岐阜大学大学院医学系研究科 皮膚病態学 清島真理子 教授

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プロフェッショナリズムを核に夢の実現を

鳥取県立鳥取西高校卒業 1980 岐阜大学医学部卒業皮膚科入局 1988 米国・ニューヨーク大学皮膚科留学 2009 岐阜大学皮膚科教授

 2009年に岐阜大学初の臨床系女性教授に就任した清島真理子皮膚病態学教授。臨床・研究に携わる一方で、同医学部の「女性医師就労支援の会」代表も務める。講座や女性医師の現状について聞いた。

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―講座の特徴は。

 岐阜大学医学部附属病院を中心に、岐阜県と愛知県の一部の皮膚科医療の中核を担っています。県内を中心に関連病院が29あり、当講座から医師を派遣。各地域の皮膚科医療の中心的役割を果たしています。

 同院皮膚科は1日平均120人の外来患者と18床の入院患者の診療を行っており、若手医師が皮膚科医としての臨床力を習得するのにふさわしい環境と自負しています。

 当講座の主な柱は三つあります。まず、乾癬(かんせん)の治療法の確立です。乾癬は日本人の0・1〜0・2%が発症する比較的少ない疾患ですが、かつては重症となると入院も必要とする難治性疾患でした。

 しかし、現在は外用療法、光線治療、内服療法など治療の選択肢も広がり、特に生物学的製剤の積極的導入もあって、治療効果も劇的に上がり入院を要することはまれになりました。

 重症型乾癬の一型である膿疱性乾癬に対しては2014年に認可された「顆粒球・単球吸着療法」を積極的に行っています。

 これは末梢静脈から一部の活性化した白血球を吸着・除去する治療で1回1時間程度を、1週間に1回、合計5回実施することで高い効果をあげています。ほとんど副作用のないことが特長で、国内では実施している医療機関が少ないため、愛知県内や遠くは東京から治療に訪れる患者さんもいます。

 二つ目は、皮膚悪性腫瘍の治療や研究です。臨床的には悪性黒色腫、有棘細胞がん、基底細胞がんをはじめとする皮膚悪性腫瘍の診断から手術や分子標的薬を使用した治療に取り組んでいます。

 また、スフィンゴ脂質由来の生理活性脂質による抗がん剤耐性の調整に注目して研究を進めています。

 三つ目はアトピー性皮膚炎です。アトピー性皮膚炎は軽症から重症までさまざまですが、重症の場合には、入院治療を行い、そのほか7日から10日間の教育入院を希望される方もいます。研究面では皮膚表面の角層でバリア機能を担っているセラミドに注目しています。そしてアトピー性皮膚炎などにおけるセラミドの質的異常を見いだしそのメカニズムを研究しています。

 このような疾患を主に扱う乾癬外来、腫瘍外来、アトピー外来のほかにアレルギー検査外来、膠原病外来、光治療外来、レーザー外来などの専門外来を設けて、個々の専門分野について高度な皮膚科診療を提供できるよう努めています。

 皮膚科は分野が幅広く疾患名も多いのですが、当講座では全分野について一定レベルを習得し、その後、興味のある分野について専門性を持って治療にあたる体制をとっています。

―女性医師の就労を支援していますね。

 現在、医学部内の教授は44人で、女性の教授は私を含めて2人です。本学の臨床系女性教授は私が1人目でした。

 女性医師の働きやすい環境作りをサポートする目的で、2009年に「岐阜大学医学部・附属病院女性医師就労支援の会」という組織を学内の地域医療医学センター長の村上啓雄教授とともに立ち上げました。現在は若手の操奈美先生、白木育美先生、森光華澄先生が活躍してくれています。

 岐阜県は全国でも医師不足が顕著な地域で、常にワースト10に入っている状況です。卒業後に県外に移り住むケースが多いためです。

 最近では医学部の入学生のうちの25〜30%は女性。女性医師は、結婚や出産で医師を辞める人も少なくないため、このままでは医師不足にますます影響が出かねません。

 岐阜県の医師不足を解決するためにも、本学医学部の女子学生が、就職後、仕事を辞めずにキャリアを積んでいくためのサポートをする組織が必要となったのです。

―具体的な取り組みは。

 まず、女性医師の意識を知るためアンケートを実施しました。その結果、保育施設がほしい、気軽に相談する場がほしい、女性医師同士が話せる会を設けてほしい、といった要望を知ることができました。

 また、仕事を辞めたいと思った背景には、夫の無理解や非協力、職場のサポート体制の不備などの声がありました。

 これらを踏まえて、まず、学生に対しては、自分のキャリアプランを考えてもらう講義を始めました。講義は、女子学生にだけでなく、男子学生も一緒に行います。6年間のうち1年次、4年次の2回実施し、男女ともにワーク・ライフ・バランスを考えながら、どのように働き続けるのかといった将来の姿を具体的にイメージし、併せて仕事を続けるプロフェッショナリズムについて理解してもらいます。

 学内の女性医師やスタッフの子どもさんを対象にした、2日間にわたる「キッズ・サマースクール」を実施しており、今年で7回目です。医療機器体験などの興味深い体験を通じて、母親の職場を理解するきっかけをつくっています。

―手応えは。

 だんだん活動が認知され協力が得られるようになりました。岐阜大学医学部には、関連病院が100施設以上あり、アンケートを実施したところ、300床以上の規模の病院でも、保育施設のない病院がありました。

 その後、女性医師のサポートについて情報を発信し続けたところ、学童保育をするプレイルームや保育所を院内につくっていただけた病院や、病院長による女性医師の悩みを聞く会や女子会を開催できた病院もあると聞いています。

 今年6月には本学医学部附属病院の小倉真治病院長の強力な支援もあり、同病院内に夜間、休日、病児・病後児保育所がスタートしました。

 ―女性医師に対して伝えたいこと。

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 家庭と両立しながら働くための一番の核は、自分の意志と、プロフェッショナリズムを持つことだと思います。社会ができることは、あくまでサポートに過ぎません。

 「やり抜く」という気持ちを持って、研究や臨床など、自分の打ち込める分野に取り組んでください。頑張っている人を見れば社会は手を差し伸べてくれます。意欲を持った女性たちが、自分の夢を実現できる社会になることを願っています。

岐阜大学医学部附属病院
岐阜市柳戸1番1号
TEL:058-230-6000(代表)
https://hosp.gifu-u.ac.jp/index.html

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