愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センター 伊賀瀬 道也 センター長

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アンチエイジングのすすめ
「人は血管とともに老いる」―健康寿命を延ばすために

【いがせ・みちや】 愛媛県立松山東高校卒業 1991 愛媛大学医学部卒業 同大学第2内科入局 1993 公立学校共済組合近畿中央病院循環器内科 1999 愛媛大学大学院・医学博士取得 2003 Wake Forest大学高血圧血管病センターリサーチフェロー 2011 愛媛大学医学部附属病院 抗加齢・予防医療センター長 2015 愛媛大学大学院 老年・神経・総合診療内科学特任教授

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―国立大学としては初となるアンチエイジングセンター、「抗加齢・予防医療センター」(AAC)のセンター長として、AACにはどのような機能が期待されているとお考えですか。

 設立の経緯を振り返ることで、AACが果たすべき役割を考えてみたいと思います。

 2006年2月にAACを開設しましたが、実際に開設に向けて動き出したのは2000年ごろのことでした。2000年というのは、ちょうど介護保険制度がスタートした年であり、日本社会が本格的に高齢社会に向き合い始めたターニングポイントになった年だと思います。

 医療界においても、この頃から高齢者の健康について専門に診断・治療していく診療科(老年科)が全国的に普及し始めました。すると、高齢社会特有の課題が浮き彫りになってきたんです。

 具体的には、いわゆる「寝たきり老人」にならないための予防が大事だということがわかってきました。介護保険は「寝たきり」にならないために作られた制度であると考えていますが、そのためのステップとして、まずは加齢に伴う老化をできるだけ遅らせることが必要になります。

 つまりは予防医学的なアプローチが必要になるということで、こういった経緯からアンチエイジングという考え方を導入するようになりました。

 愛媛大学では、アンチエイジングと老年科を発展的に統合する形でACCを開設しました。主な機能としては「抗加齢ドック」(動脈硬化と動脈硬化性疾患に特化した人間ドック)が中心になります。

―アンチエイジングと聞くと、一般的には美容的な効果をイメージすることもあるのでは。

 アンチエイジングは、もともと米国から入ってきた考え方であり、欧米のそれの基本には見た目のアンチエイジングがあります。

 もっとも、現在ではその概念は拡大しており、身体全体の老化に抗(あらが)うという考え方が主流になっていますね。ただ、日本語の「抗う」という言葉から受けるイメージとは少し違うかもしれません。というのも、暦(こよみ)年齢という言葉がありますが、その年齢にあった年の取り方のお手伝いをするのがアンチエイジングだからです。

 人間には寿命がありますから、だいたい100歳までを上限として、100歳まで健康に生きるためになにが必要か、それが抗加齢やアンチエイジングの領域になると思います。

―外見のアンチエイジングよりも身体の内側からの抗加齢を目指すべきだということですね。

 外見のアンチエイジングも、じつは身体の中の健康と密接につながっているんです。

 すでに論文として発表していますが、見た目が老化している方というのは、じつは身体的にも老化しているんです。

 アンチエイジングを始めたときに基本的な方針としたのが、「人は血管とともに老いる」ということでした。血管が老いるとは、医学的にいえば動脈硬化のことですから、身体全体の血管を検査する抗加齢ドックを始めたわけです。

 最近わかってきたことで、血管が老化している方は、たとえば足の筋肉量が減っていることがあります。専門的にはサルコペニアと呼んでおり、そういった筋肉量の低下が進行すると、じつは脳の萎縮も進んで認知機能の低下にもつながるということも論文として発表しました。

―抗加齢ドックではどのような検査を行うのでしょう。

 頭部については、最も磁場の強い3テスラのMRIで動脈硬化を検査します。これによって、脳の病気になる前の段階である隠れ脳梗塞(無症候性ラクナ梗塞)や隠れ脳出血(無症候性微小脳出血)を見つけることもありますし、脳の動脈瘤を発見したり脳の萎縮具合を測ることもできます。

 首の部分では、頸動脈エコーを使って、血管の老化を目に見える形で確認します。

 PWV(脈波伝播速度)を使った検査では、太い血管を中心に血管の弾力性や血管内の詰まりをチェックします。さらに、ふともも(大腿部)の筋肉量の測定を行い、身体の老化と関連する認知機能については、複数のテストを使ってスクリーニング検査をします。

 抗加齢ドックではメタボリックシンドロームの検査も行っており、かなり多項目にわたって血液を検査します。一般的な貧血の検査に加えて肝臓・腎臓の検査、血糖値や心臓のBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)検査 をしていますので、特定機能検診としても利用することができます。

―抗加齢ドックを受けるのはどのような方が多いのでしょうか。

 当初は50歳くらいがメインターゲットだと考えていたのですが、実際の利用者の平均年齢は65歳です。イメージとしては、会社を退職して子どもも自立された方ですね。家や車のローンも払い終わり、人生の次のステージに進むにあたって健康状態を確認しておこうと、そういう方が多いと思います。

 男女比では4対6で女性の方が多いですね。男性が一人で来ることは少なく、女性に引っ張られて夫婦で来られる方が多い。対照的に、女性は一人で来られる方も多いですよ。完全に自由診療で、フルコース5万円で実施しています。

 抗加齢センターは最近施設を新しくしましたが、老年・神経・総合診療内科学が兼任で運営していることもあって、実際の受け入れ人数には制限があります。

 1日最大でも4人しか診ることができませんので、年間で360人程度を目標値としています。ありがたいことに評判も良く、抗加齢ドックを受診するのに4カ月間ほど待っていただくような状態が続いています。

―健康に長生きするために、どのようなことに留意すればよいでしょうか。

 中年期の高血圧が認知症につながるということがわかってきました。また、中年期のメタボが認知症に関係していることもはっきりしてきましたので、ありきたりかもしれませんが、まずは食生活と運動習慣に気を配っていただきたいですね。

 食事については、外食を減らして和食中心の食生活を心掛けていただきたい。たとえば、動脈硬化を引き起こすとされるAGE(終末糖化産物)について、焼く、高熱で揚げるといった洋食の調理法がAGEを増やすということがわかっています。煮る、蒸すといった和食の調理法をもっと見直すべきですね。

 さらに、中年以降になるとどうしても血糖値が高くなって糖尿病にかかりやすくなります。血管を痛める非常に大きな原因にもなりますので、注意していただきたいと思いますね。

 血糖値を調整することでいうと、たとえば「食べ方」を変えることでも予防することができます。「ベジタブル・ファースト」と呼んでいますが、食事の際に最初に野菜を食べると血糖値が上がりにくくなりますので、意識してほしいですね。

愛媛大学医学部附属病院 抗加齢・予防医療センター
愛媛県東温市志津川454
TEL:089-960-5932
https://www.m.ehime-u.ac.jp/hsp/aagc


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