新年あけましておめでとうございます。皆様におかれましては、和やかな新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。平素より、医師会活動に多大なるご支援とご理解をいただき、厚くお礼申し上げます。
現在、日本の医療構造は大きく変わろうとしています。少子高齢化社会を迎え、将来医療費の増加が見込まれている一方、それを支える保険料収入や税金を納めるべき人口が減少し、さらに国の負債のことを考えると、このままでは日本の医療は壊滅してしまうことは誰の目にも明らかです。
世界的に見ても、国民一人当たりの医療費が決して高くないことは確かですが、現在の日本の状態や人口構成を見れば、診療報酬を大幅に上げろとばかりは言えない状況にあるということは、財務省から言われなくても理解はできます。
現政権は、医療を含めた社会保障制度を大きく変えようとしており、しばらく国政選挙がなく衆参とも与党が多数を占めているこの時期を狙って、「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」を2年前に閣議決定し、それに向けて医療制度も改革しました。皆様方にはまだ変わった実感はないと思いますが、今年の春以降、診療報酬の改定に合わせ、じわじわと感じられると思います。
国は「地域包括ケアシステムの構築」と「地域医療構想の策定」を両輪として、人口減少社会に対し必要な医療とそれに続く介護を在宅中心で行うとしています。
その中心となるのが「かかりつけ医」ということで、その点について異論はありませんが、根底に流れている考えが「医療費の削減のために」という目的が見え隠れします。また健康寿命の延伸という考えにも同感ですが、それが医療費の削減に直接繋がってくるかは別問題です。
いずれにしても終末期を迎えるわけですから、その時点でどのような医療が行われるかが重要な課題です。終末期は在宅や有床診療所もしくは中小病院でゆっくりとした「看取り」が行われるべきであり、総合病院での救急医療に廻(まわ)されるべきものではありません。そのようなシステム作りや国民の合意形成が行われることが先ではないかと考えます。
私の患者も誰一人「寝たきりの生活」は望んでおらず、「ピンピンコロリ」を希望しています。その結果として医療費の削減に繋がるのであれば「持続可能な医療制度」も見えてきます。
今年一年が皆様方にとって良い年でありますよう祈念致しまして、新年のご挨拶とさせていただきます。