愛媛県立中央病院 濱見 原 救命救急センター長・災害医療センター長

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来年2月にドクターヘリ導入「医療の地域格差をなくす」

1983 愛媛大学卒業 同医学部麻酔科入局 1984 市立宇和島病院(南予救命救急センター)、愛媛県立新居浜病院(東予救命救急センター)などを経て1999 愛媛県立中央病院(中予救命救急センター) 2003 同救急部長 2010 同災害医療センター長 2012同救命救急センター長

 愛媛県立中央病院の救命救急センターは1981(昭和56)年に開設。24時間365日体制で3次救急を担っている。

 愛媛県で来年2月に導入が予定されているドクターヘリの運用や災害医療について聞いた。

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自転車が趣味の濱見原センター長。しまなみ海道を走るサイクリング大会にも参加する予定だそうだ

―ドクターヘリを導入するそうですね。

 愛媛県では、来年2月にドクターヘリを導入する予定で、当院が基地病院になっています。

 離発着場は当院と松山空港。週の半分は当院を離発着場所とし、残りは松山空港から離発着する計画です。

 なぜ、そうなったか。最大の理由は騒音に対する配慮です。当院は伊予鉄道の松山市駅から徒歩約15分と街なかにある病院です。すべて当院から離発着するとなると当然、近隣住民の負担が増すことが想定されます。

 一方、すべて松山空港での運用となると、フライトドクターやフライトナースといったスタッフが空港に常駐する必要があります。 そこで折衷案として前述のような運用方法に決まったわけです。

 現在、本県にはドクターヘリがありませんので、県の防災ヘリを使用して、ドクヘリ同様の活動をしています。しかし、防災ヘリには患者モニターや人工呼吸器など、ドクターヘリに搭載されている専用の装備はありません。

 ドクターヘリの導入で、生命の危険がある患者さんに救急現場などでの初期治療が可能になり、救命率の向上や後遺症の軽減などの効果を期待できます。そして東西南北に長い愛媛県の医療の地域格差が解消できるようにしたいですね。

―人材の育成も重要です。

 ドクターヘリの運用に向けて、スタッフはそろっています。そうはいっても後進の育成にも注力しなければなりません。

 当院の看護師に来年2月までの間に、ドクヘリを運用している施設で研修してもらう予定です。実際の搭乗に同乗し、現場を自分の目で見てもらうわけです。

―愛媛県では毎年、原子力防災訓練を実施していますね。

 西宇和郡にある伊方原子力発電所で、福島第一原子力発電所と同等の事故が発生した場合に備えた訓練です。医療組織では当院と県の医師会、日赤の愛媛県支部などが参加しています。

 原発がある地域には、当然、原子力災害のリスクがあります。ただ、それを根拠なく恐れる必要はないと私は考えています。

 2011年3月11日の東日本大震災による福島第一原発事故では、原発から20km圏外への避難指示が出されました。原発から5kmの場所に位置していた病院と系列の介護老人保健施設には、当時約200人の患者がおり、その多くは寝たきりや介護が必要な高齢者でした。

 輸送手段や体制が整わぬまま、慌ただしく避難。長時間移動など無理がたたったのか多くの人が亡くなってしまったそうです。

 確かに放射能を長時間浴び続けると障害が出ることがありますが、基準値以下の空間線量で即死することはありません。

 1週間程度で体制を整えてから避難しても十分だったのですが、医療関係者も地域住民もそのことを分かっていなかったので、このような悲劇を招いてしまいました。

 伊方原発周辺にも病院はたくさんあります。しかし、放射能がどれくらい危険なものなのかが十分に認知されているとは言えません。

 私が今後取り組もうと思っているのは、愛媛県の医療関係者に原発事故があった際の対応や避難時期などについて理解を深めてもらうことです。現在は、院内で勉強会を開いています。それを県内のほかの病院にも広げていく予定です。

 今後は放射能被ばくと南海トラフ地震などの自然災害を分けて論じるのではなく、大災害のなかの一つの事象として放射能被ばくをとらえる視点が求められるのではないでしょうか。

 愛媛県では、「災害医療コーディネーター」を設置しました。災害医療コーディネーターとは、災害時に行政機関や関係機関と連携し、災害医療に係る各情報の収集、分析、伝達、それを踏まえたさまざまな調整、要請をする組織です。

 県内すべての災害拠点病院と六つの公立病院に設置しました。これにより、被災地で必要とされる医療を迅速かつ的確にコーディネートする体制が構築されました。それを一層強固なものにしていくお手伝いができればと考えています。

―熊本地震での活動について教えてください。

 4月16日の本震の翌日に県内DMAT(災害派遣医療チーム)の第二班として現地に出動。愛媛から熊本に向かうには、今治市と広島県尾道市をつなぐ「しまなみ海道」を通り、広島から熊本方面へ南下する陸路と、三崎港から大分県の佐賀関港へとフェリーで渡り熊本へ入る海路の2ルートが選択可能です。

 どちらを選ぶか悩みましたが、次に大きな揺れが来た場合、佐賀関港が壊滅的な打撃を受けるかもしれないという最悪の事態も想定し、陸路を選びました。

 熊本到着後、われわれは菊池市にある災害拠点病院の川口病院へと行きました。川口病院は概ね医療が充足しているような状況でした。医療よりも問題だったのは避難所の収容人数、食料、水の有無、衛生状態などが把握できていなかったことでしたね。その後、菊池保健所に移動。全国から集まった救護班とともに救護活動に従事しました。

 熊本地震での経験は、今後の教訓となりました。しかし、万が一、愛媛で大災害があったとして、熊本での経験がそのまま生かせるわけではありません。全く同じことは起こらないと思うので、熊本での経験を応用できるよう柔軟な対応をしなければなりません。

―今後の目標は。

 愛媛県の救急では輪番制を敷いています。しかし残念なことに病院によって医療の質にバラつきがあります。バラつきをなくし、均てん化を図らなければなりません。

 地域においては高度先進医療やスーパードクターよりも、ある程度のレベルの医療を幅広く提供することこそが重要だと思うのです。すべての医療機関が高いところを目指す必要はないと思います。困っている患者さんに「普通の」(適切な)医療を提供すること。これこそが地域で求められていることだと思うのです。

愛媛県立中央病院
松山市春日町83番地
TEL:089-947-1111
http://www.eph.pref.ehime.jp/epch/


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