みえ医療福祉生活協同組合 津生協病院 宮﨑 智徳 院長

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地域医療の担い手は、地域で育成

経歴/ 1982 三重大学医学部卒業 同 津生協病院臨床研修(2年ローテート) 1984 診療所研修1985 北海道勤医協 中央病院・札幌病院、札幌医大(呼吸器研修) 1987 大阪府立羽曳野病院、金沢城北病院 1988 津生協病院 2005 同院院長 役職/みえ医療福祉生協 副理事長 所属学会/日本プライマリーケア連合学会 日本静脈・経腸栄養学会 日本呼吸器学会日本禁煙学会

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―病院の特徴は。

 当院は、1953(昭和28)年の台風13号による水害をきっかけに、地元での要望をもとに翌年につくられた「柳山診療所」が前身となります。

 1960年に、455人の組合員で津医療生活協同組合が設立され、現在は組合員も増え、約2万7千世帯の組合員・共同組織の方々に支えられています。

 柳山診療所の開設から25年後の1979年に津生協病院が建設され、38床からのスタートでしたが、現在は149床となりました。夜間や休日の診療、往診や健康診断など周辺地域の保健・予防・医療活動に積極的に取り組んでいます。

 2003年には1フロアを療養病床とし、現在の複合型病院として運営しています。地域医療としてのプライマリケアを中心に、一次・二次救急・生活習慣病管理・高齢者医療・外科・整形外科・小児科・健康診断・往診なども展開しています。

 組合員からの出資が原資となっていますので、組合員が3人集まれば、自宅などで健康についての講話を聞くといった班会を開くことができます。要望があれば当院の医師や看護師、リハビリ職が講師を務めて病気予防のための活動にも積極的に取り組んでいます。

 最近では、国民皆保険とはいうものの、高齢化や非正規雇用が増えているためか、「保険証がない」「保険証の期限が切れてしまった」という方も増えています。そのため、病気の初期で受診することができず、がまんして重症化するというケースもあります。

 当院の場合、県内では済生会病院と同じように、法律に基づき、無料または低額な料金で診療を行う「無料低額診療事業」を2013年から行っています。このため、行政や福祉関係の方から当院で受診するよう紹介されたりするといった連携も進んでいます。

 経済格差が健康格差につながらないようにという意味で、そのような活動も当院の特徴かと思います。差額室料をいただいていないのも、大きな特徴だと思います。

―医師の研修にも力を入れていますね。

 2004年度から始まった新臨床研修制度の中で、初年度は協力型研修病院として、2005年度からは管理型の臨床研修医師指定病院として、大学病院、三重中央医療センター、こころの医療センター、愛知民医連の病院などの医療機関と連携しながらの医師臨研修体制を整えています。

 当院の研修は、プライマリケアの基礎としての基本的な臨床能力を学ぶことが目的です。小児科、眼科、内科といった幅広い分野で、かつ大学病院のような特殊な疾患ではないもの、例えば、風邪や白内障といったポピュラーな病気の管理に対して、一定の力量がつくということになります。

 研修終了後は家庭医の専門医の試験があるのですが、昨年1人が試験に合格しました。

 また大学の協力型研修病院という役割も担っています。研修病院については、「NPO法人卒後臨床研修機構」という第三者評価機関での評価を受けています。審査基準は、書類、ヒアリング、そして研修医に対する直接のヒアリングがその内容です。

 現在、県内の基幹型臨床研修病院の中で8施設が評価を受けているのですが、当院は認定期間4年となっています。評価の点数の高さによって、認定期間が2年、4年と長くなるのですが、当院は高い評価をいただいています。

 研修医の課題やその到達についての振り返りというのを毎週1回やっていますが、この毎週1回という細やかなフィードバックをする研修病院はあまりないようで、そのような点も高い評価の理由のようです。

―高校生向けの活動もあるようですが。

 地元の高田高校との取り組みで、医師を目指す生徒の目的意識を明確にするための体験学習ができないかということで始まり、昨年で3年になりました。

 当院の訪問診療に同行したり、当院の取り組みを生徒に伝えますと、保険証がなくて病院にかかることが出来ない人もいるということが生徒にわかってくる。すると、高校生自身が、診療報酬といった社会的な制度の仕組みについて調べるようになりました。

 最終的に、高校生自身が学んだ内容を一般公開で発表する機会もできました。これまで参加した高校生の半分は医学部に入学したようです。

―他にはどのような取り組みが。

 当院には、地域医療の担い手である研修医を、地域のみんなで育てるという考えがあります。

 この一環で、組合員さんが模擬患者の会(SPの会・Simulated Patient)をつくり、当院の職員の接遇を良くするため、ボランティアで協力してくださっています。

 SPの会との接遇研修では、患者さんの苦情の投書を元にした台本を病院管理職が作ります。そして、SPの会の組合員さんが模擬患者となって、研修医や看護師が、どのように対応するかを、みんなの前で実際に演じるのです。この研修では、医師が年1回、看護師や事務職など患者さんと接する職種は年4回程度行っています。

 演じた後は、その対応はどうだったというようなセッションも行い、次にどうつなげるかということを話し合うなどします。その中で、苦情の対応などを、職員が、自分一人で考え、抱え込むのではなく、どのようにしたらいいのか、どのような言い方がいいのか、という市民感覚の意見もいただきながら、若手もですが、我々ベテランも接遇の質を上げていきたいと考えています。

―今後の病院の取り組みは。

 地域包括ケアの方針に沿った形で、亜急性期の患者さんをスムーズに受け入れるための体制をつくります。

 具体的には、一般病床を地域包括ケア病床に転換すること、より数多くの地域の開業医さんとの連携を図ることなどです。がん患者さんの受け入れのため、緩和ケアの充実も必要です。病院として、地域を支え、つなげる体制を大事にしていきます。

津市船頭町1721
TEL:059-225-2848(代表)


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