独立行政法人地域 医療機能推進機構 JCHO 可児とうのう病院 岸田喜彦 院長

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急速にすすむ高齢化 引き続き努力を重ねたい

1980 国立信州大学医学部医学科卒業 1981 稲沢市民病院外科医員 1986 名古屋大学附属病院分院外科勤務 1989 愛知県心身障害者コロニー中央病院外科医長 1991 名古屋大学附属病院分院外科、同第1外科勤務 1994 健康保険東濃病院外科副部長 1997 岐阜社会保険病院に改称 2008 同病院長(社会保険介護老人保健施設長を兼務) 2014 可児とうのう病院院長

 名古屋から名鉄電車でおよそ50分。丘陵地帯にこつ然と町が現われる感がある。高度経済成長期にベッドタウンとして発展し、今後は高齢化が急速に進むだろうと、可児とうのう病院の岸田喜彦院長は言う。地方の医療の難しさを聞いた。

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 JCHO(ジェイコー)になって3年目に入りました。

 それ以前は岐阜社会保険病院として地域に根ざした運営を心がけてきました。可児市には公立病院がないため、以前より当院がその役割を担ってきたわけです。

 そこにJCHOの使命=5事業(救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児医療)と、5疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、神経疾患)、そしてリハビリテーション、そのほか地域に必要な医療と介護を提供することが目的として明確化されました。

 可児市は高度経済成長期に、名古屋市のベッドタウンとして、人口が5万人から瞬く間に10万人に増えた町で、20年以上経った現在は当時の子どもたちが成長して家を出たため、老人だけが残った団地が増えてきています。2025年問題といわれる時代には、可児市も例外なく高齢者が多い地域がさらに増えることが予想され、将来が懸念されます。

 その対策として、今から地域包括ケアシステムを進めようと、可児市主導で地元医師会や地域住民と合同の会議が開かれているところです。当院も当然のことながら、入院治療をはじめいろいろな面で協力していかねばなりません。

 私が院長になった8年前より市からの委託で可児市西部地域包括支援センターを、隣接する附属介護老人保健施設の中に設置し、それ以前からあった居宅介護支援センターとともに地元住民を対象とした事業を進めてきました。どちらも相談件数は年々増加する一方です。

 他方それより少し時期は遅れましたが、在宅医療を推進する目的で訪問看護ステーションも設立しました。しかし訪問診療に携わる医師が当院だけでは賄いきれないため、地元医師会の開業医の先生方に協力していただいているのが現状です。

最近の医療に思うこと

 現在当院に入院される方の大半は、当然のことながら高齢の方々です。私が医師になったころと比較して、入院患者の平均年齢が高くなっただけでなく、医療の質も良くなり、技術も高くなっているため、以前では治療が困難であった症例も救命でき、無事に退院される方も増えています。しかし多くは入院する前の状態にまで回復することは難しく、そのまま自宅へ帰ることができません。そのため個々の患者さんによっては退院後の受け入れ先を家族とともに検討していかねばなりません。本来自宅へ帰れるように治療していたはずの医療なのに、治すことが可能となっても帰るところがないという問題が出てきています。

「在宅」をどう受け入れるか

 こうした受け入れ側の問題が解決していない状態ですが、今後は在宅でという国の方針はさらに強まると考えられます。しかし現実、患者さん以外に誰も家族がいない独居老人や、体の不自由な方が看なければいけない老老介護のような状況があります。家に帰りたいといわれる方は帰してあげたいのですが、病気になった認知症の方をどこに戻せばいいのでしょう。先述した訪問看護や老健などの施設を含めて調整する努力が現在もなされていますが、近い将来急性期病床削減の流れもあり、具体的な対策が急がれます。

3つの大きな分岐点

 医師になって30年以上が経ちますが、自分の人生の半分以上にあたるこの道のりで、これまで重大な決定をした半生の分岐点が3つありました。

 1つ目は医学部受験を決めた浪人時代です。高校生の時は医師になろうという気はなく、他の学部を受験しました。目標が決まってから人生で初めてわき目もふらずに勉強しました。2番目が大学の医局へ帰局する際に選択せねばならなかった専門科を決めた時でした。これも、もともと希望していた診療科ではなく周囲の人たちも少なからず驚いていました。3つ目は当院の院長を引き受けた時です。自分の人生の中で院長職に就くとは考えもしなかったことで、周囲の人たちも予期していなかったと思います。人生は何が起こるかわからないというのが正直な気持ちです。

JCHO 可児とうのう病院
岐阜県可児市土田1221番地5
☎0574・25・3113(代表)
http://kani.jcho.go.jp/


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