大阪府済生会 富田林病院 宮崎 俊一 院長

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地域住民の幸せな人生を支えたい

土佐高校卒業 1979 京都大学医学部医学科卒業 同大学医学部附属病院研修医 1983 同大学大学院医学研究科博士課程(内科系専攻)入局 1988 米国カリフォルニア大学医学部研究員 1989 国立循環器病センター 心臓内科医員 1996 国立循環器病センター心臓内科医長 2006 近畿大学医学部内科学講座循環器内科学教授 2016 済生会富田林病院 院長

 富田林市は人口約12万人で大阪府東南部に位置する。1977(昭和52)年に市が開設した富田林病院は、2006年より済生会が指定管理者として運営にあたる。今年4月、近畿大学医学部内科学講座循環器内科学の教授である宮崎俊一院長が就任。今後の展開などについて話を聞いた。

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ー現状などを。

 当院は、南河内医療圏に所属し、現在251床。当市の公的病院的な役割を担っています。周辺には、PL病院(富田林市)、近畿大学医学部附属病院(大阪狭山市)、国立病院機構大阪南医療センター(河内長野市)など中核病院が多く、競争の激しい環境に置かれています。

 特に、3年前ほどから内科系の医師が不足し、救急に対応できにくくなったことなどから、経営的にも苦しい状況に置かれていました。そこで、近畿大学医学部との医療機能連携協定を結び、これに伴い、今年4月、私を含めて5人の内科系の医師が着任しました。院長である私の任務は病院の立て直しです。まだ取り組みは始まったばかりですが変化の兆しは見え始めました。

ー注力していることは。

 昨年11月に就任が決まり、今年3月から当院の経営会議に加わりましたが、救急搬送の受入数や入院数などさまざまな数値を見て、当院はかなり厳しい状況に置かれており、すぐに回復することは難しいと感じました。

 一番の問題点は救急への対応でした。疾患によっては、受け入れを断っていたケースもあったため、それが地域の皆さんに不信感を抱かせていると感じたのです。

 医療行為は患者さんとの信頼関係があることが前提です。その信頼が失われつつあったことを重く受け止め、まずは患者さんや地元の開業医、救急隊の信頼を得ることだと考えました。

 立て直しに取り組むに当たっては、この状況を少しずつではなく一気に変えたいと思いました。準備に時間をかければかけるほど、現在勤務している医師たちも疲弊してしまう恐れがあったからです。そして、近畿大学医学部から私も含めて5人が入職しました。

 まず始めに職員に伝えたのは、基本的なことですが、救急をはじめ、とにかく診療を断らないで欲しいということ。そのために、当院の現状をきちんと説明することで、私の考えを職員に納得してもらうように努めました。おかげで、医師の意識も変わり4月からの数値はだんだん回復の兆しを見せ始めています。

 就任前と就任後を救急搬送の応需率(救急を受け入れた比率)で比較すると、就任前は、平均すると、10人のうち7人は受け入れてはいますが、3人は受け入れを断っている状態でした。

 しかし、今年4月から7月までの夜間救急における数値では、10人のうち9人は受け入れ、不応需率は10%程度に低下しました。少しずつではありますが、救急隊員、開業医の先生の信頼を取り戻すことにもつながっていると感じています。

 入院患者も増えてきました。例えば、7月の1日の平均在院患者数を比較すると昨年度は、181.2人に対し、今年度は231.3人と、1日平均約50.1人増加したのです。

 高齢化率の高い当市では、高齢者の入院が多く複数の疾患を抱えていることも多々あります。

 このため、原疾患が内科系であっても、診療はそれにとどまらず、眼科、外科、整形外科など、他の領域に波及します。職員には、患者さんは複数の疾患があるので、従来のような縦割りではなく、みんなで連携しながら診ていこうということを改めて伝えました。

 院長就任当初、考えられることをがむしゃらにすべてやろうと決めていました。しかし、大学から移った5人の医師だけが頑張っても劇的に変わるわけはありません。

 実際、医師の力だけで患者が増えたのではなく、すべての職員がやる気になったことが結果につながったと思います。職員との対話の中で、みんなの意識が変化しているという手応えも感じています。

ー今後の課題は。

 一つ目が建物の老朽化です。当院の建物は、建てられてから39年経っているため耐震性も含め、いろいろな問題が出始めています。3、4年前にも建て替えをしようという考えは出ていたようなのですが、かつての経営状態では難しく、グループ本部もなかなか具体的に着手できなかったようです。

 しかし、現状のままで入院患者数などが増加し、経営が改善すれば、建て替えも検討できそうです。

 新しい病院になれば、みんなのモチベーションもあがりますし、これまでにない医療を提供できるという夢が、みんなの心の支えにもなると思います。建て替えは、富田林病院のブランディングにも貢献すると期待しています。収支が改善することで、少しずつですが光が見えてきたような気がします。

ー地域における役割も変わるのでは。

 今後は、行政や開業医の先生方、福祉施設と連携しながら、地域包括ケアシステムの構築にも取り組んでいく必要があると考えています。

 周辺には、特別養護老人ホーム富美が丘荘、富田林市介護老人保健施設ケアセンター「けあぱる」といった地域の核となる介護施設が集中しています。

 当院がこれらの施設と連携することで、医療と介護が境目なく実行できると思っています。在宅から看取りまでこの病院を中心に構築していきたいですね。

 また、高齢になっても在宅で過ごしていただくために、リハビリテーションには力を入れたいですね。理学療法士をはじめセラピストには、より専門的な認定資格を取得するように勧めています。新しい病院をつくることになるなら、リハビリを重視した設計にすべきかもしれません。

 また、リハビリの概念には、生活習慣の是正などによって疾患を未然に防ぐ、または悪化させないという考えも含まれています。局所的なものでなく、全身、精神も含めてリハビリに関する情報を伝え、寝たきりを最小限に防ぐ方法も考えていきます。

 医療について考える時、「人間の幸せとは何だろう」ということを考えます。私は、人が亡くなる時、「良い人生だった」と思えることが、幸せだと考えています。

 しかし、高齢になればなるほど、亡くなる前に、病気、不具合が出て不安を感じますし、家族の不安も増します。

 そんな時、「何か起こっても近くに病院がある」と思えることは、地域の人にとって安心材料になることは間違いありません。みなさんが、「富田林病院があって良かった」と思えるような病院になりたいと思います。

 この土地の住民でもあり、病院を愛している職員と一緒に、頑張っていきます。

社会福祉法人恩賜財団 大阪府済生会富田林医療福祉センター 大阪府済生会 富田林病院
大阪府富田林市向陽台1丁目3番36号
TEL:0721-29-1121(代表)
http://www.tonbyo.org/


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