徳島大学大学院医歯薬学研究部総合診療医学分野 認定特定非営利活動法人 アムダ:AMDA AMDA兵庫 鈴記 好博 助教・副理事長

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ザンビア共和国で医療活動「国際医療を担う若い人材を輩出したい」

【すずき・よしひろ】 1990 徳島大学医学部医学科卒業 同第3内科(現 呼吸器膠原病内科)入局 1991 中村市立市民病院(現 四万十市立市民病院)内科1993 徳島県立中央病院呼吸器科1995 高知赤十字病院内科 1996 徳島大学付属病院第3内科医員 1999徳島大学付属病院助手 2000 高知県農協総合病院(現JA高知病院)内科兵庫県立淡路病院 内科医長 2004 兵庫県立淡路病院内科科長 2005 淡路市国民健康保険北淡診療所 2015 ザンビアへ渡航Mwinilunga DistrictHospital 2016 徳島大学大学院医歯薬学研究部総合診療医学分野助教現在AMDA兵庫副理事長。国際医療支援、災害医療支援にも携わる。

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◎ザンビア共和国での活動

 昨年5月から今年4月までは、徳島県内のNGO団体「TICO(ティコ)」代表の吉田修さんからの紹介で、アフリカ南部のザンビア共和国で医療活動に携わっていました。世界のスタンダードの医療を、自分の目で見て、経験したいと思ったからです。

 首都ルサカから約1000km、バスで約17時間のムイニルンガという郡の唯一の病院が、私の職場でした。日本とザンビアの医療は多くのことが異なります。患者さんの疾患も違いますし、医療資源も日本ほど潤沢ではありません。また検査環境も劣っていると言わざるをえません。

 ザンビアの公的医療施設の医療費は無料ですが、国の予算に限りがあるので、使える薬は限られています。お金持ちは、プライベートクリニックで診てもらい、良い薬を処方してもらえるが、貧しい人はそれができないのです。

 マラリアはザンビアの国民病ともいえる病気です。ザンビアには耐性マラリアはなく、早めに病院に来て治療を受ければ治るのですが、多くの方が亡くなります。その大きな理由は、貧困です。ムイニルンガ郡はとても広く、東西を横断するのに車で5時間はかかります。貧しい患者さんは病院に行くための交通費を工面するのも一苦労なんです。また雨季になると、水がたまって車が通れなくなる地域の住民は通院できません。インフラ整備も大きな課題ですね。

 日本では基本的に国民全員が等しく、高度で手厚い医療を享受できます。しかし、それは日本が特殊な状況であり、程度の差こそあれ、ザンビアの方が世界のスタンダードに近いと言えます。

◎限られた医療資源のなかで

 限られた医療資源で診察をしなければならないし、コミュニケーション能力が問われるという点で、途上国での医療と災害地での医療、へき地医療は、相通ずるものがあると思います。

 国際医療も災害医療もへき地医療も根幹は同じなんです。医療を必要とする人のところに出向いて、お手伝いするのが地域医療です。それが海外なのか災害地なのかへき地なのか、それだけの違いです。

 これまで、医学生や若い医師は人から臓器、細胞へと視野を絞っていました。しかし、近年はより広い視野で医療をしたいと考える人が増えてきました。地域医療、総合医療の広がりを徐々に実感していますね。

 海外で活動をするうえで大事なのは、まず「郷に入れば、郷に従え」の気持ちを忘れないことです。国際医療支援に来た医師の中には「どうしてこの治療ができないのだ」とか「なんでこの薬がないのだ」と怒る人が少なからずいるそうです。しかし、限られた医療資源のなかで、できることをやるのが大事だと思うのです。

◎日本人とザンビア人異なる国民性

 ザンビアは、アフリカの中でも平和で治安のいい国です。街では子どもたちの楽しそうな声が聞かれ、窓の外からは鳥のさえずりが聞こえる。50年前の日本の田舎もこんな感じだったのではないかと思いましたね。

 その話をザンビア人にすると「日本みたいな国になるには、まだ50年もかかるのか」と落胆していました。しかし、正直私はもっと長い時間がかかると思います。

 日本は自らの手で道路を造ったり、橋をかけたりしましたが、ザンビアは海外の団体に頼っている状況です。国家のポテンシャルが大きく異なるので、発展には、まだまだ長い時間が必要になるかもしれません。

 日本人に比べるとザンビア人の国民性は随分大らかです。約束の時間が1時間遅れるのは普通なので、こちらもそのつもりで用意をする必要があります。日本では定刻どおりに電車が来るという話をし、とてもビックリされたこともあります。

 ただ日本を基準にしてしまったら世界中どの国も時間にルーズな国になります。日本の方が特殊だと言えるのかもしれません。ただ、真面目で几帳面な国民性ゆえにここまで発展できたとも言えます。

◎国際医療特別研修プログラム

 国際医療に興味を持つ学生さんも医学部を卒業すると2年の間の初期研修、3年間の専門医研修で、最低計5年間は日本で働くことになります。

 結局、その間に自らの生活環境も変わったりして抱いていたパッションを保つことが困難になるのです。

 徳島大学総合診療医学分野では、来年度から県、徳島県立海部病院と共同で、国際医療に興味を持つ人のために途上国の現場で国際医療を研修する「国際医療特別研修プログラム(IPM)」をスタートさせます。

 専門医研修を含む4年間、海部病院で勤務すれば、3カ月間、給料つきで国際医療のインターンシップを経験できます。3カ月という短期間ですが、若いうちに国際医療を経験することで、将来、国際医療を担う人材が輩出できればと考えています。

 AMDAグループ、TICO、JICA四国などの国際医療支援団体とも協力体制を敷いているので、充実したプログラムになることを確信しています。

◎南海トラフ地震への備え

 徳島大学の総合診療部に所属していますが、週の大半は徳島県南部の美波病院で働いています。美波病院のある海部郡美波町は南海トラフ地震があった場合、県内でも被害が大きいことが予想される地域です。美波町は海沿いの町で背後は山で囲まれています。津波の際に避難するとしても避難スペースや避難できる施設がありません。

 私が今、取り組んでいるのは美波病院の災害対策です。これまで、AMDAの活動として、東日本大震災や熊本地震の災害医療にも携わってきました。その経験を生かし、行政とも連携をして、最悪の事態も想定しながら、準備を進めている最中です。

徳島大学病院
徳島市蔵本町2-50-1
TEL:088-631-3111(案内)
http://www.tokushima-hosp.jp/


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