松山赤十字病院 副院長 肝胆膵センター所長 上甲 康二

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ラジオ波焼灼療法の症例数全国トップクラス/低侵襲な肝臓がん治療を提供

1981 愛媛大学卒業 1986 同大学院卒業 同第3内科助手 1993~1996 米国アルバートアインシュタイン医科大学研究員 1998 愛媛大学医学部附属病院講師 松山赤十字病院内科部長 2004 同肝胆膵センター所長(肝臓・胆のう・膵臓内科部長) 2011 第一肝臓・胆のう・膵臓内科部長 2014 松山赤十字病院副院長(教育研修推進室長、医療安全推進室長、中央検査室長兼務)

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ー松山赤十字病院の肝胆膵センターについて教えて下さい。

 2004年の4月に内科から独立して、肝胆膵センターを設立しました。肝胆膵に特化した部署はがんセンターや大学病院にはありますが、市中病院では少ないと思いますね。

 肝胆膵センターには肝・胆・膵の疾患に対して最先端の検査・治療ができる体制が整っています。B型肝炎やC型肝炎に対する最新の抗ウイルス療法や、肝胆膵の腫瘍性病変などに対する高度な技術を要するインターベンションなどを積極的に行っています。

 肝がんに対する内科的治療には、ラジオ波焼灼療法と腫瘍血管塞栓術などがあります。当センターのラジオ波焼灼療法の症例数は例年全国トップ10以内にランクされています。2015年は241件実施しました。

 この治療法のメリットは、開腹手術と比べて低侵襲な治療が可能になる点です。近年、ラジオ波焼灼療法は、器具の進歩もあって根治性が高まってきました。腫瘍の大きさにもよりますが、手術と同程度の治療効果が得られます。

 従来は、1個の腫瘍サイズが3cm以内で、3個までの適用となっていました。しかし現在では、3cmを超える大きな腫瘍を直接穿刺せず焼灼することや、10個くらいまでなら可変型電極で腫瘍を一気に焼灼することが可能となりました。さまざまな面でメリットのある治療法ですね。

 当センターでは最先端のラジオ波焼灼療法の機器など、常に新しいものを積極的に導入しています。多くの症例を集めて経営にも貢献することで、機器の購入もしやすい状況なのです。

 最先端の機器を導入することで、患者さんが集まる、収益があがる、という良い循環になっていると感じています。

 治療が困難な症例については近隣の病院から患者さんが当センターに紹介されてきます。肝臓がん治療は私の専門でもあるので、どんな症例でも、しっかりと対応していかなければなりません。

 C型肝炎は肝硬変や肝がんに進展する可能性のある疾患ですが、今では抗ウイルス薬によってほとんどの方が治る時代となりました。当然C型肝炎ウイルスが原因の肝がん患者数の減少が予想されるので、今後は、これまで以上にその他の原因の肝疾患、膵疾患、胆道疾患に力を入れていくことも必要です。

ー県内の肝臓がん治療の現状は。

 愛媛県は肝臓がんの患者数が全国で1、2を争うくらい多い県です。肝臓がんの多さは、C型肝炎の分布と比例すると言われ、要因としては、かつては当たり前のようにされていた注射針の使いまわしが考えられています。

 また愛媛県人の穏やかでのんびりした県民性も関係しているのかもしれません。いくら検診の重要性を訴えても、その県民気質からか、なかなか検診に行かず、深刻な状態になって初めて病院に行く人が実に多いのです。のんびりとした県民性が裏目に出ているのかもしれませんね。特に南に行くほど、その傾向は顕著です。

 県民への啓発のため、市民公開講座を毎年7月の世界肝炎デーの時期に開いています。また、地域の病院の医師への啓発活動も同時並行でやっています。

―2021年に新病院が完成するそうですね。

 最先端の医療を提供するための機器、システムの整備が必要です。新病院ではヘリポートを設置しますし、PET-CTも導入します。建物は免震構造で、災害に強い病院になります。

 建築費用に加えてPET-CT、ハイブリッド手術室、手術支援ロボット「ダビンチ」、3テスラMRI、血管造影などの機械購入などで莫大な費用がかかります。いい病院を造るための投資はしかたないと思います。ただ、莫大な借金を抱えてこれからの若い人たちが困ることがないように細心の注意を払い、慎重に計画を進める必要があると感じますね。

ー副院長と肝胆膵センター所長の2足のわらじを履いています。

 毎日とても忙しいですね。両方が中途半端になってしまわぬように日々の業務に懸命に取り組んでいます。

 しかし、年齢を重ねれば重ねるほど夜中まで働くのがつらくなってきました。なるべく午後9時までには帰ろうとは思っています。でも、なかなか難しいですね。

ー消化器内科に進んだきっかけは。

 愛媛大学医学部の学生時代、柳田邦男の「ガン回廊の朝」を読みました。とても面白く、それがきっかけで、消化器内科に進もうかと考えました。しかし、消化器外科や循環器なども捨てがたく最後まで悩みました。最後は友人の後押しがあって、この領域に進んだわけです。

 当時、肝臓疾患は「21世紀の国民病」だと言われていました。C型肝炎ウイルスは発見される前で原因不明の非A、非B型肝炎と呼ばれており、肝臓がんがとても多い状況でした。チャレンジのしがいがある領域だったことも選択に重大な影響を与えました。

 1998年に当院に赴任するまでは大学で研究に従事していました。研究で学んだことが臨床にすごく生かされていると日々感じています。

 若い人たちも2、3年でもいいので、基礎研究に没頭する時期があっていいと思います。学位の取得が絶対に必要だとは言いません。ただ研究で培った考え方は臨床で必ず役に立つのです。決して遠回りではないと思いますよ。

ー肝胆膵領域の魅力とは。

 肝臓がんの原因の60%を占めるC型肝炎が治る時代になりました。だからといって肝臓がんが絶滅するわけではありません。今後もよりよい治療法を開発していかなければなりません。

 膵がん、担道がんは、現在もまだ予後が悪い病気です。間違いなく今後、飛躍的な医療の進歩が必要な領域です。肝胆膵はまだまだやるべきことが多い、挑戦しがいのある領域だと思いますよ。

ー医師を目指す人にメッセージを。

 やりがいを感じて、一生懸命打ち込める領域を見つけてほしですね。医師に限った話ではないかもしれませんが、どれだけ仕事に熱意をもって向き合うかで、その人の価値が決まると思うのです。

 仕事に一生懸命取り組めるということは、その仕事に幸せを感じていることになります。ぜひ自分の人生を賭けられるような領域を選択してほしいですね。

 若い医師は、どうしても大都市の病院で働きたいと思うものです。しかし、当院は大都市の病院と引けをとらない医療レベルだと思っています。立地は不利かもしれませんが、やっていることは最先端です。都会でなくてもできることが、ここにはあるのです。

 愛媛の地で、われわれと一緒に仕事をしてくれる人が、一人でも多く集まってきてくれることを願っています。

松山赤十字病院
松山市文京町1番地
TEL:089-924-1111(代表)
http://www.matsuyama.jrc.or.jp/index.shtml


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