多根総合病院 丹羽 英記 院長

  • はてなブックマークに追加
  • Google Bookmarks に追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • del.icio.us に登録
  • ライブドアクリップに追加
  • RSS
  • この記事についてTwitterでつぶやく

地域の病院力を結集して医療を守る / 日本有数の日帰り手術センター、災害拠点病院の多根総合病院が地域の病院連携を主導

大阪府立三国丘高校卒業 1976 大阪大学卒業 大阪大学医学部附属病院研修医 1981 Vanderbilt大学医学部研究員(research associate) 1983 Harvard大学New England Deaconess 病院 Cancer Research Institute研究員(research associate) 1999 大阪大学病態制御外科学助教授 2006 西宮市立中央病院病院長  2013 大阪府立成人病センター病院長

 京セラドーム大阪(大阪市西区)の真横に建つ12階建ての建物は、2011年に移転新築された、きつこう会多根総合病院だ。1949年から地域医療を守るために奔走してきた同院は、現在では日帰り手術の手術件数日本一の実績を誇る総合病院となった。災害拠点病院でもある同院の先頭に立つのは、丹羽英記院長。

 「自分の家族を入院させたい病院になる」という理念を掲げる丹羽院長に話を聞いた。

c9-1-1.jpg

◎日帰り手術では日本で有数の実績を誇ります。鼠径ヘルニア手術件数は4年連続日本一(年間約900件)、胆石(ラパ胆/腹腔鏡下胆嚢摘出術)に関しても関西では群を抜く実績(年間200件以上)です。

 当院は外科の強い病院として府内でも一定の地位を占めています。たとえば、消化器外科の手術件数でいうと大阪大学関連施設では最多です。

 研修医にも人気がありますが、これは「症例を積める病院」というほかに、当直明けの手術はしないなどの、外科学会でも注目されているインセンティブに力を入れているからだと思います。

 日帰り手術については、質・量ともに国内トップレベルです。1998年に日帰り手術センターを開設して以来、24,000例を超す治療実績を蓄積し、現在では年間3000件以上を日帰り手術で治療しています。

 日帰り手術センターをつくったころは、平均在院日数をとにかく短縮しないと急性期病院として生き残れないという時代でした。わずか304床の急性期病院なので、どうやって生き残るかはまさに死活問題でした。

 当時、国内で日帰り手術を実施していたのは湘南鎌倉総合病院(神奈川県)だけでしたが、見学させてもらって帰る新幹線の中で「すぐにやろう」と決めていました。忙しい現代社会において、まさに求められている手術だと思います。

 鼠径ヘルニアは手術の半分以上が他医療機関からの紹介ですが、あとはホームページなどを見て来院される方です。遠方からの患者さんで、岡山の方が新幹線で日帰り手術をするとか、朝に手術をして昼の飛行機で帰られた東京の方もいらっしゃいました。

◎社会医療法人として、救急や災害医療など広く公益に資する活動を続けています。

 前身の多根医院が設立されてから70年近く経ちました。初代理事長の多根要之助が、従軍体験をもとに、社会に貢献することを目的に設立した病院です。

 現理事長もそうですが、設立者は個人的資産にはこだわっていませんでした。すぐに特定医療法人になりましたし、現在は社会医療法人ですので、ほとんど公的病院と同じ、あるいはそれ以上の役割を果たしているといえます。

 まずはマンパワーを充実させ、救急に力を入れる。断らない救急、災害拠点病院もそうですが、とにかく社会への貢献を第一義に考えているのが当院のバックボーンです。

 一般的に、救急病院は亡くなる方が多いので評判が悪くなりがちです。そのなかでも、当法人は日帰り手術と眼科が全国的にも注目されるようになりました。わずか304床の病院なので、すべての科を網羅するよりは、「選択と集中」で病院の魅力作りをしていく方針です。

◎2011年5月に大阪府の災害拠点病院に指定されました。

c9-1-2.jpg

 拠点病院としては、大阪市西部ブロックを担当しています。熊本地震の際にはDMATを1チーム派遣しました。

 大阪市西部の災害拠点病院は当院だけなので不安な面もあります。大阪府の資料によれば、南海トラフ巨大地震で津波被害にあうとされる地域は、主に当院が担当する部分で、しかもそこに大阪市の人口の3分の2が暮らしています。

 拠点病院で民間病院は当院だけですし、もう一つは拠点病院を指定すべきだと思いますね。

 当院の特長は京セラドーム大阪の隣にあるということですが、近くには消防局と交通局もあるので、災害拠点であると同時に化学災害やテロの対象ともなりえます。そういう意味では単に津波だけではなくCBRNE(化学、生物、放射線物質、核、爆発物)災害などの対策が必要でしょう。

 防災訓練は年に1回しかできませんが、職員だけではなく地域のボランティアを巻き込んでかなり大規模に実施しています。

 津波が来た場合は、隣のドームデッキが当院の3階とつながっているのでそこをトリアージに利用します。ドームとつながっている病院は、国内ではおそらく他にないでしょう。

◎地域医療構想においては、地域にある医療機関の役割分担と同時に連携が求められている。

 毎年2回、当院に登録している地域の開業医や登録医の先生たちに集まっていただいて登録医総会を開催します。

 今年7月の総会では、この地域に拠点を置く大きな病院の院長を5人お呼びして、私も含めた6人でパネルディスカッションをしました(5病院=大阪掖済会病院、大阪府済生会泉尾病院、大阪みなと中央病院、大野記念病院、日生病院)。

 テーマは「地域包括ケアをどう進めるか」です。おかげさまで全院長に来ていただき、初めての試みでしたが画期的なものになりました。

 集まっていただいた病院はすべて300床前後の病院ばかりです。それならば、たとえばお互いの病院が連携することで、日赤病院のような1,000床規模の病院と同程度以上の働きができるのではないか。

 患者さんは自宅のそばの病院で治療することを望んでいます。集まった6病院で得意な分野はそれぞれありますが、弱い部分については連携先にお願いしてはどうだろうか。幸い、得意な分野があまり重なっていないので、お互いの連携を進めようという趣旨の会でした。

 実際に会ってゆっくり話しをしてみるとみなさんすばらしい先生方ばかりでした。競い合い、張り合うのではなく、地域の開業医を巻き込んで、わざわざ地域外の病院に行かなくてもよい体制を構築する。今後は、顔の見える関係を作りあげて地域住民を支える、そういう連携を模索していきたいと思います。

社会医療法人きつこう会多根総合病院
大阪市西区九条南1丁目12番21号
TEL:06-6581-1071
http://general.tane.or.jp/


九州医事新報社ではライター(編集職)を募集しています

九州初の地下鉄駅直結タワー|Brillia Tower西新 来場予約受付中

九州医事新報社ブログ

読者アンケートにご協力ください

バングラデシュに看護学校を建てるプロジェクト

人体にも環境にも優しい天然素材で作られた枕で快適な眠りを。100%天然素材のラテックス枕NEMCA

暮らし継がれる家|三井ホーム

一般社団法人メディワーククリエイト

日本赤十字社

全国骨髄バンク推進連絡協議会

今月の1冊

編集担当者が毎月オススメの書籍を紹介していくコーナーです。

【今月の1冊, 今月の一冊】
イメージ:今月の1冊 - 88. AI vs. 教科書が読めない 子どもたち

Twitter


ページ上部へ戻る