近畿大学医学部内分泌・代謝・糖尿病内科 池上 博司 主任教授

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J-DOIT3で4年連続1位テーラーメイド医療で患者さんに最適な治療を提供

【いけがみ・ひろし】 六甲学院高校卒業 1981大阪大学医学部卒業 1985同大学院博士課程修了 医学博士 米国ハーバード大学医学部 ジョスリン糖尿病センター研究員 1989 大阪大学助手(医学部老年病医学) 2002 同助教授(医学系研究科加齢医学) 2005 同助教授(医学系研究科内分泌・代謝内科)2006 近畿大学医学部主任教授(内分泌・代謝・糖尿病内科)

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◎全人的な医療を実践

 当教室では臓器別ではなく、患者さんを全人的に診ることを心がけています。

 例えば糖尿病を治療するにしても血糖値だけをみていてはいけません。患者さんの体重、腹囲など全体をみる視点を持つようにと教室員には指導しています。

 人の体全体を統合的にとらえるという意味で、最も内科らしい分野だと言えるかもしれません。将来開業して、地域のかかりつけ医になる人などは、当教室での経験がとても役に立つでしょう。

 糖尿病や内分泌疾患は、一度発病すると、その病気と一生付き合っていかなければなりません。糖尿病は放置すれば、腎不全や失明など重篤な合併症を引き起こす恐ろしい疾患です。しかし、発症初期から適切な治療と生活指導をすれば、一生涯健やかに過ごすことができるのも事実です。患者さんのために今、何をすべきかを常に考えていなければなりません。

◎最先端の糖尿病医療を提供

 外科手術の際、患者さんが糖尿病を合併していると手術成績が悪くなります。その場合、当教室が、その患者さんの糖尿病管理を担います。

 膵臓がんなどで、膵臓を摘出すると、インスリンが分泌されなくなります。そこで当教室の教室員、外科の先生がタッグを組み、切除前から入念な準備をし、術後は、私たちがインスリン投与の管理をするのです。

 インスリンが出ない人の場合は定期的なインスリン注射が必要です。毎食前の3回以外にも、1日全体の基礎代謝を調整するためのインスリンを打たなければなりません。

 現在は、注射のほかにインスリンポンプ療法という治療法があります。これは携帯型インスリン注入ポンプを用いて、インスリンを皮下に持続的に注入する治療法で、保険適用されています。厳格な血糖管理が必要な患者さんに対しては、この治療法を選択しています。

 健康な人は血糖値が下がるとインスリンが減るし、血糖値が上がればインスリンが増えます。しかし、1型糖尿病の人や膵臓を切除した人は、インスリンがつくれません。インスリンポンプにはプログラムが組み込まれており、時間に応じて投与量が変更できるのです。

 持続血糖測定システムを用いた治療にも取り組んでいます。これは組織間質液中のグルコース濃度を連続測定する血糖測定器です。この機械の登場により、長時間連続で血糖を測ることが可能になりました。

 またインスリンポンプと持続血糖測定器の機能を併せ持つ機械もあります。血糖値を絶えず測定しながら、インスリンを投与することができます。

 いずれも保険適用されていますが、全国どの病院でも、できる治療ではありません。一定数の専門医が在籍するなど要件を満たしていないとならないのです。

◎大阪府の糖尿病の現状

 大阪府の10万人あたりの糖尿病患者率は全国平均をやや下回っています。府内には大学病院や特定機能病院が多く、糖尿病専門医もたくさんいます。啓発活動なども熱心にやっていることが全国平均を下回っている要因かもしれませんね。

 ただ、府内を流れる大和川から南方にある大学病院は当院のみです。重症の方も数多く来られ、さまざまな患者さんを診ることになります。研修医や若い医師にとっては、勉強になる環境ではないでしょうか。

◎狩猟民族と農耕民族

 アメリカには肥満の人が多いですが、糖尿病患者は日本に比べて少ないんです。なぜかと言うと欧米人は日本人に比べてインスリンの分泌能力が高いのです。

 元来、欧米人は狩猟民族です。獲物を獲得して、それを食べ、体に栄養を蓄えます。いつ獲物が取れるかわからないわけですから、栄養を十分蓄えられる人たちだけが生き残ってきたと考えられています。

 一方、日本人は農耕民族です。明治時代になるまで肉も卵も食べていませんでした。そういう食生活であれば、インスリン分泌量が少なくても十分、生命維持ができます。

 戦後、日本人の食の欧米化が急激に進んでいます。しかし脂っこい食事を食べて太っても、それを処理するだけのインスリンを分泌できません。だから日本人は欧米人よりも糖尿病になりやすいのです。

◎患者さんそれぞれに合わせた最適の医療を

 当院では患者さん一人ひとりの状態に合わせた「テーラーメイド医療」を糖尿病専門医、管理栄養士、糖尿病療養指導士の資格を持った看護師、薬剤師、理学療法士によるチーム医療で提供しています。

 洋服に体を合わせるのではなく、その人の体形にぴったりと合った洋服を仕立てる「テーラーメイド」を医療に応用したものが「テーラーメイド医療」です。患者さんによって異なる生活習慣、年齢、体格などに合わせた最適な薬を選択すること。それをしっかり継続してやり続けた結果が「J―DOIT3」の4年連続1位です。

 「J―DOIT3」とは厚生労働省のサポートのもとで実施されている、糖尿病の合併症を抑制するためのプロジェクトです。当院は糖尿病管理の「総合評価」において4年連続で全国1位をいただいています。全国81の専門施設の中でトップということで、大変名誉に感じています。

 プロジェクトの一環として、J―DOIT3 専門外来、多職種による定例カンファレンス、個別の症例について検討する糖尿病専門医によるカンファレンスを実施しており、これらの活動で得た成果を一般の治療にもいかせるように努めています。

 糖尿病のように日常の生活習慣との関連が特に強い疾患では、その人の生活背景、性格などを鑑みた治療が必要なんです。

【J-DOIT3とは】
J-DOIT3(Japan Diabetes Optimal IntegratedTreatment study for 3 major risk factors ofcardiovascular diseases の略称:ジェイ・ドゥイットスリー)は、厚生労働省の研究事業「糖尿病予防のための戦略研究 課題3」として実施。同事業では糖尿病に伴う心筋梗塞や脳卒中の発症および進行防止で方法を見い出す臨床試験をしている

近畿大学医学部附属病院
大阪府大阪狭山市大野東377-2
TEL:072-366-0221(代表)
http://www.med.kindai.ac.jp/huzoku


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