外科とスポーツ整形の二本柱で
五反田病院は1981(昭和56)年に五反田胃腸科外科として開院。2014年に現在の名称となった。5月に新院長に就任した五反田清和院長に今後の抱負を聞いた。
◆5月に院長就任
昨年、整形外科を増科。理事長が掲げた「無窮」の精神の元、日田市の外科系総合病院として新たな船出をしました。
私の専門は整形外科です。そのなかでも膝・スポーツ整形に力を入れていて、人工膝関節と外傷手術を中心に多くの症例を手がけています。外来の患者数は右肩上がりで朝から晩まで患者さんがとぎれないこともしばしばです。
スポーツ整形をやり始めてからは、日田でスポーツをする小中高生やアスリートなどの若い患者さんが多く来てくれるようになりました。
患者さんをベストコンディションで大会などに送り出したいとの思いから、月曜日の夜にはナイトリハビリをしています。月曜日は部活が休みの学校が多いので、放課後に来てもらい、そこでリハビリ、筋力トレーニングなどをします。毎回、かなりの人が集まってくれますね。
私が院長に就任したのを機に整形外科にアスレチックトレーナーを導入しました。アスレチックトレーナーは競技者の健康管理、傷害予防、スポーツ外傷・障害の救急処置、リハビリ、トレーニング、コンディショニングなどに携わる職種です。
現在、当院は日田の藤蔭高校野球部、福岡県立浮羽究真館高校ラグビー部 のバックアップ病院です。アスレチックトレーナーの指導のもと、部員のフィジカルコンディションを支えています。藤蔭高校はこの夏の全国高校野球大会では県ベスト4まで行き、もう一歩のところまできました。来年は甲子園へ必ず行けるよう毎日サポートを行うのが楽しみです。
地域の人との関わり合いをよりいっそう深め、外科系の総合病院プラススポーツ整形が得意な病院として、何かあった時は「五反田病院へ」と言ってもらえる医療を今後も提供していきたいですね。
将来的には、この地域にスポーツ総合施設を造り、医師をやりつつ、そこの館長になるのが夢です。自分もスポーツをしながら、施設を利用するアスリートと一緒に筋トレなどをする。そういうことをいつかやりたいと思っています。
◆チームドクターとして
私は7人制ラグビー日本代表のチームドクターを務めていて、トップアスリートのラガーマンが必死に世界と戦っている姿を目の前で見ています。
私自身も小さい時からずっとスポーツをしてきました。小中高ではサッカー、大学生になってからはラグビーを始め、その魅力にとりつかれ、今でも九州ドクターズという医歯薬系のメンバーで構成されたチームでプレーしています。
以前は20歳以下のラグビー日本代表のチームドクターもしていました。世界大会に帯同し、2カ月以上、各地を転戦していました。2012年のUSA世界大会で決勝戦まで進出し、惜しくも敗れてしまいましたが、その時に選手たちがくれたサイン入りのジャパンのユニホームは私の一生の宝物ですね。
当時は久留米大学医学部整形外科に所属していました。2カ月以上という長期間の不在を許してくれた志波直人教授と、いない間、業務のカバーをし てくれた後輩たちにもとても感謝しています。
◆風通しが良い環境を
働いていて満足感、充実感を得られるような病院にしていきたいですね。院長に就任後、職員一人ひとりと面談すると、さまざまな希望を持っていることに気付かされました。
これまでは忙しくて言えなかったり、言いづらかったりしたそうです。
垣根のない、和気あいあいとした雰囲気の病院づくりを心がけています。そのために病院内でソーシャル・ネットワーク・サービスLINEのグループをつくり、毎日職員と意見交換をしています。職員と密にコミュニケーションをとり、意見を言いやすい環境づくりをしていきたいと思います。
早稲田大学ラグビー部がチームスローガンに掲げている「Be the chain」(鎖になろう)という言葉があります。この言葉に感銘を受け、当院でも合言葉にしています。
院長就任後のファーストミーティングで「職員全員が手を取り合い、今まで以上に結束を深めよう」と伝えました。
職員全員で話し合う機会を数多く設けるようにした結果、職員間のコミュニケーションが円滑になりつつあると感じます。
◆あいさつと整理整頓
職員にいつも言っているのは、あいさつの徹底です。人の目を見てあいさつをすることは基本です。伏し目がちになったり目が泳いだりしていては、相手の信頼を得られないと思うのです。
次に整理整頓です。どこに何があるか分からない、使ったものが放置されているなど、業務が忙しくなると整理整頓がおろそかになりがちで す。いつなんどき、誰がみても整然とした状態でなければなりません。
毎週水曜日は朝8時20分から全職員参加で20分間、病院内の清掃をします。私も玄関前をほうきで掃いています。
◆患者さんと同じ目線で
2009年から6年間済生会福岡総合病院に在籍していました。院長の岡留健一郎先生からは医師として大きな影響を受けました。先生のエネルギッシュでパワフルな医師像は私の理想です。先生からいつも言われたことは「患者さんと同じ目線に立って接しなさい」ということです。その言葉は私の胸に刻み込まれています。
◆デイケアごたんだ
病院に隣接する「デイケアごたんだ」では、リハビリや運動療法のほか、屋上庭園で野菜を栽培したり、炭酸風呂で日常の疲れを癒やすことがで きます。また院内コンサートや講演会などのイベントも好評です。
地域の高齢者はデイケアで、小中高生はスポーツ整形でリハビリ。そんな環境を提供できていると思います。将来的には病院が中心になって、地域の活性化に一役買えるようになりたいですね。