東広島医療センター 竹﨑 英一 院長

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行政や地元医師会と協働で地域住民の健康を守る

熊本マリスト学園高校卒業 1974 広島大学卒業 1980 加計町立病院 1981 広島大学病院 1987 国立呉病院 2004 呉医療センター2007 東広島医療センター副院長 2012同院長 広島大学臨床教授

 東広島市は近年、広島大学をはじめとする4大学(近畿大学、広島国際大学、エリザベト音楽大学)がキャンパスを置く学園町として、活気に満ちた町づくりを進めている。

 同市内にある東広島医療センターの歴史は、1939(昭和14)年に設立された「傷痍軍人広島療養所」までさかのぼる。2004年に現在の姿になった同院は、地域の医療ニーズをていねいにひろいあげながら、病院機能を拡充してきた。

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ー二次保健医療圏内唯一の公的病院として、期待される役割も大きい。

 当院は地域医療支援病院の指定を受けています。二次医療圏住民の健康な暮らしを守る、いわゆる政策医療的な役割が期待されており、がん診療連携拠点病院や地域周産期母子医療センター、広島県地域災害拠点病院など複数の指定がある病院として、地域での存在感が増していると思います。

 地域に密着した、質の高い医療の提供が基盤となりますが、そのなかでも救急医療への貢献は当院に期待される機能の最たるものです。二次救急体制は、地域の200床規模の病院(井野口病院、西条中央病院、八本松病院、本永病院)と共同で輪番制を敷いていますが、約50%を当院が担当しています。

 診療所からの紹介があれば輪番でない日でも受け入れます。ほかの病院でいったん受け入れたものの対応が難しいケースなどにも応えますので、必然的に救急搬送件数は多くなります。昨年受け入れた救急患者数は9511人で、そのうち救急車で搬送されたケースが2710件(時間内:978件、時間外:1732件)ありました。

 東広島市としては、当院に三次救急を担わせたいという構想を持っているようです。地域で果たしてきた役割や医療水準を評価していただいているということで、非常にありがたいのですが、実現にはまだ時間がかかると思います。

 理由の一つとして、当院が2004年に国立療養所の統廃合で誕生した新しい病院であるということがあげられます。急性期病院としての歴史がまだ浅いということもあって、三次救急を担えるだけの体制がまだ整っていません。

 具体的には医師数と診療科が不足しています。眼科や精神科などの不足している診療科をそろえ、さらに救急専門医などを配置しないと三次救急に対応できません。

 今年3月に山陽道のトンネル内であった多重衝突事故の際は、71人の負傷者のうち29人が当院に搬送されました。こうした大事故であっても現体制で対応することはできるのですが、三次救急となると重篤度が格段に増しますので、さらなる進化が必要です。

ー学園町でもあり、若い方が多い町です。

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  東広島市内に複数の大学がキャンパスを置いていることもあって、ほかの地方都市に比べると人口に占める若い方の割合が非常に高くなりました。人口動態を年齢別にグラフ化すると、いわゆる「樽」のようなカーブを描きます。

 もちろん高齢化は進んでいるのですが、ほかの地域に比べると「高齢化の坂」の勾配が非常に緩いため、たとえば高齢化にともなって必要になる医療・福祉体制の整備が追い付かないなどの状況はなく、急激な変化で息切れすることはないと考えられています。

 高齢化対策については、厚生労働省が描く地域医療構想とは別に、広島県が地域保健対策協議会を設置しており、各地域における保健・医療計画をまとめています。当院については、これまで同様に急性期医療を提供することで変わることはありません。

 急性期病院であるということはつまり、連携先である後方病院と有機的に結びつくことが求められています。この地域では医師会が在宅医療支援に力を入れていますので、そのネットワークを利用させていただいています。どの施設、病院でいくつのベッドが空いているのかという具体的な情報を共有していますので、当院で独自のネットワークを築くよりも効率的です。

ー働く方の満足度が高いことでも知られています。

  三次救急体制をとるためには、経営基盤を強固にする必要もあります。国立病院機構は非公務員化して独立採算制になったので、病院機能の拡充は健全経営とセットで実現する必要があります。

 病院の前に広大な駐車場があるのですが、屋根がないために雨が降るとぬれながら病院に駆け込んでくることになります。常勤医師や研修医も10年前に比べると倍増しましたので、官舎も足りません。経営面を改善することで、こういったハード面の改革にも取り組むつもりです。

 職員に、この病院で働いていることに自信と誇りをもってほしいんです。職員の満足度が高まると、それにつれて患者さんの満足度も向上します。職員の待遇改善などの取り組みが実を結び始めていて、看護職については毎年募集を超える人数の方に応募いただいています。

 研修医についても研修医制度発足当初は定員が2人で、しかも充足しないことも多かったのですが、現在は7人の定員に対して多くの応募をいただいています。医学部学生の臨床実習および当院に来てもらって、いっしょに食事をして、話を聞くといった取り組みが奏功していると思います。

 今後、国立病院は政策医療というよりも地域住民に密着した病院となることを求められています。実際、それぞれの地域行政に支援されるような病院にならないと、病院運営が成り立たなくなります。

 医師会との連携はとくに大事になります。地域の医師が当院になにを求めているのか、どんなサポート体制を望んでいるのか。もちろんすべてを充足させることはできませんが、できるだけ地元医師会の意向をくみ、協働して地域医療を守る体制を作りあげる、それが国立病院機構の病院としての今後の方向性だと思います。

独立行政法人 国立病院機構 東広島医療センター
広島県東広島市西条町寺家513番地
TEL:082-423-2176(代表)
https://www.hiro-hosp.jp


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