熊本赤十字病院 中島 伸一 副院長 リハビリテーション科部長 こども医療センター長

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チーム医療を通して、熊本でも海外でも頼られる病院を目指す

1981 年 熊本大学医学部卒業 1982 年 熊本大学医学部附属病院 1984 年 熊本赤十字病院 整形外科部 1985 年 熊本県立こども療育センター 1986年 熊本赤十字病院整形外科部 1992 年 同院 整形外科副部長 1995 年 同院理学診療科部長 2006年 同院診療部長 2007 年 第二整形外科部長兼務2009 年 形成外科部長兼務 2010 年同院副院長

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―熊本県内での貴院の役割、そして特長を教えてください。

 熊本県は、大学病院を中心に、地区での役割分担がはっきりしているのが特長です。その中で当院は、東部エリア。救急医療、高度医療、教育研修、地域連携、医療救援の5つの基本方針を元に、急性期医療の中核病院として先進的な医療を展開しています。

 救急医療は、断らない救急とよくいいますが、受け入れるためには、いかに最善の医療を患者さんに提供する能力を有しているかが大事です。当院では、北米型ERを目指し、軽症から重症、また小児から高齢者までを受け入れる体制を整えるため、2012年に「総合救命救急センター」と「こども医療センター」を開設しました。

 総合という言葉には、幅広い対応という思いを込めました。現在、救急で年間7万人を受け入れます。救急に付随して、2015年4月には外傷外科を新設。腎移植にも取り組み200例あまりの実績を挙げました。

―「こども医療センター」についてはいかがですか。

 2012年開設で、2013年に西日本初の「小児救命救急センター」の指定を受けました。現在、小児科医19人で年間2万人を受け入れています。

 当院は、ドクターヘリと小児集中治療(PICU)を併設。このような施設は西日本では唯一です。

 九州北部は福岡に福岡市立こども病院がありますが、これまで九州南部にはこのような小児専門医療施設がなかったので長年欲しかった施設です。新幹線で鹿児島などから来院される患者さんもおられます。

―国際的な医療救援活動にも力を入れていらっしゃいます。

 2004年、インドネシアで起きたスマトラ沖地震の際には、私も現地で救援活動を行いました。この時の経験は私自身を変えるきっかけにもなりました。医師だけでは何もできないということ、チーム医療の大切さを心から感じました。

 当院の救援活動は、自己完結型救援と呼んでおりますが、まず救護所を建てることから始めます。このため、当院の事務部の職員は救援派遣に備え、大型免許、フォークリフト免許、電気工事士などを病院の指示で取得し、がれきを移動するための技能などを身につけています。

 スマトラ沖地震の経験は、東日本大震災で陣頭指揮をとった際に生かされました。その際まず必要だったのが赤ちゃんのミルクや生理用品などの日用品でしたので発災の翌日には送りました。

 現在、「災害を受けてからの国際救援」の先を見据えて、PHC(パブリックヘルスケア)、つまり人々の健康を維持するため、災害が起きる前から、災害が起きても強い地域を作るという取り組みを始め、浄水装置、バイオトイレ開発などの開発を地場の企業と進めています。

 また、若い医師にとって、これらの活動を通して、日本とのギャップを感じることは大事です。「医師だから」といってお山の大将ではだめだとわかり、チーム医療を心から理解できるようになるきっかけになります。

―教育、研修にも力を注いでおられます。

 最善の医療のためには「コミュニケーションが大事」と、よく言われますが、具体的な策が案外難しいのです。

 当院では、開院当初から、総合病院としては珍しく、責任者だけではなく、医師全員が参加して朝礼を行っています。おかげで垣根が低くコミュニケーションをしやすい雰囲気になります。

 また、研修医などの若い医師は必ず指導医がサポートし、積極的に技術を習得させます(ハンズオン)。さらに、なるべく当院以外の病院を見てほしいと期間はさまざまですが、海外も含め年間平均5、6人を研修に出しています。人材はとどめているとよどみます。おかげで、他病院との人事交流も盛んです。

―職員の福利厚生にも力を入れていると。

 チーム医療とはつまりみんなが責任を担うということですから、職員の心や身体が疲弊してはダメ。元気でないと相手に優しくはできません。

 そのために、宿舎を病院周辺に整備したり、スポーツを楽しめるようグラウンドを整備。職員間のコミュニケーションのきっかけの場ともなります。女性医師のサポートにも力を入れており、現在39人の女性常勤医師のうち、育休取得や短時間勤務医が7人います。

―地方の医師不足に関しての施策は。

 当院から、地域の医療機関に医師を数カ月単位で派遣。指導医も派遣しています。

 また、「地域医療連携ネットワーク・くまもとクロスネット」を今年からスタートさせました。ネットワークシステムを利用して、当院で診た患者さんで同意が得られた方の情報を、連携する病院で閲覧できるようにしています。

―新たな取り組みを行ううえでのポイントは。

 スタッフが自分の役割に納得し、皆で同じ方向を向いて取り組めるよう常に配慮しています。あわせて、焦らず徐々に変えていくのがよいと考えています。

 患者さんと社会の変化に迅速に対応できる力を付け、患者さんに頼られる病院になることを目指しています。


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