鳥取県立中央病院 池口 正英 院長

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2018年秋、新病院開院 大学病院に匹敵する医療を

福岡県立福岡高校卒業 1980 鳥取大学医学部医学科卒業1984 同部附属病院 医員、鳥取赤十字病院1986鳥取大学医学部附属病院 医員 1987 同院 助手 1992鳥取大学医学部 講師 2002 同部附属病院手術部 助教授2005 同部器官制御外科学病態制御外科学 教授2015 鳥取県立中央病院 副院長 2016 同院院長就任

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―4月に院長に就任されました。新病院の開設を控えています。

 「医療安全」、「教育・育成」、「健全経営」の三つを新病院運営の柱においています。この三つの柱の相互作用によって、患者さんと職員の双方にとって良い病院にしていきたいと考えています。

 すでに2018年10月の開院に向けて準備が進んでいて、病床数は現在の431床から、518床に増加します。病院が新しく、大きくなることは患者さんにとっても職員にとっても良いことですが、実際には建設費用、最新機器の導入などで、数百億の費用がかかります。現在、感染病床を除くと90%程度の病床稼働率ですが、87床増えたときに維持できるかどうかが大きな課題です。

 近隣病院との兼ね合いもありますし、診療圏を拡大することはすぐには難しい。解決策としては、地域で役割分担するしかありません。この地域の主な急性期病院は、鳥取赤十字病院、鳥取市立病院と当院の三つ。いずれも約350〜450床と、同じくらいの規模で診療内容も似ています。

 病院の特色を出すためにも、今後は高度急性期病院として十分機能するための人員配置と整備を進めていきたいと考えています。

 鳥取市内で循環器内科と心臓血管外科がそろっているのはここだけです。また、新病院には脳卒中センターを新設し、脳梗塞・脳出血にも対応できるようになります。

 さらに、産婦人科と小児科の医師が十分そろっていますので、MFICU(母体・新生児集中管理室)、NICU(新生児集中治療管理室)もしっかり稼働させていきたいですね。

 この辺りは災害の多い地域ではないのですが、病院のすぐ裏を流れる千代川の氾濫を想定した場合、今の建物では1階が水没すると機能しなくなります。その点、新病院では2階以上に機能を集約したので、災害拠点病院として県民の安全を守ることができます。

―人材も必要ですね。

 現在、医師は研修医を合わせて105人ですが、新病院では研修医を入れて130人くらいの医師がいないとうまく回らないかもしれません。病床数が増えると、7対1の看護基準を満たすために100人以上の看護師が必要になりますし、病院薬剤師については、当院だけでなく地域全体で不足しています。薬学教育が6年制になったこと、当直やチーム医療などの付加業務が、敬遠される要因かもしれません。卒業後は病院ではなく調剤薬局に就職する人が増えています。すべての分野において人が足りない状況ですが、喫緊の課題は、看護師・病院薬剤師の充足です。

―チーム医療についてはいかがですか。

 前職の鳥取大学教授のころは、専門医取得のための指導が主でしたので、ここに来てからは、チーム医療の大切さを身に染みて感じています。同時に、医師、看護師、薬剤師、栄養士など、さまざまな職種の人が関わっている医療現場は、素晴らしい教育の場でもあるとも思っています。

 ですから、当院では、チームの中に必ず若い医師や看護師を加えることにしています。通常、研修医が入ってくると、指導役の医師がマンツーマンで教育します。それはそれで重要です。しかし、それとは別に、異なる職種の人たちとチームを組むことによって、視野が広がり、考え方にも幅が出るのではないかと思うのです。

―なぜ消化器外科医に。

 もともと、がんの研究に興味があって医学部に入りました。がんを治すには手術しか道がなかった時代です。当時のがん研究・治療のトップリーダーでもあった古賀成昌教授に師事して消化器外科の道を歩み始め、多くのことを学ばせていただきました。

 昨年9月まで在籍していた鳥取大学では、主に直腸がん・胃がんの腹腔鏡や手術支援ロボット「ダビンチ」による手術などの技術指導にあたってきました。当院に来てからは、ロボット治療の推進は難しい状況ですが、腹腔鏡下手術については積極的に進めているところです。

―10月に米子市で開催される「胃外科・術後障害研究会」の世話人ですね。

 テーマは「高齢化時代における胃切除」です。高齢化や核家族化が進み、術後の患者さんのQOL(生活の質)の維持が大きな問題となっています。

 昔は、高齢者の胃切除は、開腹して短時間で手術を終えたほうが体への負担が少ないと考えられていました。しかし最近では、たとえ時間がかかっても、傷が小さくて済む腹腔鏡下手術の方が合併症が少ないことがわかってきました。

 進行性がんの場合、高齢になるほど予後が悪いケースが多い。それは、早く手術を終わらせようとして、リンパ節の郭清などを手控えてしまうことが原因の一つです。しかし、腹腔鏡下手術によって、リンパ節まできちんと切除すれば、合併症も出血も少なく、予後も若い人と変わりないことがわかっています。手術ではそこを目指すことが大切です。

―鳥取の医療に何が必要だと思われますか。

 鳥取県西部には大学病院があり、地域の方たちは最新医療を受けやすい環境にあります。本来なら、東部地域の方たちにも同じ環境が必要です。ですから東部の医療の質を大学病院に匹敵するぐらいに高めること。今後は、当院がその役割を引き受けるという自覚を持って、この地域の患者さんに安心・安全な医療を提供していきたいと思います。

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鳥取県立中央病院
鳥取市江津730
☎0857・26・2271(代表)
http://www.pref.tottori.lg.jp/chuoubyouin/


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