人材を育成し、充実した地域医療の提供を
【略歴】1976 名古屋大学医学部卒 厚生連安城更生病院研修医 1977 厚生連安城更生病院 外科医員 1979 名古屋(現:藤田)保健衛生大学外科学助手 1986 藤田保健衛生大学医学部外科学講師 1997 同助教授 2001 同胆膵外科教授 2011 藤田保健衛生大学医学部名誉教授 公益財団法人豊田地域医療センター常務理事・院長 2015 同理事長【所属学会】日本外科学会特別会員、日本消化器外科学会名誉会員・名誉会長 日本肝胆膵外科学会名誉会員・名誉指導医
■病院運営の3つの柱
1980(昭和55)年に救急医療、健診・検査、看護師養成の3つを柱とした公設民営の病院として当院は開設しました。
救急医療に関しては24時間365日の救急医療体制が評価されて、昨年9月に愛知県知事より救急医療功労者の表彰を受けました。
健診は地下の一フロアで受けていただけるシステムとなっており、一日あたり140人の受け入れが可能です。
当センターでは総合健診として人間ドック、臓器別健診としての脳ドック、肺ドックができます。
また、豊田市からは各種のがん検診やその他の健康診断の委託を受けていますし、全国健康保険協会の生活習慣病予防健診をはじめ各健康保険組合とも契約を結び、健康診断を実施しております。
看護師養成については、豊田地域看護専門学校において、慈しみの精神にのっとった教育を行い、西三河北部医療圏の医療を支える人材の育成に努めています。毎年30人ほどが入学し国家試験の合格率は、ほぼ100%です。
■総合診療医の育成
今後、この地域も超高齢社会を迎えます。当センターは在宅医療や介護との連携拠点機能を目指し、在宅、介護、高齢者医療などの地域医療を担う総合診療医を育成しなければなりません。
そのために2013年度から藤田保健衛生大学救急総合内科前教授の井野晶夫先生を院長として迎え、総合診療科を設立しました。
総合診療科は従来から当院に勤務している内科医をサポートして高齢者医療を含めた幅広い診療を担当します。
常時2、3人の専攻医が診療にあたっていて、将来的には藤田保健衛生大学の学生も地域医療の実習のためにこの施設を利用する予定です。豊田地域における市民の方々に安心の医療を提供できるよう努めていきます。
■訪問看護の件数が10倍に
2014年、当センターの再整備の計画書が策定されました。そのなかでは高齢者医療、在宅医療、健康診断、救急看護師養成などに注力することがうたわれています。
特に現在は在宅療養支援を重点的に行っていて、同年4月に在宅療養支援病院に認定され、その後、強化型にも認定されました。
その年の3月末の時点での訪問診療は月3、4件でしたが、今では40件と約10倍に増加しました。
■在宅医療推進のために
藤田保健衛生大学と当センターが共同で地域医療学寄附講座を設置しています。両方に医局があって、後期研修医は当センターと藤田保健衛生大学を行き来し、有機的に交流しています。お互いの長所を出し合って若い医師を育てていくシステムで、円滑に機能していると感じています。
行政との関係では昨年6月、豊田市と藤田保健衛生大学、豊田加茂医師会、当センターの4者で在宅医療推進のための連携協定を締結しました。
この協定は、4者が連携・協力して地域包括ケアシステムの構築と、地域医療分野での人材育成を促進することを目的としています。
しっかりとした礎ができたので、若い優秀な人材をたくさん輩出できれば、ますます軌道に乗っていくものと確信しています。
■介護と医療のつなぎ役に
豊田市には介護の地域包括支援センターの基幹型センターがありますが、それが今年、当センター内に移されます。介護型の拠点と医療型の拠点の両方がこの施設内にあることになるわけです。
介護側と医療側とは連携をとるのが苦手です。われわれが拠点になることで両者のつなぎ役として機能していきたいですね。
■地域医療の実践に触れてほしい
若い医師には地域医療の実践に触れて学んでほしいと思っています。
地域で患者さんを診る地域包括ケアは、急性期病院ではなかなか学べません。ぜひ当センターの施設で勉強してもらいたいと思っています。