笑顔があふれる病院を目指して
地域とともに歩む
小城卓郎理事長=当院は精神科と内科を備えた病院で、祖父が開設して50周年を迎えました。父の代に、さまざまな関連施設を増設し、長年にわたって地域住民の方とともに歩んでまいりました。私自身も物心ついたころからこの病院で育ちましたので、昔からおられる患者さんから今でも卓ちゃんと呼ばれることに喜びを感じています。現在、当院は療養病棟(18床)、精神科療養病棟(60床うち個室4床:開放病棟)、精神一般病棟(32床:閉鎖病棟)、 認知症治療病棟(30床)を備えており、地域密着型の精神科病院として、院内イベントには住民の方にも多数参加していただいています。
鹿児島国際大の近くにある関連施設「就労継続支援A型事業所いっぽいっぽ」では、昨年の10月から豆腐製造を始めています。まだ商品の試作段階ですが、豆腐マイスターである水盛かなこプロジェクトマネージャー監修のもと、石うすで大豆をひいて1時間ほど薪炊きするこだわりの製法を導入しています。
豆腐工場では、豆腐を作るだけではなく、おからを使ったスイーツ作りなどにも取り組んでいます。原料から製法までこだわりぬいた豆腐ですので、自信をもって売ることができますし、手渡しで商品を売ることで地域住民の方とよい関係性が生まれます。患者さんが苦手なコミュニケーションの練習にもなるので、とにかく地域の方との触れ合いの場を増やしていきたいのです。
さらにグループホームを3棟、共同住居を3棟持っており、地域活動支援センターの「かけはし」や自立支援生活サポート「コパン」とあわせて、患者さんが地域で暮らすためのサポート体制を充実させています。
今後の精神科医療は、厚労省の方針もあって運営がかなり厳しくなると予測されています。病床数を減らさざるをえない事態も考えられますが、ただ減らすのではなく、退院していった方の居場所や次の生活の場を作らなければなりません。当面はグループホームなどの住まいを増やし、就労の場を広げていく方針で、近隣の土地を取得して施設を拡充させていきます。
女性の就労サポート
小城くみこ理事=当法人は女性の育児休業取得を推進しており、現在は取得率100%を達成しています。私自身は4カ月の子どもを抱えて復職した経験がありますが、家族や職場のサポートがなければ不可能であったと実感しておりますので、堂々と育児休暇を取得できる環境を整えていかなければならないと思います。院内で勉強会をするときも、子どもを預かってくれる元保育士の方たちに協力してもらっています。
今後の病院運営
小城卓郎理事長=疾患別に考えても、時代ごとに主流が変化していて、以前は統合失調症が多かったのですが、現在はいわゆる発達障がいの二次障がいが増えています。そういった現状を鑑(かんが)みると、全室個室のストレスケア病棟への転換を具体的に考える時期に来たのではないかと思います。病院から雄大な桜島を見ることができる立地にありますので、景色を含めて癒やしを与えられる病棟にしたいですね。あとは、新しい施設を作ったならば、ぜひたくさんの方に訪れてほしい。施設内に商店や飲食店があるようなショッピングモールをイメージしています。地域の方に「ここにいけばすべてそろう」と言ってもらえる楽しいエリアにしたいですね。
医療法人陽善会 坂之上病院
鹿児島市光山2丁目31 番76 号
TEL: 099-261-6602FAX: 099-261-6691