プロフィール:大分市出身。慶応義塾大学卒業。大和證券勤務、ココシス取締役などを経て、2014 年エネジーラボラトリ設立、代表取締役就任。3Dプリンター事業に取り組む「くらて学園合同会社」副理事長でもある。
2000年代半ば以降、急速に普及し始めた3Dプリンター(積層造形技術)は、今や幅広い分野で創造活動に使われている。
医療の現場も例外ではない。CT、MRIなどの医療診断装置が検出した医用画像から、3次元デジタルデータを作成し、材質の異なる複数の素材を用いて、人体部位の特異な感触を伴うリアルな3次元モデルの作製が始まっている。
現在の活用分野は、臓器の一部を模型として作製し、シミュレーションをすることで、安全性の高い手術計画を立案し、処置対応を検討するなどの「手術支援」と、人工関節手術のための「実物大骨格モデル」などである。
医療現場に革新をもたらしつつある3Dプリンターの活躍を見てみよう。
3Dプリンターは、これまで高度な職人技で"定性的"に作られていた医療用模型を、デジタル技術で"定量的"にし、精巧かつ安定した品質の確保を可能にした。
主なメリットとして、①患者固有の症状に対する高い再現性、②緊急時への迅速な対応、③幅広い素材対応などが挙げられる。
模型は、患者のCT画像などを基に3Dプリンターで作製される。プリンターで再現できない柔らかい質感のモデルが必要な場合は、プリンターで作った型枠に、特殊なゲル素材などを流し込むことで対応可能だ。
例えば、肝臓や胸部、腹部の質感を保って再現した模型を作り、内視鏡を使った手術のシミュレーションをすることもできる。
一方、硬い模型は、透明な素材で作製する。透けて見えるつくりのため、臓器内にある腫瘍や走る血管までもがリアルに確認できる。
現在、名古屋大学では、3Dプリンターで作製した疾患局部モデルを使い、患者への手術説明、例えば腫瘍の場所や切除の箇所などの説明が行われているという。
3Dプリンターは、多品種少量生産のオーダーメードに適している。義足や補聴器、ギプスなど、個人に合った、その人だけの1点を、安く、簡単に製作することが可能だ。現在、歯科医療の分野では、急速に普及が進み、実際に治療で利用されているケースも多い。今後、ますます広がることが予想される。
※3Dプリンターに関する問い合わせは、釘宮さん
TEL:092-737-5016 FAX:092-732-0701
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