球磨郡公立多良木病院 大島茂樹院長

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地域医療を守る

 大学医局の人材が枯渇し、人口減の進む地域ではさまざまな手段で医師の確保に奔走している。球磨郡公立多良木病院は、熊本大学からの医師派遣を本流としつつ、地域医療の本質を捉え直し、医師にむけて病院と地域の魅力を発信している。

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■ 地域医療とはなにか

 人吉・球磨地域は人口減が進んでおり、2010年に9万人を超えていた人口が、2040年には6万人程度まで減ると予測されています。

 現在、当院の30分診療圏といわれる地域の人口は約4万人で、外来数は多い日は400人を超えますが、平均は300人程度です。救急では24時間体制で年間約1200台の救急車を受け入れています。

 常勤医は18人いますが、専門領域の医師がまだまだ足りません。医師の確保については、従来通りに大学に派遣をお願いすることが基本ですが、医局に人が残らない時代ですし本人の希望が優先されますから、派遣が維持できるか危うい状態だと思います。

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レトロな車両で知られる、くま川鉄道に乗って人吉から約30 分。 公立病院前駅から病院をのぞむ

 では、希望して来てもらえるのはどんな病院なのでしょうか。医師にとっての病院の魅力とはつまり、そこに行けばなにか得るものがあり、学べてスキルアップできる事に尽きます。当院に来ることで医師にどんなメリットがあるのか。

 症例は豊富で優秀なスタッフがいます。住む場所としても自然が豊かで暮らしやすい。しかし、都市部と比べて特別なアドバンテージがあるわけではないことも現実です。だからこそ、当院の魅力は、メリットというより医師としての「やりがい」だと思うのです。

 地域医療に限らず、医師のやりがいは患者さんやご家族の喜ぶ顔であり、それはどこで働いても同じです。私が思うに、専門性の高い病院は別として、一般的なすべての医療は地域医療を構成するひとつのパーツなんです。高度急性期病院にしても、地域医療の急性期を担っているというだけで、結局、「すべての医療は地域医療である」ということができます。

 この病院ではそのパーツの多くがそろっていて、いながらにして地域包括ケアを体験できるのです。たとえば、高齢者が健康面に不安を感じて病院を受診されたときに、当院ではどうしたらその方が安心して生活することができるかまで考えます。その一環として、院内に包括支援センターも置いていますし、老健施設も持っています。

 医療の適応がなければ対応しないのではなく、この先どうやって暮らしていくのかまで提案して、いっしょに考える。それができる病院は、実際にはなかなかないのです。自治体病院だからこそできることで、もし強みがあるとすれば24時間の在宅医療機能をいかした包括的医療の部分なのかもしれません。

■ 次世代の指導者を育てる

 研修医が病院を選ぶとき、そこでどのような指導が受けられるのかは重要なポイントで、人がすべてと言っても過言ではありません。

 志のある医師と共に指導体制をつくることができれば若い医師も集まるだろうし、その方たちが将来の病院の幹部として残ってくれる可能性もあります。次世代の指導者を育てる教育の場になればと思っています。

 幸いにも、研修医や地域枠の学生のなかには、当院の訪問診療を見たい、学びたいという方がいます。また、熊本大学の地域医療・総合診療実践学寄附講座で実習を受け入れていますが、学生に聞くと意外に好意的な反応が多いんですね。「夏休みにも実施してほしい」という要望もあり、今後は実施する予定です。総合診療医の特任指導医資格も3人が取得しましたし、いずれは自前のプログラムをつくらなければならないでしょう。

 個人的に病院を見学しに来るような、核になりそうな医師が年に何人かいますので、ただ大学から派遣されるのを待つだけでなく、地域医療のやりがいを発信したいと思います。

熊本県球磨郡多良木町多良木4210番地
TEL:0966-42-2560
http://www.taragihp.jp/

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