医療法人財団百葉の会 湖山リハビリテーション病院 殷 祥洙 院長

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静岡のリハビリ医療をリードする病院として

三重県立桑名高校卒業 1995 東京慈恵会医科大学卒業愛知県厚生連安城更生病院整形外科研修医、東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座助手、東京都リハビリテーション病院医員、韓国延世大学および米国ペンシルベニア大学留学を経て、2005 農協共済中伊豆リハビリテーションセンターリハ部長 2014 湖山リハビリテーション病院院長

 14年前の7月に長期療養病院としての医療機能評価を静岡県内で1番目、全国でも35番目に認定された湖山リハビリテーション病院。殷祥洙院長に話を聞いた。

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―貴院の特徴を教えてください。

 2012年、当院は湖山病院から湖山リハビリテーション病院に名称を変更しました。現在は、医療型療養病棟、介護型療養病棟、回復期リハビリテーション病棟の3つを持つ病院として、リハビリを強化した医療を行っています。

 回復期病棟でリハビリを行うことは当たり前ですが、療養病棟でもリハビリができるところはあまりないと思います。最近は、体の機能回復を目的としたものはもちろん、嚥下(えんげ)障害に対するリハビリのニーズも非常に高まっています。嚥下造影をはじめ、当院ではそうした状況に対応できる体制を整えています。

 さらに、院内でのリハビリだけでなく、小児のリハビリやスポーツのメディカルサポートなども行っています。子どもから高齢者まで幅広く対応しています。

 当院は湖山医療福祉グループの一員であり、全国で多くの介護保険施設を展開しているため、グループ内のメディカルスタッフを一堂に集めて充実した教育を行うことができます。介護福祉士の教育においては特に徹底していると自負しています。

 例えば、介護福祉士は回復期リハビリテーション病棟内のあらゆる会議に必ず出席します。医療をやっていく上で、彼らの目線や意見は非常に重要です。

―職員教育で心掛けていることは。

 当院では、約70人のリハビリスタッフが働いていて、この人数をまとめるには、一つの組織を作る必要があります。PT(理学療法士)・OT(作業療法士)・ST(言語聴覚士)は、どちらかというと職人かたぎなところがあり、強固な上下関係・組織の下でやっている病院が多いようです。その方が教育システムとしては充実すると思います。ただ、各部の間に壁を作りやすいため、当院ではそうしたことがないよう気を付けています。

 そのためには、医療のユニット化が必要です。これは、リハビリだけではなく、看護、介護スタッフを巻き込んだ1つのユニットとして、1人の管理者が統括し、病棟を運営するというやり方です。

 この方法だと、「私はPTだから、これしかできません」というのではなく、ときには看護師や介護福祉士のような役回りを求められることもあるかもしれない。流動的ともいえますが、これが本来のリハビリ病棟のあるべき姿だと思います。そこのところを心掛けるよう、スタッフには日頃から話をしています。

―院長として大事にしていることは。

 今まで「院長として」と意識したことはありません。自分が旗を振ればみんながついてきてくれるような、そんな甘い世界だとは少しも思ってなかったですし。

 大事にしていることは、私が日本リハビリテーション医学会の専門医であり、指導責任者であり、代議員であるということ。この地域のリハビリ医療を任されている立場であるということです。普段の診療においても、この地域のリハビリ医療をどうするか、ということを常に意識しながら取り組んでいます。

 スタッフにも、当院は富士・富士宮地域のリハビリ医療をけん引する病院であるべきだという認識を持ってリハビリ医療に取り組んでほしいと思っています。

―この地域が抱える医療の課題は。

 これまで、いろいろな地域医療の現場に関わってきましたが、老老介護を含めた老人の核家族化が全国的に進んでいると実感しています。

 しかし、幸いなことに、東名高速から北のこの地域にはお茶農家が多く、大家族が多い。他の地域に比べると、回復期医療から在宅医療に移しやすい地域だといえます。

 一方、東名高速より南の地域は工業地帯なので、都市型の問題を抱えています。単身独居であったり、家屋や経済的な問題などを抱えた方が多く、在宅医療への切り替えが難しいという課題があります。

―リハビリの専門医は少ないと聞きます。

 静岡県には、50数名のリハビリ専門医が活躍されています。さらなる拡充を図るべく日本リハ医学会の傘下である静岡リハ学会という活動の幹事として、リハビリ専門医を志す先生方と勉強会を行っています。また、メディカルスタッフとともに活動する静岡リハ合同学会(静岡リハ懇話会)の、今年度末の主催の世話人を拝命しています。

 このように積極的に活動をしているつもりなのですが、他の医学領域に比べると、賛同してくれる先生が圧倒的に少ないというのが現状です。

 まもなく新専門医制度の本格的な運用が始まる予定です。私が大学にいた頃の医師は、大学の教育機関で研修を受けて、専門医や学位を取得し、教授になったり、大学の外の病院へ行ったりしていました。

 時代が変わり、マッチングプログラムというものが出てきて、卒業したらいきなり外の病院に出ていく医師が増えました。それによって、大学における診療科の役割が小さくなってきてしまった。しかし新専門医制度の研修プログラムは大学病院の役割が大きいため、研修医の大学回帰が起きるのではないかと思います。

 これは個人的な見通しですが、超高齢社会に対峙(たいじ)すべく地域包括ケアシステムを立ち上げた日本の現状をみると、新専門医制度でのリハ専門医のニーズはますます高まり、今後はすべての大学医学部がリハビリ医学の講座を持たざるを得ない時代になってくると考えています。

 国公立大学を中心に、そういう気運が高まれば、医学生へのリハビリ教育の門戸は開き専門医も増える。リハビリの専門医が増えれば、リハビリ病院の在り方も良い方向に変わってくるのではないでしょうか。

医療法人財団百葉の会
湖山リハビリテーション病院

静岡県富士市大渕405-25
☎0545・36・2000(代表)
http://www.momoha.or.jp/


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