特定医療法人社団 光風会 光風会病院 江本 すずな 理事長・院長

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入院したい精神科病院に

福岡女学院高校卒業 1991 福岡大学医学部卒業 同麻酔科入局 1991 福岡大学病院麻酔科 1992 福岡赤十字病院麻酔科 1994 福岡逓信病院麻酔科 2000 光風会病院理事長 2004 光と風の心療クリニック院長兼務 2010 光風会病院院長

 九州自動車道鳥栖インターから車で20分。林の中に建つ光風会病院は、葉の間からもれる"光"と木々を揺らす"風"の音に包まれる。精神科病院の立地として、恵まれた環境にある同院で、江本すずな理事長・院長が語る精神科病院の未来とは。

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 麻酔科医だった私が光風会の理事長になったのは2000年。創設者だった父が1984(昭和59)年に亡くなり、跡を継いだ運営者の下で、さまざまな問題が出ていた時期でした。

 当時、私は3人目の子どもを妊娠中。3月に病院を継いで、4月に子どもが生まれました。大学勤務だった整形外科医の夫が3カ月間は手伝ってくれましたが、今、考えると、無茶をしたなと思いますね。

 初めての病院経営、麻酔科医から精神科医への転身、育児。大変だと思う余裕もない日々の中で、ある日、心が折れてしまいました。今だったら、何か診断名をつけるだろうという状態。その時、「自分が入院できる病院をつくりたい」と思ったのです。

光と風と緑と音楽がある病院

 2002年ごろから、音楽療法に取り組んでいます。ただ、最初から「音楽療法を始めよう」と意気込んでスタートしたわけではありません。

 きっかけは、いとこからもらったピアノを院内に置き関心を持った統合失調症の方に開放したこと。ピアノを中心に患者さんと職員の間に会話が生まれ病院内に音楽が広がり、それが音楽療法につながっていきました。

 精神科の治療には、主として薬物療法、精神療法、作業療法があります。音楽療法は一般的に作業療法に区分されますが、私は精神療法に近いと考えています。

 ヨーロッパなどでは盛んで、子どもや知的・精神障害がある人など言葉で感情を伝えられない人にも用いられています。

 音楽を使って、感情のやりとりをしたり、生の楽器に触れて演奏してもらったり、さまざまなことができるのです。

 日本には日本音楽療法学会(日野原重明・名誉理事長)があり、資格認定をしています。試験のためには、社会人は3年近く講習を受ける必要がありますし、ピアノの技術試験、筆記試験、そして口頭試問に合格しなければなりません。私も3カ月に1度、東京に通って講義を受けています。

休めない女性たちに休息の場を

 2004年、当院のサテライトクリニック「光と風の心療クリニック」をJR鳥栖駅前(現在は新鳥栖駅前に移転)に開院し、院長を兼務するようになりました。

 すると、うつなど、「ちょっと疲れた」状態の人が入院できる場所の必要性を実感するようになりました。来院する患者さんの6〜7割は女性。しかも、家事や育児、介護などを担い、自宅でも「休む」ことができない。そこで2009年、病院に女性が休息するための女性専用病棟を造りました。

 この病棟では自分のスペースが確保され薬での治療が受けられて、食事や掃除などの心配も不要という環境。経済的な負担が必要ですから、常に満床というわけではありませんが1回入院した人が「また来ました」というケースは多いですね。

 2013年には、男性も利用できるストレスケア病棟を開設。近年増えている気分障害や不安障害の方に、利用いただいています。

 精神科のスタッフは、相手の訴えを読み取り、環境を調整するために努力する。相手の心を軽くする。それが大切だと思っています。

 私は女性で、3人の子育て経験もあります。女性の患者さんの気持ちを本当の意味で理解できるわけではありませんが、「ものすごく大変だろう」と想像することはできます。夫とのこと、舅(しゅうと)、姑(しゅうとめ)さんとの間のことも、共感できることは多いかもしれません。

良くなるためなら何をやってもいい

 2004年、長期入院者を退院させ、地域で暮らせるよう援助するための自立訓練(生活訓練)事業所「ぱれっと」を造り、自炊や洗濯、掃除や買い物といった日常生活の訓練や、就労体験、地域との交流などを始めました。精神疾患があっても、ひっそりと暮らすのではなく、外に出てほしい、地域に戻ってほしいという思いからです。

 2006年には訪問看護を開始。2015年には訪問看護ステーション「ひかりあ」も設置し、服薬指導や管理、病状観察などをしています。

 近年、入院から在宅への移行が急速に進んでいます。国は、精神科については急性期だけ入院するシステムを目指しているようです。でも、精神疾患の症状改善には、時間が必要です。ゆっくり患者さんを診ることができる環境を整える必要があると思いますね。

 当院も、174床に病床を減らし、精神疾患がある人が、病院に近い場所で自分らしく過ごせる場所を整える方向に、転換しているところです。これからも「患者さんが良くなるためなら、どんなことでもする、何をしてもいい」という気持ちで、歩んでいきたいと思います。

特定医療法人社団 光風会 光風会病院
佐賀県三養基郡みやき町白壁2927番地
TEL:0942-89-2800
http://www.kofukai.or.jp/


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