7月に第39 回日本骨・関節感染症学会 岡山市で テーマは「感染退治!」
尾崎敏文教授に、学会長を務める「第39回日本骨・関節感染症学会」(7月8日、9日開催)や整形外科学講座教授としての取り組みなどについて話を聞いた。
■第39回日本骨・関節感染症学会
抗悪性腫瘍治療薬や、副腎皮質ステロイドなどの薬物療法、また血液透析や糖尿病などを合併している患者の増加により、骨、関節感染症の発症数が増加しています。
また、体内留置のインプラントを用いる整形外科手術では、手術部位感染(SSI)への対策が必須です。これらの感染症の撲滅のために何をすべきかを考えようというのが今学会の目的です。
学会のテーマは、ここ岡山県にゆかりのある桃太郎の鬼退治にちなみ「感染退治!」としました。学会ポスターのデザインも医療従事者を桃太郎一行に見立て、「感染症」という名の鬼を退治しにいくイメージです。
シンポジウムでは術後手術部位感染の疫学調査を発表します。下肢の人工関節や脊椎インストゥルメンテーション手術後感染の全国調査の概要とその対策、SSI、抗菌薬投与についてのエビデンス発表、疫学調査の統計結果の検討などについて講演してもらいます。
また、周術期感染症予防対策についてのシンポジウムも予定しており、当院の周術期管理センター(PERIO)などが講演発表を行います。
そのほかにもランチョンセミナーが2つ、アフタヌーンセミナー、イブニングセミナー、モーニングセミナーをそれぞれ1つずつ開く予定で、ランチョンセミナーでは銀やヨードで加工した抗菌インプラント人工関節のレクチャーなどを予定しています。
学会の最後にはICD(インフェクションコントロールドクター)講習会を行います。総勢700人以上の方が参加される予定です。
参加者のみなさんから来てよかったと思ってもらえる学会にし、ひとりでも多くの患者さんを救う手助けができれば幸いです。今後の感染症対策の指針を示せるような学会にしたいですね。
■講座について
教室には医局員が55人在籍しています。教室全体の手術件数は年間約1200件で毎日が手術日となっています。
日本整形外科学会(日整会)のAOA(AmericanOrthopaedic Association)トラベリングフェローに当講座から5人連続で採用されてます。今後も国際化には力を入れていきたいと思っています。
私たちはチームごとに研究を行っており、まず外傷グループが中心となり活躍しています。特に骨盤骨折治療においては国内最多の手術実績があります。今年の4月には運動器外傷学講座という寄付講座ができましたので、外傷教育には、今後もより力を入れていくつもりです。
私は年に1回は、学会の会長を務めていて、来年は整形外科バイオマテリアル研究会、再来年は日本関節病学会の会長を務めます。2020年には日本で開催されるアジア・太平洋骨軟部腫瘍学会学会長にも指名されました。
毎年、大きな学会をやるのはたいへんな面もありますが、医局員たちと力を合わせて準備するのは楽しいですね。
医局員の数は多いですが、みなさん一つの方向を向いて頑張ってくれています。当教室は大学院の人気も高く毎年8人くらいの人が院生として帰ってきてくれています。若いパワーがみなぎっているのも教室の特徴かもしれません。
■スポーツとの関わり
私たちは、プロ、アマチュアを問わずスポーツのサポートもしており、サッカーJリーグのファジアーノ岡山、天満屋女子マラソンチーム、高校野球の指導まで、岡山県を中心に幅広く行っています。
ファジアーノ岡山は、チームに常時帯同する医師を6人選出してサポートしています。また高校野球連盟とタイアップして、高校球児に障害がおこりにくい投球フォームの指導なども行っています。
■整形外科の魅力
整形外科は取り扱う領域が広く、高齢化社会で症例が増えてくるので、需要が多い科です。また乳幼児、成人、高齢者、アスリートまでを診る必要があります。忙しい科であることは確かですが、その分やりがいがあります。
外科系の科すべてに言えることだと思いますが手術中は瞬時の判断が求められる場面に必ずといっていいほど遭遇します。その場でリスクを判断し、それを回避する能力が整形外科医に必須ではないでしょうか。
一方、私は現在、日本小児がん研究グループ(JCCG)の理事を務めていて小児科や小児外科の先生方とも連携を深めています。これからは整形外科と小児科の橋渡し的な役割も務めていきたいですね。
岡山大学病院
岡山市北区鹿田町2丁目5番地1
☎086・223・7151(代表)
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