長崎腎病院 舩越 哲 理事長

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在宅血液透析を推進し患者さんのQOL向上を図る

長崎県立長崎西高校卒業 1983 東京慈恵会医科大学卒業 同 大学病院第三内科入局 1990 国立療養所東長野病院内科医長、東京慈恵会医科大学病院第三内科助手 1993 アメリカ国立衛生 研究所(N.I.H)研究員などを経て、1998 医療法人衆和会桜町クリニック院長・理事長 2011 医療法人衆和会長崎腎病院理事長

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ー在宅血液透析(HHD)の普及に積極的に取り組んでいます。

 腎不全になった場合、腎代替療法として、①腎移植、②血液透析、③腹膜透析の三つが主な選択肢となります。このなかで、現段階で最善の選択は腎移植であることは間違いありません。しかし、日本では腎臓提供者が不足しているため、移植まで平均15年間ほど待機する必要があるというデメリットがあります。

 腹膜透析は、どうでしょう。現在、全透析患者のうち3%にあたる約1万人の方が腹膜透析を行っていますが、腹膜の劣化や細菌感染の危険性があるため、ほとんどの方が血液透析に移行しています。

 こういった事情を鑑みて、当院は血液透析のなかでも在宅で血液透析を行うことをお勧めしているのです。

ー在宅血液透析はどのように行うのでしょう。

 病院と同じ環境を自宅に再現しなければなりませんので、ある程度大きな機械が必要です。まず、上水道と電気の工事をして、血液を洗う液(透析液)を作る機械と、小型冷蔵庫くらいの大きさのコンソール(透析監視装置)を設置します。

 実際の透析では、針を腕に2本刺してテープで固定し、針につながったチューブの一方をダイアライザー(透析装置)の入口、もう一方を出口につないで血液を循環させます。

 在宅透析の利点の一つとして、「自分のペースでできる」ということがあります。たとえば、在宅透析患者さんの多くが、仕事や家事が終わった夜の8時くらいから3時間から4時間かけて透析しています

 しかも、回数を増やすこともできます。現行の保険制度では週3回の透析しか認められていないのですが、週3回の透析だとたとえ1回につき8時間をかけたとしても効果が不十分だということがかなり昔からわかっています。

 しかし、実際にかかる医療費を考えると、週3回が限度なんですね。医療費の多くの部分が人件費であることが原因で、8人の透析患者さんに1人の看護師と臨床工学士がつきっきりで透析しています。在宅透析だとその人件費がかかりません。頻回透析をすると、毒素の抜けが非常に良くなります。たとえば1回3時間の透析を週5回することと、5時間を週3回やるのでは、週5回のほうがよく、効果に雲泥の差があります。透析の効果があがるため、患者さんの体調も良くなって長生きすることできるのです。

ー在宅血液透析のデメリットはありますか。

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 まず、「自分でやらなければならない」ということがありますね。医療職でなくても自分の体に透析用の針を打つことは医療法で許可されています。ところが、インスリン注射もそうですが、自己注射というのは「自分を傷つける」 ということでもあり、動物としての本能として抵抗感があります。この抵抗感を払拭(ふっしょく)するのが最初の関門でしょう。

 廃棄物の問題もありますね。東京では在宅透析のごみを一般廃棄物として扱うことができるようですが、長崎県では医療廃棄物扱いですので、病院に持ってきてもらう必要があります。

 最大のデメリットとしてあげられるのは、介助者が必要だということです。これは日本独特の法律で、諸外国ではひとりで透析することが認められています。

 介助者の問題は、じつは非常に大きな問題なんです。透析している方ってなかなか結婚のチャンスがなかったり、結婚していても経済的な問題などで別れてしまったりするケースが多いんです。

 その場合は親に介助者になってもらうわけですが、たとえば40歳の患者さんのご両親というと70歳くらいですから、かなり負担になります。

 介助者になるためには、各病院で作成した教育プランやプログラムを3カ月から半年かけて受講します。

 当院では6人の方が在宅血液透析しており、介助者のプログラム受講中の方が3人で、受講予定の方が1人です。全国的には約600人が在宅透析しており、この10年間で倍増しました。

 倍増した背景には厚生労働省が在宅透析の普及を後押ししているという事情があります。たいへん手厚い支援策を作っていて、患者さんはほとんど無料で在宅透析することができます。病院が購入して貸し出すため、工事費も含めて無料で機械を使うことができます。病院は機械を一式そろえるのに300万円ほどかかりますが、国からひと月あたり10万円の「機械管理料」が支払われますので、初期投資は3年足らずで回収できるのです。

ー在宅血液透析をされている患者さんの反応は。

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 長い目で見ると患者さんも介助者の方もみなさんが「ハッピー」だとおっしゃいます。たとえば、介助者の方が不在の場合は病院透析になるのですが、週3回の透析をすごく怖がりますね。「先生、お願いだから4回にしてください」と頼まれたこともありました。

 やはり、在宅透析の利点のエッセンスは頻回透析ということになるでしょう。夜寝る間に行う8時間の連日透析の生存率は腎移植と遜(そん)色無いというデータもあるほどです。移植と同じ効果があるというのはすごいことです。

 どうしても水が大量に必要になりますので、水道代が月に1~2万円かかるのは、皆さん大変だと言いますね。

 実際にあったことですが、生活保護を受けていた方が、在宅透析を導入することで昼間の仕事を再開でき、生活保護の必要がなくなりました。国としては労働人口を増やすために、そういう効果も期待しているのかもしれません。

医療法人衆和会 長崎腎病院
長崎市興善町5番1号
TEL.095-824-1101(代表)
http://www.nagajin.jp/

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