一丸となって地域完結実現を
県立日南病院の位置づけ
宮崎県の県立病院は、県立宮崎病院、県立延岡病院、そして県立日南病院があり、当院は、日南市と隣の串間市を中心とした圏域をカバーしています。
高度な急性期医療と救急医療、災害医療がおもな役目です。昨年からは60日という期間の中で、急性期は過ぎたけれどもいろんな事情で家に帰せなかったり、リハビリの長引く患者さんが入院できる地域包括ケア病棟をつくりました。今後は、国が推し進める地域包括ケアシステムとの関わり方が課題です。当院の医療連携科に優秀なスタッフがいますので、そこを窓口にして動いていくと思います。
圏域で脳卒中、急性心筋梗塞を担えるのは当院のみであり、また、がんに対する手術や化学療法、放射線療法を含めた集学的治療ができるのも当院だけで、専門的な治療を行う中核的な医療機関としての役割を、引き続き担っていかなければなりません。
地域完結のために
今は道路事情も良くなり、車で1時間も走れば、医療施設の多い宮崎市まで行けますが、入院となりますと患者さんにも家族にもいろいろな負担がかかりますから、できる限りこの病院で完結させてあげたい。それを第一の使命として、医師をはじめ全スタッフが奮闘しているところです。
県立日南病院には、地域の医療機関と手を携えて、患者さんの診断治療を担う「医療連携」をスムーズに進めるため医療連携科を設置しています。
この「医療連携」は、患者さんに手厚い治療や看護が必要な時は当院に入院・通院してもらい、解決した後は、開業医や診療所などのかかりつけ医へ、自宅などから通院しながら治療を続けるもので、両者がより密接に連携していることを示すために「二人主治医」という言葉で呼ぶこともあります。
医療連携科のスタッフは、医師、看護師長、副看護師長、医療相談員、事務職員、がん相談支援センター専任相談員、入院支援センター相談員の7人で、院内外の連絡調整や、患者さんの立場に立った退院調整、院外機関との合同研修会の実施などを通じて連携の推進を図り、県南地域の住民がより適切な医療を受けられるよう活動しています。
解決したい問題点
都市圏ではないために医師も看護師も不足が続いており、休診にしている科もあります。
宮崎大学から医師を派遣してもらっていますが、大学のほうも医局員があまり増えていない状況のようです。それでも派遣の増員や継続をお願いしています。看護師についても、地元の看護学校で当院の診療科がそれぞれ授業を受け持っていますが、日南市にはなかなか残ってくれません。しかし3年前から、4人、3人、7人と基幹型研修医が来てくれるようになったのは、全職員の励みとなりました。
私が医者を続けてこられたのは、ほかの職員もそうだと思いますが、好きだからです。もちろんそこに、仕事に没頭する姿勢、いろんなことが起こっても、人間として正直に向き合う心構えは必要だと思います。