安全で低侵襲、洗練された手術を
―病院の特徴を。
当院は1978(昭和53)年に開院し、間もなく40年。2011年には、病院を新築して、今に至ります。病院を開設した現理事長でもある父の野田修二は、眼科医として白内障手術にいち早く取り組み、年間400件もの症例を手掛けてきました。私も同じく眼科医となり、2012年4月に院長になりました。
父同様、安全で低侵襲、そして洗練された手術を心がけています。当院は、基本的に眼科全般を扱いますが、特に手術で治療できる疾患を得意としています。具体的には白内障や硝子体の手術が全体の8割以上を占め、最近では眼瞼下垂の手術も多く行っています。
評判が口コミで広がっているのか、大分市内はもちろん、別府市、由布市、遠方では熊本県や宮崎県から来られる患者さんもいます。
また、当院は先進医療の厚生労働省認定施設となっています。白内障の先進医療としては、多焦点眼内レンズを使用する手術がありますが、現在、大分市内で認定されているのは当院のみです。多焦点眼内レンズは、遠近の両方にピントを合わせることのできる新しい眼内レンズです。
しかし、多焦点眼内レンズを使用する手術は、まだ白内障手術の1割程度です。当院に来られて初めて多焦点眼内レンズの存在を知った患者さんも多く、眼内レンズを含めた手術費自体も高額だからだと思います。
ただ、遠くも近くも見える利点から、多焦点レンズでの手術を初めから希望される患者さんも徐々に増えていますので、期待に沿えるように対応しています。
―高齢化に伴い、白内障は増加しているのでしょうか。
そうですね。白内障は、物がかすんで見えたり、眼鏡をかけても二重に見えたりといった症状があります。70代が一番多く、次に多いのが60代です。生活習慣病を持っている方も多いので、視力検査、眼圧検査、眼底検査など検査は診察時にしっかりと行う必要があると思います。
当院は、週2日、手術の日を設けていますが、患者さんが多く順番を待っている方もいます。一方で、手術が怖くて、症状があっても受診せず、我慢されている方も多数いるようです。
しかし、白内障の手術は、昔に比べてかなり進化しています。30年ほど前は、切開創が8㍉から10㍉でしたが、最近では2㍉以下の手術も可能となりました。手術機器も進化していますが、眼内に挿入するレンズの質が変化したためです。レンズは、切開創を通らなければなりませんが、レンズ自体がしなやかになり、小さく折りたたんだり、丸めたりできるようになりましたので、小さな切開創から挿入することが可能なのです。傷が小さいため、患者さんにとって負担も軽くてすみます。
―力を入れていることは何ですか。
やはり、患者さんへの説明です。手術前には多くの検査がありますが、そのデータを示しながら、わかりやすく話をするよう心掛けています。
眼科の疾患は一般の方にはわかりにくいので、出来るだけ専門用語を使わないようにします。手術の内容をアニメーションで伝える動画なども、特に高齢の方には「わかりやすい」と好評です。
患者さんが、どういう生活を送っていて、その中で何を大事にしなければならないかをヒアリングし、それを手術に生かすことが大事です。「運転をするので遠くを見たい」「化粧をするので近くもきちんと見たい」など、さまざまな要望に応えたいと思います。
また、新しい医療機器の導入にも力を入れています。眼科領域の機器は、日々進歩していて、精度もより高く、より早く正確になっています。
当院がどのような病院を目指すのか病院の方針を、スタッフと一緒に、具体的な言葉にしました。言葉だけに終わらせないようにと、カードに書き、名札に入れてスタッフ全員身に付けています。
―視能訓練士(ORT)の数が充実しています。
産休明けで復帰するORTもおり、今年7月には、8人となります。眼科の場合、診断の際にはできるだけ正確な検査データが必要ですので、国家資格を持つ経験豊富なORTの役割は大変重要です。
ORTはまだまだ数が足りない職種です。地域の事情で、集まらない病院もあるようですが、当院ではしっかりと確保できていますのでありがたいと思っています。
また、ORTは女性が多いので、結婚後に辞めてしまうケースもありますが、職場の雰囲気が良いためかおかげさまで当院の職員は、長く働いてくれています。
そのためには、コミュニケーションが大事ですので、会議を頻繁に行ったり、季節ごとに食事会を開いたりするなどの環境作りを心がけています。
また、医師とORTを含めたスタッフの多くが一緒に、検査機器や薬の使い方の勉強会もしますし、学会にもできるだけ一緒に連れて行くようにしています。学会では新しい治療法などを学び、皆で研鑽しています。
大分市東春日町7の16☎097・537・2026
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