大阪府済生会 中津医療福祉センター 総長/大阪府済生会 中津病院 院長 川嶋成乃亮

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100周年を迎え、理念を継承し新たな世紀へ
病院完結型から地域完結型への転換―急性期医療と弱者救済を担う先頭集団

大阪府立北野高校卒業 1977 神戸大学医学部卒業 同附属病院研修医 1978 新日鐵広畑病院医員(現・製鉄記念広畑病院) 1982 米国ボストン大学医学部リサーチフェロー 米国ロチェスター大学医学部リサーチフェロー 1983 神戸大学大学院医学研究科博士課程修了 1985 兵庫医科大学第一内科助手 2000 神戸大学医学部内科学第一助教授 2001 同大学院医学系研究科循環呼吸器病態学助教授 2006 大阪府済生会中津病院総合診療内科部長 同副院長兼総合診療内科部長 2010 同院長

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◎100周年を契機に

 1911(明治44)年に済生会が設立され、1914(大正3)年に最初の病院である神奈川県病院が横浜に開設されました。2番目が東京の芝病院(現・中央病院)で、当院は済生会病院として3番目に「大阪府病院」として設立されました。今年で100周年を迎えます。病床数は済生会で最多の病院です。

 1世紀にわたって、済生会の理念を実現するための医療を提供してきました。主な目的は、社会的・経済的に恵まれない患者さんをお助けすること(低廉で良質な医療の提供)であり、医療を通して広く社会貢献することが当院の存在意義でもあります。

 当院の特長としてまずあげられるのは、西日本最大の都市・大阪市の中心部にある病院であるということです。いわゆる医療激戦区のただ中に位置する大型総合病院であり、運営面では他の病院や施設と厳しい競争状態にあります。

 医療面でみれば、ほとんどの済生会系列病院はどこかの大学の系列ですが、当院は済生会でおそらく唯一の、はっきりとした系列大学を持たない病院です。派遣先としては神戸大学と大阪市立大学、京都大学、大阪医科大学の四つがメインで、ほかにも大阪大学や京都府立医大から来ていただいています。医局に関係なく入職する方もいて、意図せず、複数の大学が切磋琢磨(せっさたくま)できる非常にフラットな組織になりました。

◎地域完結型病院へ

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設立100 周年を記念して5月30 日に「100 周年記念スポーツフェスティバル」が開催され、大阪市立中央体育館に職員約700 人が集まった

 当院は、特別養護老人ホーム「喜久寿苑」や介護老人保健施設、児童福祉施設、医療型障害児入所施設「大阪整肢学院」、大阪乳児院などを傘下に持つ「中津医療福祉センター」の中核病院であり、712床を持つ大型総合病院です。

 現在は介護から福祉まで幅広い施設を持っていますが、私が入職した10年くらい前までは病院完結型医療を目指しており、いわゆる「ゆりかごから墓場まで」をひとつの病院で診療し、ケアしようという方針だったのです。

 たしかに、ある時期まではそのやり方で効果をあげていましたが、機能分化が進み、地域包括ケアシステムを構築しようとしている時代においては時代遅れのものになりました。この数年間をかけて、病院完結型から地域完結型の病院へ変身を遂げようとしています。

 地域医療構想において、病床数削減が話題になることがありますが、当院ではそれに先駆けて、この2年間でベッド数を66床減らしました。もともと高度成長期とともにベッド数を増やし続けてきましたので、ひとつの時代が終わったということです。

 大阪には全国で最も多い地域医療支援病院がありますが、当院はその指定を取得するのも遅く、大型病院としては大阪でもほぼ最後、2014年にようやく取得しました。医療が院内で完結していたことの象徴でしょう。現在は紹介率が70%〜80%、逆紹介は100%を超えています。

 DPCⅡ群病院である当院の2本柱はがん診療と急性期医療です。そのなかでも循環器関係が非常に伸びていて、大阪でも有数の診療実績です。がん診療については年間手術数で全身麻酔が約3000件、特に胃がんや大腸がんについては近畿地方で有数、全国でもトップレベルの手術数を誇ります。

 また、急性期病院に転換するために、私が院長になった2010年当時は17日間だった平均在院日数も、11日間にまで減らしました。

 地域完結型に転換することにはジレンマもありました。古くからいる医師の中には、在院日数の短縮化を「患者さんを見捨てるのか」と受けとめた者もいたようです。たしかにその視点も大切で、当院が絶対に忘れてならない理念を心に灯し続けることで、そういったジレンマは完全に解消されないまでも、進む方向を見失うことはないと思うのです。

 よって立つべき理念とはつまり「患者さん、利用者の方に優しい病院であれ」ということです。そういった理念と効率化を両立させるのは非常に難しい。どこに整合性を置くのかを常に考えながら、患者さんにも十分に説明したうえで、地域と密な連携をとって患者さんを地域にお返ししたいと考えています。

 その一環で、3年前に入院支援センターをつくりました。入院前の段階で患者さんにスケジュールを説明して、クリニカルパス(標準化された治療スケジュール)をお伝えしています。入院、退院の支援センターを設置したのは府内では最も早かったと思います。

 紹介制に移行したこともあって、外来数は減らしています。4、5年前には1日平均1400人の外来患者さんを受け入れていましたが、現在は1200人を切るまでになりました。

◎済生会の理念を追求

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 大阪では済生会が一丸となって、日雇い労働者が多く住む釡ケ崎の健診事業を7年前から始めました。ほかにも、大阪市内にある全国最大の刑余者(刑罰を受けたことがある人)向け施設での健診事業、さらにハンセン病回復者の方の受け入れ先にもなっています。

 病院一体型の乳児院も併設しています。残念なことに、大阪は児童虐待件数が全国で最も多いとされており、ほとんどが虐待された児童の受け入れですが、全国でも最大規模の施設です。

 釡ケ崎も、不況と高齢化で人が集まらなくなりました。済生会の理念である「弱者の救済・支援」といったときに、これまでのようなわかりやすい弱者は少なくなっていくかもしれません。たとえば高齢フリーターや非正規雇用の問題など、生活保護の一歩手前のいわゆるボーダー型弱者が増えていくでしょう。高齢者も弱者であり、認知症対策なども範疇(はんちゅう)に入ってくると思います。

◎二つの「守る」を軸に

 当院に求められているものはシンプルです。まずは患者さんを守る、次に職員の生活を守る。大きくこの二つを追求すべきで、運営をしっかりとかじ取りしたうえで、得た収益を済生会の本来の目的である恵まれない方々に対する医療に振り分けていきます。

 介護、福祉にも目配りしながら、大都会の済生会としてなにができるのか、設立100年目の節目に改めて考えてみたいですね。

社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部 大阪府済生会 大阪府済生会中津病院
大阪市北区芝田2丁目10番39号
TEL:06-6372-0333(代表)
http://www.nakatsu.saiseikai.or.jp/

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