長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 展開医療科学講座 形成再建外科学 田中 克己教授

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熱い講義に魅せられて形成外科医に

【略歴】1984 長崎大学医学部卒、同大学医学部 形成外科学教室入局 1992 同大学医学部 形成外科助手 1999 同講師2003 同大学大学院医歯薬学総合研究科発生分化機能再建学講座 構造病態形成外科学助教授 2015 同研究科 医療科学専攻 展開医療科学講座 形成再建外科学教授

―教授就任おめでとうございます。

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 ありがとうございます。予想以上に取り組むべき課題が多いなというのが正直な感想です。所属が少し、複雑にはなるのですが、大学院としての研究・教育の顔を持ちつつ、医学部としては医学生が良い医師になるための心構え、知識、技術を修得させ、同時に大学病院における患者さんへの診療を行っています。さらに社会的貢献といったものもあります。

 特に今後はどのような形で地域の医療を支えていかなければならないかを考える必要があります。また、形成外科としてどういう取り組み方をしていくのかを、考えながら進むことが必要だと思っています。

―長崎大学の形成外科は歴史がありますね。

 1960(昭和35)年、当大学の整形外科内に、外科、耳鼻咽喉科、皮膚科の先生方から支援を受けて形成外科診療班が組織されました。日本で初めてに近いことで、初代教授の難波雄哉先生がまだ第一外科の講師をされていたころのことです。

 先天異常、熱傷、瘢痕拘縮(はんこんこうしゅく)などを治療されたそうですが、実際には診療体制が難しいということで、1979(昭和54)年、病院の中に診療科として初めて形成外科を標榜することになりました。

 1987(昭和62)年に講座として長崎大学医学部内の教室になるまでは、診療科の中の1つのグループとして診療を行っていて、整形外科の先生方がずっとサポートしてくださったと聞いています。私もいまだに整形外科の先生方にはお世話になっています。

 連携している各科の先生方のご支援があって形成外科の今がある。形成外科が単独でするべき仕事はたくさんありますが、連携なしにはできないこともあります。基礎講座の先生方も含め、今後もつないでいきたいと思っています。

―小児外科志望だったとお聞きしました。

 私は生まれ育ちも鹿児島で進学で長崎に来ました。家業も医者ではありませんし、何をやりたいかも考えてなかった。

 いろいろな講義を聞くにつれて、自分たちができること、直接手を差し伸べることで治療がうまくいく、そういうお手伝いはどうだろうかと思い、気持ちの中に「子どもたちの医療」というのがありました。特に先天的な異常といったものにメスを加えることで治療がうまくいくと、それはすごいことだなと。そこで小児科の話を聞いて、次に外科の病室実習に回り、小児外科に興味を持つようになりました。

 卒業後は鹿児島に戻ろうと思ったら鹿児島大学に小児外科がなくて。じゃあ長崎で外科をやろうかと、あれこれ悩んでいたところ、整形外科の病室実習があり、その中のひとコマが難波先生の講義と病室実習でした。

 形成外科手術によって、患者さんの状態が驚くほど良くなることをすごく熱く語られました。形成外科という言葉すら知らなかった時期だったのですが、強く引かれるものがあり今に至っています。

―形成外科の現状についてお聞かせください。

 ここ10年間の技術の進歩というと、私の専門でもあるマイクロサージャリー(顕微鏡を使用して行う微細な手術)があります。以前はかなり大きな血管じゃないとつなげなかったものが、今では0.3〜0.5mmの血管も移植できるようになりました。

 この手技によって、組織の採取部のダメージも少なくなります。皮膚移植の場合、以前は筋肉まで含めて採取しなければならなかったものが、現在は筋肉は残して皮膚だけ、皮膚の下の皮下脂肪を調節しながら安全に移植することができるようになったのです。組織移植も98〜99%の定着率で、見かけもよく、機能的にもつながっています。

 また、顔面の変形に関しても、骨の一部を採取して移植するのではなく、器具によって骨そのものを延長し、もともとある骨を使い、頭蓋骨や顔の骨の変形を治すことができる。採取部のダメージや手術の傷跡が小さくて済みますし、体のいろんな部位に安全に使用できるようになりました。

 もっとも大きな進歩はマイクロサージャリーすね。

 たとえば、広範囲熱傷の場合、以前は本人、または親兄弟の皮膚を移植するというやり方だったものが、最近では皮膚を一部採取してある機関へ送ると、3週間後には患者さん本人の皮膚が出来上がってくる。これはすでに臨床的にも行われていますし、保険上も認められ、広く行われている再生医療のひとつです。

 それから、乳房再建の際、同じ方法を使って自分の細胞を移植することで細胞が再生し、ふくらみが回復するという治療もあります。残念ながら保険上の規制もあり、当院で近々にできるものではありませんが。

―形成外科のこれからについて。

 先ほど述べた再生医療のように、メスを持たずに治療できるものが増えていく一方で、逆にメスを持たないとできない医療もあります。形成外科は決して形成内科にはなりません。しかし、形成外科の手術だけでは患者さんへの負担が増えることもあるので、手術を中心に、ある部分には再生医療の技術を入れるなど、ハイブリッド(混合)医療の需要もあるでしょう。

 形成外科医として、手術をする以上は、より高いレベルの技術と結果が求められます。

 技術の向上だけでなく、今後はインターネットなどのメディアを利用して情報発信にも力を入れていきたい。患者さんの治療の選択肢を増やす努力もしていきたいですね。

 これからも、大学病院として各科と連携し、使命を果たしながら、地域医療を含めた形成外科の診療活動のあるべき姿を模索していかなければならないと思います。


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