【寄稿】人材定着講座①|採用側と離職者側、それぞれの事情

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キャリアコンサルタント/シニアマナーOJTインストラクター 安田めぐみ

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もうすぐ4月。新入社員、新入職員を迎える季節です。初々しい新人さんを迎える準備は整っているでしょうか。今回は、病院を含む法人や企業・事業所の新卒採用担当者が、人材定着のためにどのような点に気をつけるべきか考えてみます。

 リクルートワークス研究所の調査によると、2016年3月卒業予定者の大卒求人倍率は1.73倍となり、昨年の1.61倍から0.12ポイント上昇しました。数字上では、すべての学生がどこかの企業に就職できることになりますが、ご存じのとおり、新入社員の獲得に苦労している業種も少なくありません。

 新卒採用にあたって、多くの企業がさまざまな施策を講じ、費用をかけているにもかかわらず、効果を得られている企業は少数派です。少子化の影響で若年層の確保がますます難しくなっていくことを考えると、企業や事業所にとって新戦力の確保・養成である新卒採用は、ますます大きな経営課題となってくるでしょう。

 先見性のある企業はすでに採用方法を見直し、インターンシップ制度の活用やリクルーターを配置することで、学生に早くから接触することを始めています。彼ら・彼女らの職業観や価値観を見極めることは自社にマッチする人材の獲得につながりますし、面接を重視して学生の適性を見極めることは、自社についての理解を深めてもらうことにつながります。この傾向は今後ますます強まるでしょう。

 人事面のもうひとつの課題は「人材の定着」です。離職率については、『7・5・3現象』(就職して3年以内に中卒の7割、高卒の5割、大卒の3割が離職する現象)という言葉があります。採用が十分にできないうえに、大卒者が30%も離職するとなると、企業の人的資源は枯渇しかねません。これまでは採用側がこの離職率を考慮にいれて採用予定数を決定しましたが、思うような新卒採用ができないとなると、定着にむけた取り組みが必要になってくるでしょう。

 では、彼ら・彼女らはなぜ離職したのでしょうか。厚生労働省が、2014年10月に若年労働者に実施した調査によると、離職理由について「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」22.2%、「人間関係がよくなかった」19.6%、「賃金の条件がよくなかった」18.0%となっています。以前は、リアリティーショックと言われる、自身が思い描いていた「働く・仕事をする」というイメージが、実際に仕事を始めてみると違ったといった理由での離職が多くありました。若年労働者の離職率が横ばいである一方で、離職理由は大きく変わってきているようです。

 リアリティーショック対策としては、企業や国が、①学校でのキャリア教育を充実させて「職業理解」を促進する、②採用側もインターンシップなどを活用して学生に仕事を体験させて、自社についての理解を深めてもらう、などの方策をとってきました。早くから学生とかかわりを持つこれらの方策は、採用はもちろん、定着についても一定の効果がありました。

 しかし、2014年の調査結果からは、リアリティーショックというよりも、「働く環境」や「条件」などが離職の判断に大きな影響を与えることがわかります。個人的には、若年層に対する働きかけというよりは、企業全体の「働く環境の改善」として取り組まなければならない問題点が浮き彫りになっているように思います。「ブラック企業」という言葉が流行しましたが、若年者の離職率が高い企業はすべての年齢層での離職率が高くなっているのかもしれません。

 人材を定着させるためには"若年層に対する働きかけとともに、働く環境の整備にも取り組む時代になっている"というのが今回のまとめです。

 この連載では、キャリアコンサルタントの(長い?)経験から見えてきた、人事・採用現場のトピックを紹介していきたいと思います。


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