田川慈恵病院 田中 真理子 理事長・院長

  • はてなブックマークに追加
  • Google Bookmarks に追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • del.icio.us に登録
  • ライブドアクリップに追加
  • RSS
  • この記事についてTwitterでつぶやく

就任から5年余りで結婚、出産、復帰
女性の視点で働きやすい職場づくりも

【たなか・まりこ】 福岡雙葉高校卒業 2003 福岡大学医学部卒業 福岡大学医学部精神医学教室入局2010 医学博士取得 2011 田川慈恵病院理事長・院長 精神保健指定医 日本精神神経学会専門医・指導医 難病指定医 精神科薬物療法研修会修了

 2011年に理事長・院長就任、2013年に結婚、2015年に第一子出産...。田川慈恵病院の田中真理子理事長・院長は、まさに今、女性医師が数多く離職すると言われる「出産・育児期間」まっただ中だ。どのようにキャリアを重ね、仕事をしているのか。田中理事長・院長に聞いた。

k4-1-1.jpg

◎父の急死で早まった就任引き継ぎ期間ゼロでの船出

 医師になろうと最終的に決めたのは、高校生のころでした。父が精神科の医師で、「医者はいいぞ」と。医師以外の仕事にも魅力を感じていましたが、最終的には、「病気を診るだけでなく、患者さんをみる」という父の言葉にひかれて、医学部に進みました。

 医学部を卒業したのは、今の新医師臨床研修制度が始まる直前。当時は卒業後すぐに入局でしたので、どの科に進むのか迷いました。いつかは父と同じ精神科に進もうと決めていたものの、卒業してすぐに精神科に進むべきなのか、わかりませんでした。父の勧めもあり、最終的には「どうせいつかやるなら、最初から精神科に行こう」と福岡大学の精神医学教室に入局しました。

 大学の一医局員だった私に、転機が訪れたのは6年ほど前でした。2010年、父の病気が発覚。一時は復調したものの、2011年3月半ばから急激に状態が悪化し、2011年4月に亡くなってしまったのです。

 病気判明後、3人姉妹の長女の私がこの病院を継ぐことになり、計画では2011年4月から常勤医としてこの病院で働きつつ、父に病院のこと、経営のことを教わる予定でした。

 しかし、その準備ができないまま、父が亡くなり、その月のうちに理事長・院長に着任。それまで診療の経験しかなかったため、経営方法や病院の事情、組織の成り立ちがわからず苦労しました。

 院内でわからないことは、看護師さんや勤務歴の長い職員が教えてくれました。すぐ下の妹は、早い時期からこの病院で医師として働いていましたし、その下の妹は経理として父と二人三脚で経営に当たっていましたので心強かったですね。いろいろな人に話を聞いたり、本を読んだりして勉強しながら、理事長・院長の仕事を少しずつ進めてきました。

◎院内保育園整備女性が働きやすい職場に

k4-1-2.jpg

 病院は女性が多い職場です。院長になってから、採用対策、女性が働きやすい職場づくりの一環で、院内保育園を整備しました。保育の方針や内容を吟味し、絵本の読み聞かせや音楽を使った教育法「リトミック」を取り入れている業者に管理を委託しています。計画がスタートしたのは出産の予定もないころでしたが「安心して子どもを預けられる場所にする」という気持ちは強かったですね。

 今、当院に勤務している職員のほか、非常勤で来てくれている女性医師も、この院内保育園に子どもを預けて働いています。私の長女も、日中、院内保育園で過ごしています。看護師や女性医師の採用に関して、より来てもらいやすく、続けてもらいやすい環境になったと思います。

◎就任後に結婚、出産夫や周囲の協力で復帰

 大学を卒業したころの私は、医師としてのキャリアとはまったく別のところで「20代後半に結婚して、30歳前に出産したい」という漠然とした希望を持っていました。しかし、教授に勧められて大学院に入ったのが27〜28歳ごろ。「出産まで考えると結婚は大学院を卒業してからかな」「縁があれば、いつか結婚したい」と、だんだん先延ばしになっていきました。

 理事長・院長という肩書きは結婚相手としては敬遠されるかも...と思い、就任前の結婚を期待していましたが、縁がないまま2011年には理事長・院長に。でも、たまたま同年に出会った夫と2013年に結婚しました。

 さらに2015年には長女を出産。院内のことは副院長である妹にお願いし、必要があれば電話や職員に自宅に来てもらうことで対応していましたが、出産後3カ月で少しずつ仕事に復帰しました。

 今は午前10時から働いています。午後5時には病院を出たいと思っているものの、なかなか難しいですね。夫が協力してくれるので、子どもの寝かしつけは夫、その間に私が家事、というように、分担しながら仕事と家庭を両立させています。

 仕事に復帰したばかりのころは、2〜3時間おきの授乳や夜十分眠れないことでの体の疲れ、家の中のことが思うように進まないことのストレスなどもありました。でも、休日は家族で外に遊びに行くようにしてリフレッシュを図っています。子どもが1歳になりましたので、近いうちにもう1人、という気持ちもあります。

◎認知症など高齢者医療にママたちのケアも加えて

k4-1-3.jpg

 今、地域医療構想の策定、地域包括ケアシステムの構築が進んでいます。慢性期型の精神科病院である当院には当院の求められている役割があると思います。当法人内には介護老人保健施設「慈恵苑」もあります。今後も患者さんの立場に立った温かみのある対応ができる病院を目指し、医療、介護を含めた枠組みの中で、積極的に患者さんを受け入れていきたいと思っています。

 一方で、今後は妊娠中の女性、子育て中の女性のサポートにも力を入れていきたいと思っています。自分自身が出産や育児を経験したことで、産前産後、育児期間中に困っていたり、ストレスを感じたりする人の手助けをしたいという気持ちが強くなりました。

 大家族で子育てや家事に多くの大人の手がかけられた時代と違い、今は核家族が増え、相談相手がいないまま、孤立していくママたちも多くなっています。そして、彼女たちの精神的な不調は、子どもの成長にも影響を及ぼしてしまうのです。

 高齢化が顕著な時代に合った、高齢者のための医療を大事にする一方で、この病院をママたちが気軽に相談に来られる場所、集まれる場所にしたいとも思っています。

医療法人恵和会 田川慈恵病院
福岡県田川郡福智町弁城3552
TEL:0947-22-1887
http://keiwakai-group.or.jp/jikeikai


九州医事新報社ではライター(編集職)を募集しています

楽採で医師の採用を「楽」に!

博多水引×九州医事新報

バングラデシュに看護学校を建てるプロジェクト

人体にも環境にも優しい天然素材で作られた枕で快適な眠りを。100%天然素材のラテックス枕NEMCA

一般社団法人メディワーククリエイト

日本赤十字社

全国骨髄バンク推進連絡協議会

今月の1冊

編集担当者が毎月オススメの書籍を紹介していくコーナーです。

【2017年5月の1冊】
イメージ:今月の1冊 - 68.こころをつなぐ小児医療
満留昭久[著]

Twitter


ページ上部へ戻る