坂出市立病院 岡田 節雄 院長

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市民が安心して暮らせ、心の支えとなる病院

香川県立観音寺第一高校卒業 1985 三重大学医学部卒業 香川医科大学第一外科入局2003 同講師 2004 坂出市立病院診療部長2005 同副院長 2016 同院長

 人口約5万3千人の香川県坂出市。市内唯一の公立病院、坂出市立病院は2014年12月に現在地に新築移転。2015年度は外来患者数、入院患者数とも旧病院を上回る順調なスタートを切った。副院長として改革にあたり、今年4月に院長に就任した岡田節雄新院長に今後の取り組みを聞いた。

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―新病院は、どのような運営方針が特徴ですか。

 地域に根付くような急性期の病院をつくるという坂出市行政と共通のコンセプトのもとに新築移転しました。

 特定機能病院などが提供する高度な先進医療を目的とせず、幅広くレベルの高い急性期医療を市民にきちんと提供するための病院です。

 このため、旧病院では診療ができていなかった科も新たに開設し、診療の幅を広げるように致しました。

 内科系ですと、消化器、循環器、血液、呼吸器、内分泌、腎臓の各分野において専門医をそろえることができました。このため、腎臓内科では、これまでできなかった人工透析もできるようになりました。膠原病や神経内科の専門医はまだいませんが、一般的な内科のほぼすべての分野を専門的に診ることができます。

 外科系では、旧病院でも年間約700件の手術を行っていましたが、新病院になって手術数は増加傾向、昨年度は950件以上となっています。4月からは、麻酔科専門医の常勤医師が2人体制となったこともあり、今後も増加すると考えています。

 呼吸器外科専門医も昨年10月から常勤となり、この4月からは2人体制で、肺がん、肺疾患などの胸部外科手術も高いレベルで可能となりました。

 新病院では特に手術部門の充実を重要な目標のひとつとしております。

 建物の設計、建築においてもその点に配慮しました。手術室がある3階フロアには、これまでなかったHCU(ハイケアユニット)、血管造影室(心臓カテーテル検査室)、透析室などを設けました。これらを同一フロアに近接・集約することで、集中的かつ効率的に治療ができています。2階の検査室とも上下の位置関係に配置し、検体専用の自走車でつなぎ、連携しやすくしました。また、縦の動線としても工夫をし、1階の救急室から3階フロアに直接つながる専用のエレベーターを設置して、緊急重症患者さんを迅速に搬送できるようにもしました。

―患者数が増加しているそうですね。

 新病院になった2015年度と前年度を比較すると、外来患者数は3%増で収益は20%増、入院患者数は7%増で収益は15%増となりました。

 収益が伸びている背景には、患者さん一人当たりの診療単価が上がっていること、つまり、重症度の高い患者さんの診療を行っていることがあると考えています。

 診療科を増やし、より専門性を高めたことで、旧病院ではできなかった医療が提供できているということでしょう。このことによって、1992年度から2015年度まで連続して黒字を計上しています。

―地域との連携で特徴的なことは。

 へき地医療にも力を入れています。王越地区のような山間部や、櫃石(ひついし)島、岩黒島といった離島に、医師や看護師が定期的に巡回診療を行っています。

 また、1997年には、在宅支援を行うための「すこやかライフ支援室」をつくりました。高齢の患者さんなどで、在宅での生活を希望する方を支援するため、医師や看護師が訪問診療や看護を行います。専任の医療ソーシャルワーカー(MSW)を配置し、患者さんの相談にも応じています。

 地域の医療機関との連携にも力を入れ、私も院長就任後に20数施設にごあいさつに伺いました。

 急性期の病院が、患者さんを自分たちで治療した後は地元の医療機関に患者さんを紹介して終わりという考えではよくありません。患者さんをサポートするために、お互いを知って、病病連携、病診連携を深めたいと思います。

―今後の課題は。

 診療体制の充実です。1点目は、お産ができる体制を整えたいと思っています。現在、産婦人科はありますが、医師が1人なので出産に対応できません。新病院には、出産設備を造りましたので、早い時期に常勤医を2〜3人に増やし、市民の要望に応えたいと思っています。

 2点目は脳神経外科の整備です。現在は、診療科はありますが非常勤ですので、これを常勤の専門医として、診療を充実させたいのです。例えば、脳卒中のために搬送される患者数は増加していますが、医師が不在の際には治療ができず、現状では他院にお願いするほかありません。ある市民の方から「昔からここにお世話になっていますが、脳神経の病気になったら別の病院になりました」と言われて大変申し訳なく感じたことがあります。この分野は専門医自体も少ないようですが、なんとか医師を確保したいと考えています。

―就任にあたって職員に伝えたメッセージは。

 当院の基本理念は「市民が安心して暮らせ、心の支えとなる病院に」です。職員の共通の価値観であり、共通の行動指針でもあります。

 病院は、ともすれば、技術、スキルといった点だけに重きを置きがちですが、われわれは坂出市民の期待に応えるために、違いを出さなければなりません。

 私は、それが市民との距離の近さだと考えます。心のこもった医療の提供のため、今一度、基本理念に立ち返り、この指針に基づいて行動をしてほしいと全職員に伝えています。

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坂出市立病院
香川県坂出市寿町3丁目1番地2号
☎0877・46・5131(代表)
http://www.city.sakaide.lg.jp/site/sakaide-hospital/


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