国立大学法人 山口大学 大学院医学系研究科長 医学部長 大学院医学系研究科医学専攻 病態制御内科学講座教授 谷澤 幸生

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【4月に医学部長就任】国際的視野を備えた医師、研究者を育てたい

1977 和歌山県立橋本高校卒業 1983 山口大学医学部医学科卒業 1987 同大学院医学研究科(内科系内科学専攻)修了(医学博士) 労働福祉事業団愛媛労災病院内科 1989山口大学医学部附属病院(第3内科)助手 1990 ワシントン大学(米国ミズーリ州,セントルイス市)内科内分泌代謝糖尿病部門 (M. Alan Permutt教授) 研究員 1995 山口大学医学部附属病院(第3内科)助手 1997 同講師 2002 同大学院医学系研究科応用医工学系独立専攻生体シグナル解析医学講座分子病態解析学(旧内科学第3講座)教授同医学部附属病院第3内科科長(併任) 2004 同栄養治療部長(併任) 2005 同副病院長(併任)【2016年3月31日まで】 2006 同大学院医学系研究科応用医工学系専攻生体シグナル解析医学領域病態制御内科学分野教授(組織替えによる名称変更) 2012 同医学部附属病院 臨床試験支援センター長(併任)(2014年3月31日まで)2015 同大学学長特命補佐(2016年3月31日まで) 2015 同大学医学部附属病院医療人育成センター長(併任)【2016年3月31日まで】 2016 同大学院医学系研究科医学専攻病態制御内科学講座教授(組織替えによる名称変更)山口大学大学院医学系研究科長 山口大学医学部長

 山口県立医学専門学校として1944(昭和19)年に創設された山口大学医学部。これまでに5600人あまりの卒業生を輩出している。

 谷澤幸生医学部長に医学部について、また自身が教授を務める病態制御内科学講座について聞いた。

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◎特徴あるカリキュラム

 山口大学医学部のカリキュラムの特徴の一つに自己開発コースが挙げられます。3年次に実施するカリキュラムで、期間は夏休み直前から12月いっぱいまで。基礎、臨床の研究室で学んだり、国内外へ留学したり、ボランティア活動などもします。

 海外の研究室には毎年多くの学生が留学しており、今年も米国のハーバード大学をはじめ、英国やスイスなどに行っています。カリキュラム終了後には学んだことを論文にまとめてもらっています。

 ハーバード大学などでやっている研究と当大学でやっている研究に大きな差はありません。しかし、私は研究だけではなく、異文化に触れてもらうことで、世界における自分の立ち位置を認識してもらうことを望んでいるのです。この経験を通じ、国際的な視野を備えた医師・研究者を一人でも多く輩出していきたいですね。

◎研究力の強化

 当大学は臨床だけでなく、研究にも力を入れてきた歴史があります。2000年に開設した大学院医学系研究科応用医工学系専攻は、日本初の医学と工学が融合した専攻系です。

 その後、応用分子生命科学系専攻を開設。医学、工学、理学、農学が連携し、研究をします。

 学生の教育に関しても、われわれが工学部の学生に医学の基本を教えたり、逆に工学部の先生が医学部の学生を教えたりといった取り組みをしてきました。

 昨年、大学院の再編があり、新たに創成科学研究科が設置されたことで理・工・農学系と融合した専攻系は発展的に解消されました。しかし、共同研究の地盤は残っています。

 現在、医学系研究科発の拠点として、「難治性トランスレーション研究拠点」というものがあります。医療イノベーション創出を目指した新規治療法の開発や、それに関連する人材の育成が目標で「疾患ゲノム」「がん創薬研究」「免疫治療開発」「肝再生医療研究開発」の4ユニットで構成されています。

 免疫治療開発ユニットには、オプジーボに関連する創薬研究で日本を代表する研究者が在籍していますし、肝再生医療研究開発ユニットでは、実用化に近い臨床研究を進めています。

 これまでもそうでしたし、これからも世界と戦える研究を山口から発信していくのが、われわれの目標です。

◎再開発整備事業がスタート。2018年に新病棟完成

 病院の再開発整備事業では、「教育・研修」「研究開発・先進医療」「地域医療推進」「病院基盤強化」を基本戦略に掲げています。新病棟は2018年に完成予定で、先進救急医療センター、ハイブリッド手術室設置、ICU、GCUを増床。近年の医療ニーズに応えるべく、病棟の個室も増室します。

 また学生の教育環境を整備するために、医学部施設の再整備計画も進行中です。

◎自主的に学ぶ姿勢を

 医療の世界は日進月歩です。医師は、歩みを止めることなく、進歩に対応し続ける必要があります。学生には自主的に学ぶ姿勢を身につけてほしいと思っています。

 山口大学の理念は「発見し、はぐくみ、かたちにする。知の広場」です。研究室で実験中、また患者さんと会話をしている最中にも「ハッ」と思う発見や着想があるものです。それを「なぜだろう」と思考し、育んで、今まで分かっていなかったことを形にして治療法に結びつけていく。そんな医療従事者を養成していきたいですね。

◎病態制御内科学講座の教授として

 私は病態制御内科学(第3内科)の第5代教授です。当講座は1968(昭和43)年に開講以来、血液内科学、内分泌代謝・糖尿病学を主たる研究、教育領域にしています。初代教授は柴田進先生です。柴田先生は臨床検査の先駆者的な存在です。血液学を専門にしていて先天的な異常ヘモグロビンをたくさん発見した方です。

 柴田先生は、ヘモグロビン異常を研究する過程で、糖尿病患者には正常な人と異なるヘモグロビンがあることを発見しました。それがヘモグロビンA1cなんです。血液学会でも発表しましたが、当時は、その重要性に気付く人が少なく、残念なことに研究が途絶えてしまいました。

 その数年後、海外の研究者がヘモグロビンA1cについて発表。今や糖尿病評価の世界基準として採用されています。

 柴田先生は、当講座の教授を退官後、川崎医科大学(岡山県)の初代学長に就任されました。その縁もあって当大学と川崎医科大学は、現在でも人の交流が盛んです。

 血液疾患診療では1983(昭和58)年に西日本で初めての骨髄移植に成功。以来、同移植症例は120例を超えています。

 現在も山口県、中国西部、北九州の一部まで、血液の悪性疾患の患者さんに対して造血幹細胞移植を中心に血液疾患の診療をしています。

◎世界的に評価が高い糖尿病研究

 インスリンを分泌するβ細胞の減少を食い止める研究に力を入れています。

 「Wolfram 症候群」という難病があります。この疾患はインスリン欠乏による糖尿病と視神経萎縮の合併が特徴です。そのほか中枢性尿崩症、難聴、尿路異常、脳幹・小脳失調、各種精神症状などを合併する遺伝性難病です。

 われわれは10年前にこの病気を引き起こす原因遺伝子「WFS1」を発見。遺伝学に関する国際的な学術誌である「ネイチャージェネティクス」に発表しました。

 「WFS1」が2型糖尿病の原因遺伝子であるということもすでに分かっています。この遺伝子に異常があると、なぜ糖尿病になってしまうのかの研究も進めていて、世界的に大変高い評価をいただいています。

 昨年5月には、11,500人に参加いただいて、下関市を中心に関門地区で日本糖尿病学会年次学術集会を開催しました。

山口大学医学部附属病院
山口県宇部市南小串1丁目1番1号
TEL:0836-22-2111(代表)
http://www.hosp.yamaguchi-u.ac.jp/


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