最先端機器を駆使してスピーディーな医療を提供
ハートライフ病院は1988(昭和63)年に開院、翌年には救急指定病院に認定された。1991年には新館を建て、157床から300床に増床。さらに現在増築中の新棟は来年夏に完成する予定だ。
奥島憲彦院長に病院の特徴や今後の取り組みを聞いた。
◆重症患者割合30%
1991年の増床時に病室を全室個室化しました。今でこそ、そういうスタイルの病院が増えてきましたが、当時としては珍しかったですね。
2004年に卒後臨床研修制度が開始、初年度から研修教育病院に認定されました。2006年にはDPC対象病院になり、翌2007年は7対1看護を導入、地域医療支援病院にも認定されました。
また長年の24時間救急体制が認められ2009年に社会医療法人になりました。
今年度の診療報酬改定で7対1入院基本料の施設基準である重症患者割合が25%に引き上げられました。
基準をクリアできなければ病床削減、地域包括ケア病棟の設置などを迫られる病院も多いようです。しかし当院は重症患者割合が30%です。今後も病床数を維持し、急性期病院として歩んでいくつもりです。
◆最新の心電図・画像伝送システムを導入
最近導入したドクターカーには「クラウド型12誘導心電図・画像伝送システム」を設置しています。出動先から心電図や画像をクラウドに送信することで、病院でも心電図の確認ができるようになりました。これにより病院に到着してから治療までの時間短縮が可能です。
◆県内での骨髄移植が可能に
骨髄移植を希望される患者さんに移植環境を提供したいとの思いから、2010年に県内最大規模の無菌治療センターを開設しました。
清浄度100の高レベル無菌室を設置し、毎年10〜15件の骨髄移植を行っています。
これまで県外で受けなければならなかった骨髄移植が沖縄県でも受けられるようになり、患者さんやドナーの負担軽減に役立っているのではないでしょうか。
◆食道アカラシアのPOEM手術が可能
10万人の1人の割合で発症すると言われる食道アカラシアの経口内視鏡的筋層切開術(POEM)を行っています。
食道アカラシアとは食道の下部が狭くなることにより、食物が入らない、胸が痛い、嘔吐(おうと)、誤嚥(ごえん)性肺炎、咳などの症状が起こります。
現在、POEMができる施設は全国で七つしかなく、当院以外は、すべて大学病院です。
また肝硬変の患者さんに対して施すABMi療法を山口大学大学院消化器内科学と共同で、これまでに10例実施しました。
◆院内感染対策
院内感染対策に力を入れていて、厚生労働省の院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)に参加しています。参加当初は、感染率で全国平均を上回っていましたが、年々減少し、今では全国平均以下になっています。
当院の9人の認定看護師のうち、3人は感染管理認定看護師です。それぞれが専門的な見地から指導した結果が出たと考えています。
◆悪性腫瘍の早期発見のために
悪性腫瘍で入院する患者さんが右肩上がりに増加しています。
当院の人間ドックは年間1万4千人が受診しています。人間ドックで早期がんを発見することで早期治療へとつなげていきたいと考えています。
◆地域医療を支えるため
中頭郡中城村、中頭郡西原町、宜野湾市からの患者さんが6、7割を占めます。これらの地域は、今後も人口の増加が予想されています。
当院は急性期病院ですが、今後は地域のクリニックと協力しながら在宅医療も担っていかなければと感じています。地域の医療を支えていくために何ができるかを模索中です。
◆休暇も重要
ワークライフバランス向上のために職員にしっかり休みを取ってもらっています。
医師は呼び出しに備えて常にポケベルを持った生活をしています。たまには緊張した生活から解放されないと疲労がたまってしまいます。
医師が少ない科は琉球大学から人員を派遣してもらい、休暇が取得できるようにしています。