退院後が気になったんです
―25年前にリハビリ専門の貴院を開設しました。
最もやりたかったのは、病気やけがや事故で障害が生じても、これまで通りの生活を自分の住んでいる所で送れるように支援することでした。急性期の医療も素晴らしいですが、その後の暮らしの場面で関わりたいと思いました。
外科医を志して外科医になり、消化器外科の医師として病院勤務をしていたとき、疾患は治るかもしれないが、退院した後どのように暮らしていかれるのだろうという思いがずっとありました。
そのことからリハビリテーションの病院を開設しました。
―当時の医療事情は今とは違っていたでしょう。
リハビリテーションへの認識やニーズが今ほど大きくなく、いろいろなことを手探りでやってきました。最初は私自身にも知名度がなく、経営的にも苦労しましたが、そのときにいちばん考えたのは、「何が求められているのだろう」ということでした。そして、介護保険が導入される前から通所リハビリやデイケアを積極的に始め、そこから少しずつ地域の方々に知っていただくようになりました。
―これからのリハビリはどうなりそうですか。
今は医療もリハビリも一緒に行う病院が多くありますが、これからは厚労省が示すモデルのように、身体機能を長く維持させるために、急性期医療を行う病院や疾患を治療する病院、そしてリハビリテーションを行う病院というふうに、明確に病院の機能が分化してくると思います。疾患治療の後で集中的なリハビリテーションを行い、そのあと在宅へという流れです。現在、地方自治体が中心となって構築しようとしている「地域包括ケアシステム」については、私たちもこの地域でその一端を担って頑張ろうという気持ちがあります。
―法人としての将来の構想はありますか。
一つの試みとして、一昨年くらい前からマレーシアやインドネシアの医師やスタッフと交流を始めていて、今年は小児領域専門の理学療法士が渡航します。私たちの持っている、医療とリハビリテーションをつなげるシステムやノウハウを、今後高齢化社会を迎えるであろう米国や東南アジア、韓国や中国の医療従事者の方々にお伝えできたらと感じています。高齢化社会に対する医療の取り組みは日本が世界のトップランナーですからね。
―なぜ医者になろうと。
実家が当院の近くにあり、明治の時代から医者の家系ということもあって、必然的にそれを引き継ぐような雰囲気の中で育ちました。
―職員にどんな声かけを。
現場では各部長を中心にみんなが声を掛け合ってくれていると思います。リハビリを嫌がる患者さんには、医師やセラピストがある程度厳しく接し、そのフォローを看護師さんや介護福祉士さんがする、そういったチーム医療の役割分担は大切だと職員に言っています。
―最近思っていることは。
今でも患者さんやご家族、スタッフから学ぶことが多くあります。リハビリをして動けるようになった患者さんやご家族の笑顔を見ることが出来るのはうれしいですね。
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