神戸大学 理事 杉村 和朗 副学長

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地域に生きて、世界にはばたく神戸大学 / 県と共同で、地域医療を守る医師を育成

大阪府立北野高校卒業 1977 神戸大学医学部医学科卒業 神戸大学医学部附属病院研修医 1984 医学博士(神戸大学) 1988 カリフォルニア大学サンフランシスコ校リサーチフェロー 1994 島根医科大学教授 1998 神戸大学教授 2007 神戸大学医学部附属病院院長 2015 神戸大学理事・副学長

 8月27日から29日まで、大阪市で「なるほど医学体験!HANSHIN健康メッセ」が開催され、児童を中心に3日間で1万4千人が訪れた(記事はこちら)。

 幅広い世代が最新の医療や健康づくりについて楽しく学び、健康意識を高めることを目的とした体験型イベントは、神戸大学や兵庫医科大学が主催。阪神電鉄も、沿線の医療水準の高さを知ってもらおうと実行委員会に名を連ねている。

 神戸大学の杉村和朗・副学長は実行委員長として、短い準備期間にも関わらず同イベントを成功に導いた。イベントにこめた思いとは。さらに、神戸大学が力を入れる地域医療再生の試みについて聞いた。

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◎健康メッセを開催したねらいは。

 直接のきっかけは、昨年神戸で開催された日本医学会総会の一般向け公開展示が好評だったことです。

 今回は、医学や医療の進歩をもっとわかりやすく感じていただくことをテーマにしました。小中学生をメインターゲットに、医療、医学から科学にまで興味を広げてもらうのもねらいです。

 iPS細胞ってなんだろう、という子どもたちの純粋な好奇心に応えるには、目に見える形で展示することが必要です。たとえば、皮膚の細胞が心臓になったところを見せたりすると目が輝いてくる。そうすると大人も興味を持つのです。

 病理なども普段はなじみのない分野ですが、たとえば、「イカの足にはそれぞれ中枢神経があるのですよ」と標本を見せると、つきそいのお母さんのほうが真剣になったりして、とても興味深かったですね。

 1万4千人の入場者にしては会場が混んでいる印象を受けましたが、参加者がみんな楽しんでいて滞留時間が長かったからではないかと分析しています。

 来年は祖父母世代を対象に、身近な介護などを対象にすると興味を持っていただけるのではないかと思います。いかに健康寿命をのばすかを、体で感じ、知識として知ってもらう。今回も会場で健康チェックをやらせていただきましたが、次は「こういうことに気をつけると健康に長生きできますよ」といったテーマの健康メッセを開けるといいですね。

◎神戸大学が目指すものは。医学部として、地域医療の担い手をどう育てますか。

 神戸大学のある神戸市は、古くから諸外国の窓口になり、過去も現在も多くの外国人が住む国際的な町です。

 地域に生きて世界にはばたく神戸大学の象徴として、本学医学部ラグビー部で私の後輩にあたる山中伸弥さん(ノーベル生理学・医学賞/2012年)がいます。ノーベル賞間違いなしといわれながら亡くなった、故・西塚泰美神戸大学学長もそうでしたが、彼らは地域と世界の両面を見ている。この、大阪とも京都とも違う開放的な雰囲気を大事にしていきたいのです。

 医学部に関していえば、県と協力して地域医療の充実に大変貢献しています。兵庫県は「日本の縮図」ともいわれていて、神戸市という先端都市もあれば、山間部にはへき地があり、地形は海と山に囲まれています。この地域の医療をうまく運営できれば、日本の地域医療が置かれた問題の解決先が見つかるのではないかと、ずっと考えていました。

 神戸大学医学部附属病院の病院長だったころは、県とタッグを組んで、神戸大学医学部附属地域医療活性化センターを作りました(2014年設立)。まずは、地域医療学講座を設置して、厚労省でも話題になっている総合診療医の養成を、目指しました。

 医師というのは、もともとは患者さんと接するのが好きで、患者さんに喜んでもらうのが大きなモチベーションになっているところがあります。ところが、なかなかそれを実感する場がない。しかし、地方ではそのような場面に接する機会は多いので、指導体制をしっかりしてあげれば,医師としての満足度は非常に高いのです。

 地域医療は医師の原点であることを教えた結果もあって、神戸大学医学部では地域枠の学生が毎年10人程度卒業しますが、ひとりも兵庫県を離れていないのです。ある大学では地域枠学生が20人卒業しても誰も残らないこともあると聞いていますから、違いは明らかだと思います。

 県側のバックアップも大きく、9年の就業義務年限の間に兵庫県を愛してくれる医師を育てるために、さまざまな工夫をしています。たとえば、その期間中に医学博士を取るための支援をする、さらに専門医も取得できる、留学してもいいと知事が認めてくれました。兵庫県を愛して、地域に貢献しようという医師を一緒に育てようという意気込みを感じて、誰も辞めないのだと思います。

◎総合診療医の存在がクローズアップされるようになりました。

 今後、総合診療医の需要が高まることに異論はないと思いますが、問題は指導できる者の数が少ないことなのです。これまでの日本は専門医志向だったため、たとえば循環器内科は得意だが、お腹の痛みについてはよくわからないといった極端な専門化が進んでしまいました。

 そこで、総合診療医を養成する中核施設を作り、指導体制を充実することを試みました。この試みの一つが、県立柏原病院に設置した教育講座です。地域医療活性化センターと共同して、医師はもとより学生の頃から地域医療に対する関心を高めるシステムを作っています。

 ここで育った医師が地方の病院で働き、ある程度したら戻ってきて後進を育てる。すでに、良い循環が機能し始めています。

◎ご自身の研究テーマについて。

 私の専門は「低侵襲医療」といって、小さく見つけて優しく治す医療の開発です。特にがんの診断に高い関心を持っています。

 がんは単純ではなく、抗がん剤や放射線治療が効きにくい部分や、効きやすい部分が混じっています。先行して効果がわかって、そのうえで治療すべきです。

 私は分子イメージングと呼ばれる、細胞レベルの詳細な情報を画像として明らかにすることに取り組んでいます。今もっとも関心を持って取り組んでいる研究は、PET‐MRI装置を使った、がんの診断です。

 日本におけるがん治療では7割以上が手術されていますが、欧米では7割が放射線治療を中心とする手術以外の低侵襲治療を採用しています。日本においても、身体に優しい低侵襲医療を進めていくのがこれからの重要な仕事です。

 医師の原点は、患者さんを助けたいという熱い思いです。思いはひとつであっても、患者さんを助ける方法は意外にたくさんあるのですよ。

国立大学法人 神戸大学
神戸市灘区六甲台町1丁目1番
TEL:078-881-1212(代表)
http://www.kobe-u.ac.jp/


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