「だから私たちはこうする」という"前向き"が大切
小林良三院長には姉妹紙の九州医事新報2015年2月号で大規模災害特集を組んだ際、九州医療センターの救急救命部長及び福岡DMAT統括責任者として登場してもらったことがある。岡山中央奉還町病院の院長となった今の状況を話してもらった。
―救急の現場を離れて4カ月。院長職の感想は。
これまで久留米大学の高度救命救急センターで救急医療、国立病院機構九州医療センターでは院内感染や災害医療対策に関わってきましたが、定年を迎え岡山中央奉還町病院に来ました。
本院である岡山中央病院(岡山市北区)の岡部亨院長、金重哲三理事長には川崎医科大学附属病院高度救命救急センターに1995年から6年間在任した時から懇意にしていただいていましたので、今回の赴任に当たり私に気負いはありません。
―これまでの経験は生かせそうですか。
当院は急性期病態をクリアした方々が日常生活に戻るための支援をする場であり、それに関わる理学療法士、介護福祉士、ケースワーカーなどのスタッフやリハビリの設備、それと外来透析施設や緩和ケア病棟など、初めて見聞きすることも多く、とても興味深いです。
個々の身体合併症については私が来たことで判断が早くなるでしょう。緩和ケア病棟については理事長が専門とされ、常時患者さんや家族の声に耳を傾けておられます。
回復期リハビリの大目標は、患者さんが自宅に帰ることです。でもそれぞれ違った環境にあり、すべての方がスムーズに流れるというわけにもいきません。いろんなケースで早くから生活環境を知り、施設やケアマネに早めに情報を発信し、日常の生活に戻ってもらう準備をしていくことが前提になります。
―職員にはどんな方向性を。
私自身はまず、職員との顔の見える関係づくり、院内のあちこちに顔を出して声をかけることから始めています。
毎月第一月曜日の朝礼あいさつでは「前向き」という表現をよくします。振り返ってばかりでなく、これまでの経験を踏まえ「だから私たちはこうする」という決断や結論に行き着かなければならないことを強調しています。
―岡山中央奉還町病院の役割は。
岡山中央病院は1999年にここから北に新築移転しましたが、奉還町病院は岡山駅から近いため、外来透析や回復期リハの患者さんと家族にとって交通の便が良いという利点があります。岡山中央病院を急性期病院として、当院は回復期リハビリや慢性期病院、そして将来的には地域包括ケアにかかわる病院として連動することにより、理想的な病院組織ができるかなと思っているところです。
―若い医師に助言があれば。
研修医の多い大きな組織の救急部門にずっといましたから、若い医師を直接指導する場が常にありました。理屈ぬきに命を助けるのは当然のこととして、その反面、人のやることには限界があり、謙虚さを忘れてはいけないことを教えてきたつもりです。
それと同時に広い視野も必要とされます。医療は対人関係がうまくいってこそ成り立つものです。医師一人のオーダーで何人ものスタッフが一斉に動きますからね。その影響力を知っていなければすぐにそっぽを向かれます。でも若い先生みんなが最初からできるわけではありません。うまく指導する先輩医師の存在も重要になってくること、それもずっと言い続けてきました。
岡山市北区奉還町2丁目18番地19号
TEL:086-251-2222(代表)
http://www.kohjin.ne.jp/hospital/houkancho/houkancho.html