働く人の健康を守るという役割を大切に 地域との連携を強化
―貴院の特徴は。
当院は、1955(昭和30)年に、労働災害や職業病を治療する勤労者のための病院として、設立されました。
現在は、地域の総合病院としての役割も果たしていますが、開設時の理念を元に、働く人のための事業には絶えず取り組んでいます。
治療と就労の両立支援も大きなテーマで、病気を持ちながら働く人、特に糖尿病患者の治療、研究、支援には力を入れています。
また、労働災害に取り組んできた歴史から、整形外科分野は、治療の実績も多く、頚椎の研究や労働者の腰痛と画像診断の研究など独自の研究にも力を入れてきました。2次救急病院としての役割も果たしています。
現在の病院は2005年に完成。管理棟は2007年にできた新しい建物であることも特徴です。11の病棟とICUを擁しています。
―院長に就任から1年。力を入れていることは
当院は、地域医療支援病院として位置づけられており、地域の医療機関との連携をどのように進めていくのかということに注力しています。
全科で見ると、名古屋市の南部である港区、南区、中川区、熱田区から来院される患者さんが8割程度となっています。このため、地元の医療機関との先生方とどう連携していくかを考えてきました。
地域連携に対する取り組みとして、病院全体では、他病院との協議会を定期的に開催しているところですが、診療科レベルでは、独自に地元医師との勉強会を行っており、特に、腎臓内科、リウマチ・膠原病科、整形外科は頻繁に実施しています。
病院自体、腎臓内科、糖尿病・内分泌内科、整形外科が地元とのつながりが深かったという経緯もあるようです。
―今後の病院運営は。
国の方針に合わせた対応も検討しなければならないと考えています。
また、名古屋市南部には、当院と、中京病院、名古屋掖済会病院の3病院がありますので、何か一緒にやれることはないか考えています。
具体的には、労災病院グループの医療機器、医療材料共同購入と同様に、3病院間での共同購入の推進であったり、外部講師を呼んで、医師や看護師の勉強会を開く際に、3病院合同で実施できないかというようなことです。
―「病院らしくない病院づくり」を目指していらっしゃると聞きました。
この考えは、堀田 饒(ほった ・にぎし)名誉院長が、新病院建設時から掲げられています。外来患者、入院患者のために、これまでにない病院にこだわりました。
このため、エントランスは広々とした造りでステンドグラスを設けました。各フロア、病室に壁画や版画も取り入れています。版画作品は、すべてホスピタルアートに力を入れている版画家の山本容子さんのものです。
また、院内でのコンサートでは、時には、医師やメディカルスタッフが演奏や歌を披露します。ボランティアスタッフとして院内で患者さんのお手伝いをいただくなど、地域住民の方に熱心な協力もいただき、大変感謝しています。