにでも出かけていきます。昨年は46回開催し、参加人数は1761人でしたが、今年は半年間ですでに48回開催し、1500人を超えています。

 熊本地震に続き、鳥取、福島と、地震が頻発しています。この地域でも災害がいつ起こってもおかしくありません。高知県民、市民の安心・安全のために、一日も早く災害に強い病院を造り、有事の際の救急救命・災害医療に力を尽くすことが、われわれの使命だと考えています。

高知赤十字病院
高知市新本町2-13-51
TEL:088-822-1201(代表)
http://kochi-med.jrc.or.jp


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