医療法人社団大谷会 大谷リハビリテーション病院 大谷 まり 院長

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"島でねばる"医療を目指して「島の病院おおたに」の挑戦

【おおたに・まり】 ノートルダム清心学園清心女子高校卒業 1997 久留米大学医学部卒業 久留米大学病院小児外科 1998 同救命救急センター 大阪府立母子保健総合医療センター 2000 社会医療法人雪の聖母会聖マリア病院 2002 久留米大学病院 2003 大谷リハビリテーション病院 2009 同院院長 2017.3 島の病院おおたに 院長(大谷リハビリテーション病院から改称)

 広島県南西部に位置する江田島市は、人口約2万4000人、高齢化率は40%以上で県内でも上位となる。10年後には人口1万人減と予測されるなか、2017年3月 、江田島にある大谷リハビリテーション病院が同市内に移転、新病院を開設する。その戦略や思いについて大谷まり院長に話を聞いた。

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◎島の病院として70年余り地域に貢献

 当院の前身となる芸南病院は、祖父で外科医の大谷彰が1943(昭和18)年に開設、70余年の歴史を持ちます。同じく医師で二代目を継いだ父宏明は、1988(昭和63)年院長に就任し、2003(平成15)年には現在の大谷リハビリテーション病院へ改名しました。2009(平成21)年には父宏明理事長の後を受け、院長に就任しました。

 小児外科医として九州や関西に勤務していた私が当院に戻ったのは13年前。当初は、病院の運営について、考えがぶつかり合い、よくけんかをしていた父と私でしたが、それだけ二人とも医療に対する思いが強かったのでしょう。39歳の時、事前に話もなく院長に就く発表には大変驚きました。医師として、そして病院運営に関わる人間としても評価してくれたことは大変うれしく思った反面、病院の経営を任された責任の重さを感じました。また、島の医療を担う病院として、身が引き締まる思いでした。

 院長になってしばらくすると病院建て替えの話が持ち上がりました。現在の病院は1985(昭和60)年に父が建設したもの。建物は老朽化し、その一方で患者さんの年代層の変化に伴ってスタッフが増え、院内が手狭になるといった問題も浮上。日常業務に支障が出ていましたが、医師やスタッフの確保も困難なこの土地で、すぐに建て替えという結論には至りませんでした。

 しかし、当法人はこの江田島市では200(現在250)人を雇用する大きな組織となっていました。今ここで縮小をしては、70余年の間、病院を支えてくださったスタッフや島のみなさんに申し訳ないという思いが強くありました。悩んだ結果、私はこの土地で育て支えてくださった島の方々への恩返しの気持ちで、"島でねばる"医療を展開したいと強く思いました。今から5年前のことでした。

◎ハード面のこだわり

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 新病院は江田島市の大柿町から能美町に移転します。本当は大柿町での開設を希望していましたが見合う広さの土地がなく断念。ただ、移転先は島の中心に位置する中町港から徒歩10分弱と利便性は良くなります。島は大まかに三つのエリアに分かれますが、これまで病院がなかった能美町に移転することで、江田島町と大柿町の三町それぞれに病院があり、バランスよく配置されることになります。江田島市内では、交通の利便性を考えれば、連携し合い、島の医療を支えていけると思います。

 病院は海岸沿いに建ち、海が目の前に広がります。「病院らしくない病院」を目指し、ホテルのように清潔で快適な環境整備や、日当たりにもこだわりました。院内は瀬戸内らしい優しい色合いにし、心穏やかに過ごしていただけるようにしました。これからは、病院のカフェや海が見える食堂で、家族や友達と過ごしていただくこともできます。病院の環境として、これ以上ないロケーションと言えるかもしれません。

 ただ、あくまでも島の異空間ではなく島の雰囲気を大事にした空間をつくりたいと考えています。患者さんが知人に「『島の病院おおたに』で会おうや」と利用してもらえるような場所になりたいですね。

◎「おおたに」を残して

 来年3月には、病院名を「島の病院おおたに」に改めます。「島の病院」を入れたのは今後江田島で地域医療により貢献したいという気持ちや、医療を通して江田島市のすばらしさを全国の方に知っていただき、実際に足を運んでもらいたいとの思いからです。一つひとつこだわりたい思いも強く病院の名称については悩みました。スタッフにアンケートを取ったところ、そのほとんどから「大谷」という名前を残して欲しいという声があがりました。「残したほうがいいものは大事にしましょう」とスタッフに後押しをされました。

 病院の運営の要は、スタッフがどれだけ気持ちよく働いてくれるかだと思っています。そのため、特に力を入れたのが、スタッフルーム。ここでは仕事から離れ、多職種がリラックスして話せるおしゃれなカフェのような空間をつくりました。最近、医療従事者に選ばれるホスピレート(働きやすい病院評価)という考え方も浸透し始めていますが、今後はこの点にも力を入れたいと思っています。

◎プチ総合病院化計画

 新病院のコンセプトは、「0歳から100歳までを診る」。プチ総合病院化計画です。

 常勤医師の確保は難しいですが、各診療科の、より専門的な分野は非常勤医師に来ていただくことでカバーしていきたいと思っています。

 医師の確保ができれば、呉市や広島市に行かずとも、おおたにへ行けば専門医に診てもらうことができ、港に行く足がないという高齢者の患者さんにも喜んでいただけると思います。

◎女性医師として

 「女は外科には向かない」。そんな言葉が聞かれた時代はもう過去のこと。小児外科医として、小児はもちろん一般外科まで幅広い患者さんを診る機会を与えていただいた大学には本当に感謝しています。おかげで、現在は総合診療医として、0歳から100歳を超える高齢者まで幅広く対応させていただいています。また、女性や母、また娘として、出産や子育て、介護を経験することで、共感しながら患者さんと向き合うことができるようになりました。

◎新たな試みと課題

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新病院 外観パース

 健診にも注力したいですね。CTやMRIを導入し、遠方の大きな病院に行かなくとも検査、評価ができるようにしたいと思っています。

 さらにより先進的な治療にも取り組みたいと考えています。例えば鹿児島大学で始まった「和温療法」は広島県では当院が初めて導入しました。他にもこれまでは東京まで行かないと受けられなかったような医療を実施することで、島の人はもちろんいろいろな地域の患者さんの受診を増やしていこうと思います。

 また、リハビリ分野で取り組みたいのが「五感を生かすアートリハビリテーション」。認知症患者さんがアート作業を行ったところ、集中力やコミュニケーション面で大きな効果があったからです。

 今後ますます高齢化が進むこの島で、最も課題となるのは、認知症ケアや在宅ケアです。このためにも、地域住民や行政とともに協力し合いながら、地域が連携できる体制づくりに力を尽くします。島の医療に貢献するためにこれからも挑戦し続けたいと思います。

医療法人社団大谷会 大谷リハビリテーション病院
広島県江田島市大柿町柿浦1970
TEL:0823-57-3636(代表)
http://ootanireha.com


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