長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 医療科学専攻/展開医療科学講座/小児科学 森内 浩幸 教授 / 岡田 雅彦 准教授

  • はてなブックマークに追加
  • Google Bookmarks に追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • del.icio.us に登録
  • ライブドアクリップに追加
  • RSS
  • この記事についてTwitterでつぶやく

子どもは家にいて当たり前 | 小児在宅医療の専門科に聞く

もりうち ひろゆき▶1984 年長崎大学医学部卒。1990 ~ 99 年米国国立衛生研究所へ留学しウイルス学の研究に従事、1996 年には米国微生物学会若手研究者賞を受賞。留学中にECFMG に合格し、感染症の臨床トレーニングも受ける。1999 年より現職。■母子感染などの感染症の研究と診療が専門。科学技術振興機構の研究領域主管、厚労省HTLV-1 対策連絡協議会委員、WHO のICD-11 Pediatric Advisory Board メンバーなど国内外の役職を兼務するほか、先天性トキソプラズマ&サイトメガロウイルス感染症患者会「トーチの会」の顧問を務めるなどの社会活動も行う。
おかだまさひこ▶1990 年長崎大学医学部医学科を卒業。同附属病院小児科、田川市立病院小児科、高知県立西南病院小児科、佐世保市立総合病院小児科などで勤務。2000 年米国NIH/NIAIDvisiting fellow、2015 年から長崎大学病院小児科准教授。■日本小児科学会専門医 日本血液学会専門医 日本小児血液・がん学会暫定指導医 日本がん治療認定医機構暫定教育医。

k8-1-1.jpg

森内 浩幸 教授(長崎大学病院 小児科長併任=写真右)
岡田 雅彦 准教授(リスクマネージャー=同左)

小児科の特殊性

 森内浩幸教授  大人は心身の不調があればどの診療科に行くかを決められます。でも親は、子どもに何か気になることがあれば、とりあえず小児科に連れて来ます。

 私たち小児科医は、場合によってはグループで、さらには他の診療科の医師に紹介してその子どもを診ていく。つまり、総合診療医やコーディネーターになるわけです。

 実際には、関わる分野は内科を全部合わせたよりも広いです。大人には発達過程というものがなく、小児の場合はその分が増えますから。

 子どもは詩人だと言われますが、それは限られたボキャブラリーで表現しているからです。そのため自分の心の葛藤を表現することが非常に難しく、それが体の症状として出やすいのです。このように、小児科の守備範囲は心身両面に広がっていますが、次のステップとして在宅というところに関わってきます。

家族と暮らすのが当たり前

 医療が進歩すればするほど、命の助かる子どもは増えます。そしてその分だけ、障害を持つ子も増えるわけです。子どもと家族の本当の意味での幸せを願うのであれば、無理のない形で家庭で暮らせるようにしてあげることが大切になってきます。それを積極的に進めようとしているのが、小児在宅医療の分野です。子どもを丸ごと、家庭や社会も含めて考えなければ、本当の意味での健康や幸せにはつながりません。これまで足りなかった観点が、家庭にどう戻せば家族全体の幸せにつながるだろうか、という点だと思います。長崎県は比較的早い段階から小児在宅医療に取り組んでいて、厚生労働省のプロジェクトにも長崎らしさを出して参加しました。

 今後、私たち小児科医が小児医療本来の姿を完結していく上で、一番大事な分野である小児在宅医療について、岡田雅彦准教授に話してもらいます。

家に医療を持ち込めたとしても

 岡田雅彦准教授 やはり、子どもが家族と過ごせるようにしてあげたい。実際、新生児室に長期入院している児の保護者のうち、約7割ができるなら家に連れて帰りたいというアンケート結果もあります。しかしそれをかなえるためには家に医療を持ち込む(=在宅医療)必要があります。さらに家に帰るためには、保育園や学校、あるいはそれに相当する環境の整備が必要となります。そのため医療が家に入っただけでは目標達成とはならず、介護や教育などとも連携を取っていかなければ、生活に戻ったとは言えません。

厚労省の動き長崎県の現状

 厚労省が動き出したのは、特に進んでいる埼玉や長野などの様子を見て、公には2013(平成25)年度からです。初年度は8都県が参加し、翌14(同26)年度が9都県で、長崎県は両年とも参加しました。15(同27)年度からは県の事業として、在宅医療の中に組み込まれていくと思います。

 さらに小児に対する在宅医療や訪問看護の保検点数が上がっていますから、国としても注目していることがうかがえます。

 長崎県についていえば、地域差はあるものの、全体としては訪問医や訪問看護師は充足してきたと思います。一方で「レスパイト施設」と私たちは呼びますが、短期入所、あるいは保育園に相当するデイケアのような場所については、ハードもソフトもまだまだです。一般のデイケア施設は、医療が必要な小児に対するケアは慣れや経験がまだまだ少なく、責任を持って預かりますとは言えないのが現状です。

 ところで、小児在宅医療には介護保険が適用されません。だから介護制度みたいにうまく動かすシステムも人もいなくて、分野ごとに解決しなければなりません。

介護職も家に向かう「滞在型ヘルパー」

 小児在宅医療を進めるうえで必要な職種は、訪問医と訪問看護師は必須として、次が介護職です。そこにレスパイト施設がつながっていければいい。

 しかし長崎市や佐世保市の都市部ならできるにしても、郡部や離島の場合は、施設自体がつくれないことも考えられます。その場合は、医療者と一緒に介護職も家に向かう、「滞在型ヘルパー」という考え方もあると思います。自宅でのレスパイトです。

 子どもを何泊か預けたいという場合は多いと思います。親が急にインフルエンザになったとか、身内に不幸があったとか、弟の運動会があるとか、人工呼吸器をつけた子どもが行けない場所はたくさんあるわけですね。

 そんな時の「訪問レスパイト」も含めて介護・福祉の分野がまだまだ小児在宅医療に入ってきてもらわないといけません。また福祉の面からも子どもが使える制度、小児慢性特定疾患の医療費助成や、特別児童扶養手当などの制度がありますが、これら小児在宅医療の福祉に詳しい相談支援専門員の育成も急務です。

始まった人材育成

 国は、小児在宅医療のリーダーを育成するため、今年度から予算をつけました。さらに、患者ごとに医療と介護のプランを具体的に立てる「相談支援専門員」という制度を義務化しました。それを受けて長崎県は昨年から、県下の相談支援専門員に関しても、小児在宅医療に特化した講義と実習を始めたところです。


九州医事新報社ではライター(編集職)を募集しています

楽採で医師の採用を「楽」に!

博多水引×九州医事新報

バングラデシュに看護学校を建てるプロジェクト

人体にも環境にも優しい天然素材で作られた枕で快適な眠りを。100%天然素材のラテックス枕NEMCA

暮らし継がれる家|三井ホーム

一般社団法人メディワーククリエイト

日本赤十字社

全国骨髄バンク推進連絡協議会

今月の1冊

編集担当者が毎月オススメの書籍を紹介していくコーナーです。

【2018年6月の1冊】
イメージ:今月の1冊 - 81.オシムの言葉 増補改訂版
オシムの言葉 増補改訂版

Twitter


ページ上部へ戻る