消化器内科の専門性にプライマリ・ケアを加えて
今年7月、「大分消化器内科」から名称変更した 「おおいたメディカルクリニック」。院内の改装工事も終わり、快適性もアップした。同院の廣瀬統医師に、クリニックについて聞いた。
◎消化器内科から内科全般へ
今まで当院は、消化器に特化した医療機関でした。今は、消化器領域の高い専門性は維持しながら、プライマリ・ケア(総合的に診る医療)にも力を入れています。
ベッド数は19床で、外来の患者さんは1日40人程度。ここ大分市内だけでなく、北は国東(くにさき)市、南は佐伯市、津久見市、臼杵市、豊後大野市などからも患者さんが来院されます。
当院の松本興三理事長に診てほしいとお見えになる、昔からの患者さんもいらっしゃいますし、大分自動車道の大分光吉インターから近いという利便性の良さもあるのではないでしょうか。
◎外来と入院を主に担当フランクな雰囲気で
松本理事長が、主に検査をされ、外来はほぼ私が担当しています。もちろん、検査をすることもありますが、入院の患者さんも診ているため、なかなか検査のための時間が取れないというのが本音ですね。
ポリープの内視鏡での切除はしていますが、悪性腫瘍の場合は、大きな病院でしっかり治療をしてもらいます。
診療や検査の際、もっとも気を付けているのは、見落としがないようにすること。例えば、吐き気を主訴として当院に来た患者さんであっても、心筋梗塞や脳卒中が隠れている場合があります。それらの疾患は、見逃すと致死的な経過をたどる。そのような病気は、絶対に見逃さないよう注意しています。
また、観察のために胃カメラ検査をする場合は、少なくとも10分、大腸カメラでは20分近くかけ、じっくりと見るよう心掛けています。内視鏡検査は患者さんに負担がかかります。短時間で終わらせる医師もいるでしょう。でも私は、患者さんにある程度負担をかけても、見逃しがないほうが良いと思っています。いたずらに時間をかけることはしないけれど、慎重に。それが私の方法ですね。
患者さんと接するときは、患者さんの訴えによく耳を傾けることを大切にしています。治療にしても検査にしても、信頼関係がないとうまく進みません。まず話を聞き、信頼関係を築くことができれば、その後の検査などもスムーズに進みます。
患者さんが気を使わず、なるべく本音で話してくれるよう、フランクに話せる雰囲気をつくる努力をしています。
◎病気を早期で見つけ元気に帰宅してもらう
やりがいを感じるのは、病気を早い段階で見つけたとき。特に悪性腫瘍の場合は、そうですね。私が当院に来た4月からこれまでで、2人の方から甲状腺がん、それぞれ1人から胃がんと肝臓がん、5人から肺がんが見つかりました。たまたまCTを撮ったら肺がんがあったというケースもありました。さらに、患者さんが元気で自宅に帰る姿を見ると、「よかった」とうれしくなりますね。
私が内科医を選んだ理由は、調子が悪くなった患者さんが、まず受診することが多いのが内科だったからです。何の病気かわからない状態から病気を見つける、診断をしていく、というおもしろさは、内科の醍醐味(だいごみ)だと思います。
「医師になりたくない」と思っていた時期もありましたが、今となっては、医師になってよかったと思っています。大変なこともありますが、やりがいがある、魅力的な仕事だと感じています。