大阪大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学 猪原 秀典 教授

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高度医療提供と臨床研究ができる人材育成を目指す

広島大学附属福山高校卒業 1987 大阪大学医学部卒業 同大学耳鼻咽喉科入局1992 大阪大学医学研究科修了(医学博士) 1992 米国Michigan Cancer Foundation留学 2000 大阪大学医学部耳鼻咽喉科講師 2009 大阪大学医学部耳鼻咽喉科(現・耳鼻咽喉科頭頸部外科学)教授

 1906(明治39)年、大阪府立高等医学校に創設されたことが起源の大阪大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室。臨床、研究の多くの分野で優れた人材を輩出してきた。現在の猪原秀典教授は2009年、8代目教授として着任した。

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―医局の特徴は。

 耳(めまい平衡・難聴)、鼻(副鼻腔・アレルギー)、のど(音声・嚥下)、頭頸部腫瘍など、それぞれの分野でバランスよく非常に高度な医療を提供できているというのが、当医局の臨床面での特徴だと思います。

 人工内耳埋め込み術の数は西日本有数で、頭頸部がんの症例数も極めて多く、その偏りのなさが強みです。それぞれのグループが、日本をリードすることを目指し、日々、がんばっています。

 大学で診療に当たっているスタッフは12人、病棟を診ている専攻医が7人、大学院生は13人、留学が3人。ありがたいことに、大学院志望者が多く、順番待ちの状態です。関連病院は20ほどで、医局からは約130人を派遣。新入局者は、毎年10人ほどです。

 一般的に、病院の耳鼻科スタッフの数は4人ほどが標準だと思いますが、当医局関連病院の中には、8人いる施設が複数あります。その規模自体、なかなかないと思います。そのような大きな病院には、耳鼻咽喉科部長と頭頸部外科部長をそれぞれ置いてダブルヘッド体制にし、各先生の強い分野を積極的に打ち出しています。

―今後の展望を聞かせてください。

  科学的に物事を考えることができる優れた臨床医を育てること。特にこの領域は、まだまだ臨床研究ができていないことが多いので、臨床研究のできる人材を育成していく方針です。

―医局の雰囲気や若いスタッフに望むことを。

 「雰囲気が良かったから」と、この医局を選ぶ人が多いと、担当者から聞いています。実際、本学出身者か他大学出身者かという区別はしませんし、後のキャリアにもまったく影響しません。

 毎年、医局員全員からアンケートをとって、希望を聞いています。当然、組織なので必ずしも全員の望み通りにいくわけではありませんが、できる限り、沿うようにしています。上の立場の人間のほうから、話を聞きにいくという態度をとるようにしていますし、みんなにも徹底しています。

 若い人には、医療技術だけでなく、診察態度も含めて磨いていってほしいと願っています。「自分の家族を診療してほしい」と思えるような医師になること。患者さんに偉そうに接するというのは、もってのほかです。

―ご自身が耳鼻咽喉科・頭頸部外科の分野に進まれた理由は何でしょう。

 頭頸部の手術は、ダイナミックに見えます。そのような手術をしたかったというのが、一番の理由です。専門は、頭頸部がん、甲状腺がん、唾液腺がんです。

 頭頸部がんには口腔がん、咽頭がん、喉頭がんなどがあり、酒・たばこがリスクとなります。今は喫煙率が下がっていますので、たばこを原因とするがんは減少傾向ですが、一方で、HPV(ヒトパピローマウイルス)が原因で咽頭がんにかかるケースは、今後増えていくだろうと予想されています。

 進行がんで、機能温存を目指すときは、放射線と抗がん剤を併用します。例えば、喉頭がんや咽頭がんが進行している場合で喉頭を取らなくて済むように、そうした方法を用います。

 ただ、それもみんながみんな、うまくいくわけではありません。見極めが大切で、その部分は、当教室の得意とするところの一つです。

―2015年の高齢化率は26.7%。超高齢社会となり、難聴の方も増えています。

 高齢者の難聴を放置しておくと、認知機能の低下が進んでしまいます。手術して治る場合は、手術で改善し、それ以外でも、しっかり補聴器を使うようにしたほうが良いです。

 例えば、視覚と聴覚の重複障害があったヘレン・ケラー(1880-1968)は、「目が見えないと、人と物を切り離す。耳が聞こえないと、人と人を切り離す(Blindnesscuts you off fromthings; deafness cuts youoff from people.)」と言いました。

 聞こえず、コミュニケーションが取れないというのは、非常につらいことです。「聞こえ」を何とかすることは、この超高齢社会において、重要なことです。

 日本には、難聴の潜在患者さんがまだまだたくさんいらっしゃいます。高齢者を中心に、「聞こえなくても仕方ない」とあきらめてしまう人も多くいますので、市民講座などを通じた啓発がもっと必要だと思います。

―音楽を用いた突発性難聴の治療でも知られています。

 当医局出身で、現在は自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)にいる岡本秀彦先生が中心となって、研究に取り組んでいます。

 聞こえない耳を保護するのではなく、積極的に活用するリハビリテーション療法。通常のステロイド療法に加えることで、ステロイド療法のみよりも聴力の改善が認められています。実用段階かというと、まだそうではないのですが、可能性はある、新しい発想です。

大阪大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
大阪府吹田市山田丘2番2号
TEL:06-6879-5111(共通)
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/ent/


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