頼りにされると頑張ろうという気持ちになる
インタビューに際しての打ち合わせで、「横山卓院長は非常に忙しく、日曜日以外は、週に1日の徹夜と半日の訪問診療を含めて、休む時間がほとんどない、仕事も趣味もとにかく一生懸命な熱血先生」と藤田正孝事務長から聞いた。それをなぜ続けているのか。質問のチャンスがあれば尋ねてみようと思った。
―この地域の特色は。
他の地域と比較して高齢化が非常に進んでいます。お年寄り同士の仲が良く、いろんな病院に通いながら、情報交換をしているようです。
整形外科でいうと、何歳になっても働けるうちは農業を続けたいと思っている、働き好きの人が多く、腰やひざの具合が悪くても手術を望まない方がほとんどです。
―役割と目指すところは。
内科と外科と整形外科をメインに、患者さんの環境や生活のスタイル、趣味などすべてを含めて、もっとも適した治療法を選ぶように心がけており、それをかなえるには、他の医療施設との連携が重要です。この地域の人が遠くまで行かなくてもいいような、ここに来れば安心できるような、そんな体制づくりを目指しています。
―貴院に必要な診療科は何ですか。
救急をやっていますので、脳外科はあったほうがいいですね。この地域の病院は外科系と内科系に分かれていて、外科系は当院を含めて6つ。そこに脳外科は3カ所しかないのです。夜間救急で来る人の半数は整形外科で、あと半分が頭のけがです。頭部はどうしても心配ですからね。
これからリハビリが特に重要になってきます。90歳になっても働き、隠 居生活をしている人はほとんどいないような地域ですから、健康寿命は長いですが、けがは多いです。そしていったん横になって働けなくなりますと、気力も体力もどんどん落ちていきますからね。
ただこの地域は、内科を中心にして往診されている先生もいますから、住民から見ると、家にも来てもらえるし、当院もある、といった感じだろうと思います。役割分担や連携は、診療情報のやり取りを中心にしてうまくいっていますが、さらに密にやる必要があるとも感じているところです。
―医者の家系だから医者になろうと?
子どものころ、父親が遅くまで帰ってこなかったので反発した時もありました。でも周囲の期待があまりにも大きく、みんなを安心させようとして医学の道に進んだのです。ところが、医学部に入ってから医療に興味が出てきて、ちゃんとした医者になろうと考え始めました。
自分の科に限らず、何を相談されても返答でき、治す前に不安を取り除くような医者、つまり私の父のようになろうと思い、専門のスペシャリストではなくスーパー町医者になってこの町に帰ってこようと目標を立てました。
―理事長の幼いころを知っている患者さんも多いのではないですか。
大勢おられます。祖父の時代から代々来られている人もいます。「昔はけがした指を麻酔をせずに縫ってもらった」みたいな思い出話も聞きます。そのような状況に置かれますと、この地で生まれ育った者として、頼りにされるうれしさがあり、横山病院があるから安心して暮らせると言われると、もっと頑張ろうという気持ちになります。
医療法人倬清会
横山病院
愛媛県西条市小松町新屋敷甲286
☎0898・72・2121(代表)
http://www.yokoyama-hospital.jp/